台湾鉄路・高鉄・バスでの都市間移動 観光地の行き方


EMU3000型騰雲座艙の座席


台湾鉄路

無座制度

自強号、キョ光号などは座席が空いていれば座ってもいい無座(立席乗車)制度がある。自強号に乗って自分の指定席に行くとだいたい誰かが座っているので、指定席を見せてどいてもらうことになる。


70km未満 ICカードで自強号

乗車距離が70km未満の場合、悠遊カードなどのICカードで自強号、キョ光号の無座乗車を行うと、運賃は区間車運賃の1割引で計算される。70kmを超えると自強号の運賃で計算される。

プユマ号、タロコ号、新自強号は不可、無賃乗車とみなされ50%の割増運賃を取られる。


ICカードで駅入場して新自強号に乗ってしまった
車掌から車内精算し、降りる駅で精算証を見せてICカードをキャンセルしつつ改札を開けてもらう。筆者の場合は自己申告したため許されたのか50%の割増料金は請求されなかった。


時刻表参照と座席の予約

  • 国営台湾鉄路公式サイトで可能
  • 列車時刻・番号参照後に予約ページへ遷移
  • 外国人はパスポート番号を入れる必要あり
  • 予約した後に決済しないと1ヶ月ブラックリスト登録され予約不可に
指定席を予約したまま忘れて翌日までに支払わずに放置してしまうと、ブラックリストに登録されてそのパスポート番号は1ヶ月間予約できなくなる。ただし、パスポートの掲示を求められることはまずないので、同行する家族や友達の番号で予約しなおそう。


指定席が取れない場合の対策

プユマ号、タロコ号は全席指定。自強号などで長距離区間を乗り通す人は少ないため駅間を分割して台鉄サイトで空席を探す。なお、日本と違って台湾は長距離乗ってもキロあたりの料金は安くならないので細かく分割してもほぼ同じ。

取れなかった区間は無座で車内精算。プユマ号とタロコ号は指定席券を持っていないと罰金になるためその区間の1.5倍払う。


新自強号ビジネスクラス騰雲座艙 無料駅弁


車内限定弁当とロゴ入り炭酸水

  • 騰雲座艙には飲み物と食べ物のサービス
  • 昼と夜の時間帯には事前予約で駅弁あり
  • 駅弁は肉入りとベジタリアン用あり
  • 列車ロゴ入りペットボトル水と瓶入り炭酸水あり
  • 駅弁配給列車と時間は「騰雲座艙訂票須知」ページにPDF
  • 駅弁権利は前日17時までに切符を発券する必要あり
EMU3000型の新自強号のビジネスクラス騰雲座艙には100元くらいする駅弁が事前予約でもらえるのでオトク。樹林→台北→宜蘭→台東という列車で台北駅後にサービスがある場合は台北→宜蘭の区間だけでも駅弁などがもらえる。駅弁をもらうには前日17時までに切符を発券する必要があり、台湾入国日に乗る場合は駅に行けないためアプリ「台鐵e訂通」で事前発券する必要がある。

食べ物などの受取はアテンダントに列車の指定席番号を見せて参照する必要がある。筆者は駅弁はベジタリアンを頼んでいたが、肉入りを渡されて気が付かずに食べてしまったので注意。


駅内の通り抜け

台湾鉄路はバスターミナルへ行くためなどに無料で駅内を通り抜けることができる。改札で通行證をもらって入場し、外に出る際に駅員に見せて回収箱に入れる。有効時間は30分以内だが、前の客が使ってすでに期限が切れている券を使い回すことも多いようだ。


台湾高鐵

台鉄か高鉄か?高鉄駅から台鉄駅までの所要時間

  • 新竹: 六家車から台鉄新竹まで20分(1時間2本)
  • 台中: 新鳥火から台鉄台中まで12分(1時間約5本)
  • 嘉義: 台鉄嘉義まで嘉義BRTで25分(10~20分に1本)
  • 台南: 沙崙から台鉄台南まで24分(1時間約2本)
  • 左営: 台鉄高雄までMRT赤線で14分(1時間約8本)、台鉄7~15分
台湾を訪問して西部を移動する場合はとりあえず高鉄に乗ってしまいがち。しかし、高鉄駅から都市の中心部に近い台鉄駅までは離れており、所要時間が倍以上のはずの台鉄と数十分しか変わらず、台鉄の方が値段半分で車窓から町並みをゆっくり眺められて気楽なことが多い。

