2011年05月14日(土)

まるでパルテノンのような巨大地底神殿に圧倒された!”首都圏外郭放水路” 「喰霊-零-」舞台探訪




「喰霊-零-」第1話でこいつらが作品の主人公かと思われたトオルやナツキたち特戦四課が壮絶な全滅劇を演じるのが、埼玉県の地下にある、まるでギリシャのパルテノン神殿のような巨大地下神殿首都圏外郭放水路





春日部市の江戸川のほとりにある庄和排水機場「龍Q館」にやってきました。

まずは予約している旨を伝えて、集合時間になったら首都圏外郭放水路について説明を受けます。



パンフレットから外郭放水路のイメージ図。

埼玉県東部の中川流域は江戸川や荒川などの大河川に囲まれた低地で昔から洪水被害に悩まされてきた地域。更に急速な都市化で洪水時に水を溜める田んぼが減ったり地上に放水路が造りにくくなってしまったため、水害から地域を守るための抜本的な対策として首都圏外郭放水路が造られました。



大雨が降って川の水位が上昇するとまず5つの立抗に水が入っていき、それぞれの立抗を結ぶトンネルから調圧水槽に水が流れます。そして調圧水槽の水は航空機用のジェットエンジンを改造したガスタービン4機の巨大ポンプで江戸川へと排水されます。

立抗は1つあたり直径30メートル深さ70メートルあり、スペースシャトルや自由の女神が楽々入る大きさで、それらを繋ぐトンネルは全長6.3キロメートルに渡る世界最大級の地下放水路。





庄和排水機場「龍Q館」は排水施設の上にあり、説明を受ける部屋のお隣はカッコイイ司令室。

誰もいなくておばちゃんが掃除してるだけでしたが。



なんとウルトラマンの秘密基地だった!



首都圏外郭放水路は他にも、仮面ライダー555、マジレンジャー、鉄人28号など数々の特撮や映画のロケに使われてたようで、龍Q館の廊下にはキャストやスタッフの色紙が大量に展示してありました。



水樹奈々も来てたのか!



そしていよいよ、龍Q館から外に出て灰色のちっぽけな建物から調圧水槽に入ります。





116段の階段を降りていくとひんやりと冷たく、その圧倒的な広さにただ、ただ驚く。

魚眼レンズで軽くHDR(ハイダイナミックレンジ)合成。

地下22メートルにつくられた長さ177メートル、幅78メートル、高さ18メートルの超巨大水槽。柱は円柱ではなく長さ7メートル、幅2メートルあり重さは500トンもあるそうです。この柱が59本もあり水槽の天井を支えています。水の浮力で調圧水槽自体が浮かないようにこれだけたくさんの柱がいるそうなのですが、にわかにイメージしにくいですね。

人間の小ささから空間の広さがわかるでしょうか。

「定常運転水位」「ポンプ停止水位」の2つのボードが柱に貼ってあり、調圧水槽内の水はこの間になるようポンプで調整されます。それ以下の水は最終的に第3立抗にあるポンプから排水するそうです。泥で汚れている部分の境目を見ると「ここまで水がきたんだ」というのがわかります。

「それにしてはやけに床がきれいだな」と思ったら見学会で使うエリアは定期的に掃除してるとか。それに加えて天井に1箇所だけある穴からクレーンで重機を入れて、年一度雨が少ない冬に床全体をきれいにしているそうです。



調圧水槽の端から第1立抗が見える。



施設のイメージはこんな感じ。

ちなみに調圧水槽の上はグラウンドになってます。調圧水槽だけでもこれだけの大きさなのに首都圏外郭放水路の施設の一部にすぎません。



それでは首都圏外郭放水路についてだいたいわかったので「喰霊 -零-」の第1話を再現していきましょう。
第1立抗の地上部分。

奥にグラウンドや龍Q館が見えますが「喰霊 -零-」のように見下ろすアングルでは撮れません。

現在は柵で囲われて入れません。

「喰霊-零-」ではトオルはここに穴を開けてヘリのロープで第1立抗に入り、第2立抗へと繋ぐトンネル内でスタンバイ。



調圧水槽以外は見学できませんが龍Q館にふさがる前の第1立抗の写真がありました。



マサキは見学会と同じルートで階段を使って調圧水槽に入る。具体的に何をしてたのかは謎ですが施設をチェックしてたのでしょうか。



龍Q館から2キロくらい離れたところにある第18号水路が注ぐ第2立抗。

第2立抗のある柳橋交差点。

「喰霊-零-」では、東京タワーのあたりに出現した巨大な火車をナツキがバイクで首都高速などを使って誘導しながら北上、国道16号に入って柳橋交差点のあたりから第2立抗に進入。ワイヤーを使って横穴のトンネルに入り第1立抗へ向かって進みます。



