インドネシアは健全な青少年を育成するために有害コンテンツを遮断する「Internet Positif(インターネットポシティフ)」というフィルタリングシステムがある(中国の金盾(グレートファイアウォール)みたいなもん)。この「Internet POsitif」を擬人化したIpo-chan(イポちゃん)がインドネシアでブームになっている。
Kenalan yuk sama Ipo Chan, Si Maskot “Internet Positif” yang gemesin karya anak bangsa – YouTube
赤と青ベースの服装にメガネをかけたちょっと意識高い系女子のIPOちゃん。サイドテールに「internet positif」の「+(プラス)」マークを使ったアクセサリがアクセントでかわいい。ややぽっちゃり気味のイラストが多いようで、二の腕あたりや黒ストッキングの足なんかがたまらんことになってるな!
サークルSpring RollのRouzille Erzabalnaさんによって擬人化され、身長157cmの20歳でスリーサイズは84-64-89などすでに細かい設定があるようで、これはいい安産型。
エロやギャンブルなどの不健全サイトはIPOちゃんによってフィルタリングされてしまう!という感じで、ニコニコ動画から生まれた作品みたいにネット発でどんどんファンによって勝手に広まっていくムーブメントになっているようだ。
IPOちゃん、IPOくんのコスプレ。
8月22、23日に開催されたジャカルタの同人誌即売会「Comic Frontier 6」に行ったら、IPOちゃんとIPOくんが見られてインドネシアまで行った甲斐があったというもの。
IPOくんはIPOちゃんの男の子バージョンで兄弟らしいが、どちらが年上ということはなく双子みたいなイメージかな?
何のコスプレかよくわからなかったけどコミックフロンティア6の会場内。
「乳首はダメッ!」
無料配布されていたIPOちゃんステッカーを早速有効活用!エッチなのはダメなので乳首など露出していたらたちまちこのようにフィルタリングされてしまうので注意が必要だ!
ちなみに、「waifu musiman buat apa」は、「(季節の移り変わりで放送されるアニメも変わりそれにつれて嫁も変わっていくが)一瞬だけの嫁はいらない」という意味らしくずいぶんと哲学的?(waifuは英語のWifeを日本語風読みにしたスラングで「mai waifu」=「my wife」=「俺の嫁」)
[MMD] Mr.wonderboy (Ipo-chan) – YouTube
すでにインドネシア人によってMMD化されている。
◆NAWALAさん
Ipo-kun and Nawala-san by Rouzille on DeviantArt
この他、「NAWALA」という「Internet Positif」より前に特定のプロバイダで使われたフィルタリングDNSシステムがあり、これもNawala-sanとして擬人化されている。NAWALAさんはビシっとした服装でまじめな顔立ちで身長185cm体重75キロ。子供を守るという目的のシステムを設定に反映して子供好きだがロリコンではないようだ。エッチなことや露出の高い女の子には厳しい。IPOちゃんの叔父や父のような存在だけど「お兄さん」って呼んでほしいみたい。
◆INEちゃん
Ine – chan (internet Negatif) by Juan-Start on DeviantArt
「Internet Positif」の「Positif(Positive)」に対する「Negatif(Negative)」ということでIne-chanというのもいる。INEちゃんはポルノサイトを見たりR-18コンテンツをダウンロードしたりするのが大好きでえっちに興味津々な女の子。髪を結ぶ向きがIPOちゃんとは逆側で服装も赤と青が入れ替わってる。
pixivにもCGはあるがインドネシア人は英語できる人が多いのでDevianArtに多数IPOちゃんが投稿されている。
・ipo-chan
・ipo-kun
・nawala-san
・ine-chan(関係ないのが多数ヒットしてしまう)
[MMD] Little Apple featuring IPO Chan & IPO Kun – YouTube
世界遺産のジョグジャカルタらしきところで踊るIPOちゃんとIPOくん。
このようにインドネシアでイラストやコスプレなどどんどん広がっている。インドネシアの友達にわからないところを聞いたらイマイチ反応が悪かったので全員が知っているというわけではなくまだまだこれから伸びていく感じ?PCやネット関連というと日本でかつて流行ったWindowsなどの擬人化「OSたん」あたりが近いだろうか。
インターネットの規制に対する不満の感情を擬人化で昇華しマイナスイメージを覆して親しむという点では、中国が日本を侮辱する言葉だった日本鬼子(ひのもとおにこ)とか、国際テロ組織ISISを擬人化して検索のサジェスト汚染を狙ったISISちゃんなどが近いかもしれない。
イスラム教はエロがご法度なのでエッチなのをフィルタリングするというのはなんとなくわかるが、インドネシア政府もまさかこんな形でIPOちゃんのムーブメントが広がっていくとは想像していなかっただろう。
インドネシアでも日本のマンガやアニメや艦これなどは大人気だが、擬人化やファンによって勝手に広がっていく文化がすでに波及してるのを目の当たりにできた。インドネシア発のIPOちゃんの更なる展開に期待。
◆Ipo-chan, Parodi Internet Positif Indonesia – YangMuda.com
◆Tifatul | Aku Senang
◆私の好きなインドネシア