例えば、台北駅から台鉄台南駅まで高鉄を使うと2時間30分くらいかかるが、台鉄のプユマ号は本数が少ないものの3時間10分程度。他の主要駅でも似たようなものなので、台北駅から高雄駅以外は台鉄オンリーでもよいのではないかと思う。

列車によって自由席がある方がよく、高架の上から田園風景を見下ろしたい場合は高鉄を選択しよう。


阿里山森林鉄路

概要


嘉義駅の駅舎外にある切符売り場の情報板。

阿里山森林鉄路は日本統治時代に開通した林業鉄道で現在は阿里山へのアクセスを担う。2024年に15年ぶりに全線再開。

木材を運ぶため急傾斜を上るラック式ではない。嘉義-奮起湖間の独立山スパイラルループ、十字路-阿里山間の3回スイッチバックが魅力。標高1000m以上は高山茶の茶畑が見られ、終点に近づくと杉林になる。


阿里山林業鉄路の路線

  • 本線: 嘉義から阿里山までを結ぶ路線
  • 祝山線: 阿里山からご来光を見るための路線
  • 神木線: 散策のため阿里山から本線で1駅戻った神木を結ぶ
  • 沼平線: 散策のため阿里山から祝山線の途中駅沼平を結ぶ
  • 水山線: 廃線。沼平あたりから1.6kmの徒歩コース
  • 眠月線: 地震と台風で廃線。行くには事前申請必須
実際の営業路線は本線と祝山線しかなく、散策のため阿里山から本線と祝山線の途中駅である神木と沼平を結ぶ列車が運行されているイメージ。



阿里山駅周辺の地図。


眠月線
眠月線は片道約9キロのトレッキングコースとなり、自然保護区のため1日350人制限。

自然保護区域進入申請系統のサイトから「自然保留區→臺灣一葉蘭自然保留區」を選択して申請。台湾の携帯電話番号が必要なのでホテルの番号を使用させてもらい、申請3日後に結果のメールが来た。祝山線の十分道分岐点で列車を乗り降りすることはできないようで、そのため沼平駅から全区間歩くしかない。


2025年訪問時の阿里山号発着時間

  • 阿里山號 1車次: 嘉義09:00→11:21奮起湖11:30→12:00十字路
  • 阿里山號 5車次: 嘉義10:00→12:16奮起湖13:21→14:56阿里山
  • 阿里山號 8車次: 阿里山11:50→13:19奮起湖13:29→14:45嘉義
  • 阿里山號 2車次: 十字路13:21→13:50奮起湖14:31→16:51嘉義
2往復のうち1往復は阿里山の手前の十字路までしかいかない。阿里山行き5車次は1時間5分、十字路始発嘉義行き2車次は41分、それぞれ奮起湖で停車時間がある。

奮起湖駅では奮起湖飯店で駅弁を食べて車庫の博物館や商店街を見るだけなら1時間5分で十分だが、山を登って奮起湖神社跡や奮起湖の街並みを見下ろすと往復20分はかかるのでかなりタイトとなる。



訪問時の阿里山駅の時刻表と運賃表。


2025年訪問時のバス

  • 7329 阿里山A線(高鉄駅): 1日04本 阿里山発最終16:40
  • 7322 阿里山B線(台鉄駅): 1日10本 阿里山発最終17:10
  • 6739 阿里山-日月潭: 1日1本(多客期2本)
  • 1835 台北-阿里山: 土日1日1本(國光客運)
A線とB線のバス乗車券は事前予約することができる。車両は街中を走る路線バスタイプで、乗車時は予約ありと予約なしの列を形成して予約ありから先に乗車する方式。そのため、混雑しない時期や時間帯なら予約しなくても問題ない。夕方は車内から夕日が見える。




バスのルートと阿里山発の発時間。

  • バスの所要は2時間30分くらい
  • 奮起湖へ立ち寄るバスはA線1日1本、B線1日2本
  • A線の高鉄台南行きは故宮南院経由
奮起湖経由は本数が少なく、時間帯のよいバスがない場合はタクシーか奮起湖に宿泊して石棹バス停から送迎してもらうしかない。阿里山→高鉄台南は途中で故宮南院を経由するので一緒に周遊可能。たまに北院の白菜や角煮が展示され企画展も巡回するため予定を要確認。


2025年訪問時の参考料金(片道)

