オスカシボルグ要塞。
「転生ファンタジーモノはもういいよ」と食傷気味に思ってたらガチミリタリーモノだったTVアニメ「幼女戦記」。中身がオッサンというのが実に気に食わないけど、士官としてどんどん出世していくキチガイ幼女がたまらんので見てたら、第質話(第7話)「フィヨルドの攻防」はオスカシボルグ要塞周辺で発生したオスロ・フィヨルドの戦いがモデルじゃないですか。
そうそう、こんなこともあろうかと去年行ってきたんですよ。
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帝国と協商連合の位置関係
地図を見ると、帝国(ドイツ帝国がモデル)の北あたりが協商連合(ノルウェー・スウェーデンがモデル)となっており、実際のヨーロッパとだいたい同じになっている。
第7話付近では、世界大戦へと発展していく戦争のきっかけを作った協商連合との戦いで、帝国軍の北方戦線は膠着状態に陥っていた。
指の位置がオスロ。
しかし、これは帝国の陽動作戦で、真の目的はオース(ノルウェーの首都オスロがモデル)への上陸作戦によって敵の後方を押さえることだった。
一部の将校しか知らないはずの作戦を見事言い当てたデグレチャフ少佐は、自ら創設した第203魔導大隊を率いて全軍の先鋒を務めることとなる。
オスカシボルグ要塞
幼女戦記に出てくる島も、オスカシボルグ要塞と同じように半球状の建物が。
オスカシボルグ要塞はオスロから南に1時間くらい行ったところにある小さな島。島全体が要塞化され、オスロを守るための重要拠点だった。
日本だと横須賀の猿島や関西の由良要塞みたいなポジションの港湾を守る要塞で、現在は観光地化されている。
島までの船代が実質入場料になっていて入島や博物館は無料。冬だったので島の中は閑散としてたけど宿泊施設もある。
オスカシボルグ要塞は2つの小さな島が繋がっており、幼女戦記でもだいたい同じかな。
クルップ製40口径28cm砲
19世紀末に製造されたクルップ製の旧式28cm砲。
オスカシボルグ要塞とその周辺の沿岸に砲台が設置されてたようで、幼女戦記の作中でも再現度高い。
退役した今でもこんな風にオスロ・フィヨルドを守るようににらみ続けている。
オスロ・フィヨルドの戦い
第二次世界大戦でノルウェーに侵攻したナチス・ドイツの艦隊は、オスカシボルグ要塞付近で砲撃を受けてオスロ・フィヨルドの戦いが発生。
上の模型ではオスカシボルグ要塞からの砲撃を重巡洋艦ブリュッヒャーに命中させた様子を再現している。
海峡の幅は1キロメートルなくて、いくら旧式砲でも28cm砲弾を数百メートルの至近距離で食らったらタダじゃすまないでしょう。
重巡ブリュッヒャー轟沈
重巡ブリュッヒャーの模型。
艦これにも出るプリンツ・オイゲンと同型艦のアドミラル・ヒッパー級重巡3番艦ブリュッヒャーは、オスカシボルグ要塞で砲撃と魚雷を受けて轟沈した。
最終的にノルウェーはドイツに占領されてしまうけど、重巡を沈めて一矢報いたという点でオスカシボルグ要塞の目玉展示になっている。
幼女戦記では戦艦喪失を回避
現実世界のオスロ・フィヨルドの戦いではドイツが重巡1を喪失したのに対して、幼女戦記のオーク・フィヨルドの戦いでは戦艦を派遣していたけど轟沈を華麗に回避。これは航空魔道士による事前の偵察ができたので、魔導大隊を送り込んで基地を無力化できた解釈すればいいのかなあ。
要塞の魚雷発射場はどうなったのか?