外郭放水路の上を走る国道16号沿いにトンネル内の様子がわかる看板。



中川と倉松川が注ぐ第3立抗。

ここの堤を爆破して水を一気に第3立抗に送り込み、通常の30倍の大きさの火車を除霊するために必要な200トン以上の霊水を精製。

そして第2立抗から入った火車に霊水を浴びせて弱ったところを第1立抗手前のトンネルで待ち受けるトオルがライフルで仕留めます。第1立抗に大穴を開けてマサキはヘリ(ティルトローター)でトオルとナツキを救出。調圧水槽内にヘリを止めて作戦終了。



任務は無事終了するも調圧水槽での休息もつかの間……

「諦めてって、言ったでしょ?」

このカットは第1立抗の方を向かないといけないので写真の柱は反対側から撮らないとだめでした。調圧水槽の見学時間はわずか10分しかないのでブレずにいろいろと写真を撮るだけで精一杯。



改めて図にしてみるとこんな感じになります。

「喰霊-零-」を初めて見た時は展開が速すぎていまいちよくわからずポカーンとして見てしまいましたが、実際に首都圏外郭放水路を訪れてみてようやくそのスケール感がわかり、首都圏の巨大地下構造物で繰り広げられた特戦四課の作戦のダイナミックさが理解できました。



「喰霊-零-」の舞台探訪は碓氷峠 以来。ちょうど北米向けの「喰霊-零」Blu-rayを見た直後だったので「ここがあのシーンで!」とわかるたびに1人で盛り上がってしまいました。

DVDからの映像特典「ロケハンスペシャル映像」では、スタッフがカメラで写真を撮りながら「ここは爆破で」とか言いながら練り歩く怪しい集団が映ってて爆笑しましたが、たった1話のためにこれだけ綿密なロケーションハンティングを行って作品のリアリティを追求する「喰霊-零-」スタッフには感銘を受けました。実在する背景ほとんどそのままなので、画像整理してて写真かキャプチャは一瞬区別がつかなくなったりもしました。

舞台探訪をやる人はアニメを見る時に特に背景に着目すると思いますが、背景って作品のクオリティを測るリトマス試験紙だと思うんですよ。ロケハンをしっかり行って背景をしっかり描く作品はシナリオやキャラクタなんかにもだいたい力が入っているので面白い作品である確率が高いです。「アニメは背景で見る時代」がいつか来ると信じて疑いません。



トンネルを掘ったシールドマシンの歯。

江戸川への排水樋管。1門でも電車が楽々通れる大きさ。

首都圏外郭放水路の見学は年1回のお祭りを除くと平日しかやってません。お祭りの時は1000人以上が行列を作ると聞くとなんとしても平日に行きたかったので念願かなってよかったです。

一時は東日本大震災で見学会が中止となっていたのが4月15日に再開。それでも節電のため照明を普段より落としているのでシャッタースピードが1/4秒とか絶望的な数字が出たりもしました。

撮影は基本的に自由にできますが調圧水槽の階段だけは危ないので撮影できません。階段の踊り場から調圧水槽を見下ろす景色は圧巻なのでぜひ機会を見つけて実際に見てほしいです。

舞台探訪に関するお願い
舞台探訪はマナーを守り節度を持った行動を心がけてください。観光地はもちろん民家の多いところや公共施設では特に他人の迷惑になったり不審に思われる行動はとらないようご注意をお願いします。

ロケ地によっては観光地化されていないところも多く、そこに人が住んでいてそれぞれの生活がある場所を、宗教的なものを彷彿させる「聖地」や「巡礼」と呼んで騒ぎ立てるのは誠に忍びないという思いから、弊サイトでは聖地巡礼という呼び方をせず、舞台探訪、ロケ地巡り、背景訪問、逆ロケハンなどを推奨しています。
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