  • 阿里山森林鉄路: 嘉義-阿里山600元
  • 阿里山A線バス: 278元(ICカード割引あり)
  • 阿里山B線バス: 251元(ICカード割引あり)
  • 阿里山国家森林遊楽区入場料: 外国人300元、鉄道バス利用者150元
  • 阿里山-神木: 100元
  • 阿里山-沼平: 100元
  • 阿里山-祝山: 150元
阿里山行きの阿里山号の切符を予約する際には列車運賃600元と阿里山国家森林遊楽区150元の合計750元を支払うことになる。バスの場合は終点から歩いて入山ゲートで料金を支払う。

当日空席があれば嘉義駅から阿里山森林鉄道車庫園区のある隣駅の北門まで1駅だけ乗ることも可能。運賃は50元で北門駅の売店でグッズやコラボビールを買える。


本線と支線の列車切符予約

  • 公式サイトで切符予約は14日前から
  • 空席はほとんど出てこない
  • 毎日アクセスするとたまに空席が出る
  • 予約後の決済は翌日まで
  • 日本のクレジットカードで決済可能
  • 座席指定不可
阿里山林業鉄路のネット予約は14日前から前日正午まで。嘉義駅や北門駅窓口での発売は12日前から。本線切符は旅行会社に押さえられているのか平日でも予約は極めて困難で、14日前の空席を参照してもほとんど見つからない。粘り強く毎日アクセスするとキャンセル分が落ちてくるのか空席が見つかることがある。十字路駅止まりの列車なら空席が多いため、嘉義から奮起湖か十字路まで鉄道で行って阿里山までの残りはバスにするのも手。

支払いは翌日までにする必要があり、クレジットカードのオンライン決済の他は統一スーパー。受取は駅かセブンイレブンのマルチメディア端末でできるようだ。1ヶ月以内に3回以上予約だけして決済しないとパスポート番号が6ヶ月間ブラックリスト入りして予約できなくなるようだ。


阿里山号の座席配置

本線の阿里山行き列車は機関車が後ろから客車を押すプッシュプル運転。

座席は1+2列の配置。阿里山行きの進行方向右窓側の座席番号は1+4n、左窓側は2+4n、その隣は4+4n(nは0~)。

訪問時は阿里山まで乗り通す10時発の5車次が4両編成、十字路止まりの9時発の1車次が5両編成だった。座席の指定はできないが、たまたま運良く一番前となる4号車の最前列のチケットだった。最も阿里山寄りの車両はドア越しに運転室かぶりつきとなりガラス2枚を挟んだ前面展望となる。また、各車両1、2 番の座席は左右の窓を開けることができる。安全のため窓から手を出さないようアナウンスがあるものの、撮影のためにスマホやカメラを出す程度なら咎められることはなかった。

阿里山行きの景色は、奮起湖までは進行方向右側がよく、奮起湖からは進行方向左側がよい。

嘉義駅外にあるの窓口で直接購入する際は阿里山側先頭車両を指定できないか聞いてみよう。


限界移動者のモデルコース

筆者は、鉄道で阿里山に着いた日に沼平-神木間、廃線跡の水山歩道などを見て一泊、翌日に祝山のご来光、入山に事前申請が必要な眠月線トレッキングをして、最終バスで帰るかもう一泊して鉄道で帰るか奮起湖で一泊する予定を立てていた。しかし、3日前頃から天気予報が急に晴れから雨に変わったため宿泊を断念してホテルをキャンセルし日帰りに変更。当日は嘉義から阿里山号5車次で14:56阿里山着、15:10阿里山発沼平行きに乗り、水山歩道が工事中で入れないことを知ったため神木駅まで歩いて下り、16:10神木発最終で阿里山駅に戻り、阿里山の集落の寂れっぷりを見て、17:10最終の阿里山B線で2時間半かけて嘉義に戻った。祝山線のご来光と廃線跡は次回に持越しとなったのでホタルが見えるシーズンに日月潭と同時に周遊を計画中。

台鉄嘉義駅の始発バスは6:05で、ご来光以外は往復バス日帰りでも理論上はだいたいのスポットを回れる。鉄道と併せてご来光やトレッキングをする場合は往路か復路だけ本線の切符を押さえておき、ホテルの空室を確認しつつ天気予報を直前までチェックしてから阿里山で宿泊するか鉄道メインの日帰りにするか行程を決めた方がいい。とにかく鉄道はいつまた地震や台風で寸断されるかわからず、片道鉄道の日帰り強行でも十分楽しめるため、本線だけは優先的に乗っておくことを強くオススメする。
タイトルとURLをコピーしました