あと、幼女戦記の作中では、鉄道は後で利用するために残して、艦隊の進路に邪魔な砲台だけを破壊していたけど、北側の島の水面下に潜む魚雷発射場は潰したかどうかはよくわからないんだよねえ。オスカシボルグ要塞の魚雷発射場の地上部分に置かれた魚雷。
まあ、砲台のある基地を潰したら一緒に魚雷発射場も潰してると思うけど。もしくは魚雷発射場はビジュアルでわかりにくいから割愛してしまったかのどちらかということでいいかな。
プリンツ・オイゲンの妹が轟沈した場所だけに「提督」的には魚雷とかその辺重要なんでできれば描写してほしかったけど、
……まあ正直どうでもいいか。
グラーフ・ツェッペリンの15cm連装砲
15cm連装砲(一番左)。
そもそもここに行ったきっかけは、艦これにも登場する空母グラーフ・ツェッペリンの副砲・15cm連装砲がオスロ近郊のオスカシボルグ要塞にあるらしいので見に行ってみるか程度の気持ちしかなかった。
ここがオスロ・フィヨルドの戦いの舞台となり重巡ブリュッヒャーが轟沈した場所だというくだりは、実のところニワカすぎて行くまで知らなかった!
それがまさか、後にTVアニメ幼女戦記で出てくることになるとは思いもせず。バスやフェリーの時間調べるのめんどくさかったけど、やっぱり男は度胸でなんでもやってみるもんだね!
戦艦とZ型駆逐艦の謎
こうして幼女戦記のオーク・フィヨルドの戦いでは、要塞の砲台を無力化した後、堂々と戦艦1、駆逐艦4?でフィヨルドを抜けて上陸作戦を成功させた。
しかし、艦艇をよく見てみると、戦艦は第一次世界大戦期のバイエルン級戦艦で、駆逐艦は第二次世界大戦期のZ型駆逐艦なんだよね。
西暦1924年には艦これのZ1やZ3は生まれてないので、「なんで混ざってるの?」となってしまう。
初見で「このシーンに何か違和感あるなー」と思って見返してみたらこれだった。
そもそも、幼女戦記の時代設定は「統一歴1924年」前後。現実世界の西暦1924年と考えると、モデルが第一次世界大戦なのか第二次世界大戦なのか最初はよくわからなかった。
同じく魔法が出てくる「終末イゼッタ」は第二次が舞台だったのに対して、「幼女戦記」は最初は第一次っぽい?と思ったので「イゼッタZERO」なのね!と何も考えずに見てたら、第7話でオスロ・フィヨルドの戦いが登場。
よく考えればこの辺で第一次世界大戦と第二次世界大戦に魔法というファンタジーを混ぜた架空戦記らしさがうまく表現できているのがきっと幼女戦記なのだろう。
ネタが細かいので、よほど知識があるか、興味を持って調べないと気が付かず素通りしてしまうレベルだけど、何回か見返してみるとキッチリと設定やビジュアルを作り込んでいるのが見えてくる。
幼女戦記の右下の砲台陣地とだいたい同じ場所かな。ここでは重巡ブリュッヒャーの錨を偶然発見。
……まあ、古い駆逐艦の資料があまりなくて面倒だから1924年だけど第二次を混ぜてしまった可能性も否定できないので油断はできませんが。
……という感じで、この記事をダラダラ書いてるうちに、弾道ミサイルや3号戦車、挙句の果てにシャルル・ド・ゴール将軍なんかも出てきちゃったんで記事そのものが水泡に帰す感じになってしまったのだけど、オスカシボルグ要塞の再現度は高いので見返してみてね!
おまけで第11話のパリ
フランス第三共和政がモデルで幼女戦記第11話に登場したフランソワ共和国の首都パリースィイ。
サクラ大戦3にも出てくるノートルダム寺院からの景色かと思ったら微妙に違う。
ノートルダム寺院と同じくシテ島にあるパリ商事裁判所(青屋根のドームが乗ってる建物)が一致するので、セーヌ川の北側から撮らないとダメっぽい。
凱旋門からの景色もほぼ同じ。