わずか100ドル! 世界初のNEX-5/NEX-3用大口径レンズ「SLR Magic 35mm F1.7」を買ってみた!


この世にまだ3本しか発売されていないNEX-5/NEX-3対応 ソニーαEマウントのレンズに、全ユーザー待望の大口径単焦点が登場!35mm F1.7というスペックながら、重量は100グラム未満と軽量、価格はなんとわずか100ドルという驚異的な安さ。

SLR Magic 35mm f/1.7 MC lens for NEX-3 NEX-5 – eBay
プレオーダーで注文すると送料無料になると聞いてホイホイ注文。




そして香港からエアメールが届きました。



早速NEX-3取り付けてみました。

察しの良い方ならもうお気づきと思いますが、「SLR Magic 35mm F1.7」は完全新設計のレンズというわけではなくCCTV(監視カメラ)用のレンズを流用したものと思われます。

注文時は「どうせレンズとCマウントアダプタをセットにして売ってるだけだろう」と高をくくっていたら、きちんとプリントされた箱に入ってて、金属製のねじ込み式キャップとフード、それから驚くべきことにプラスチックのレンズキャップに加えてソニーαEマウントのボディキャップまで封入されてました。ソニーはNEX-5とNEX-3のキットにすら入れてないのに大サービスです。ご丁寧に乾燥剤まで入ってました。




キヤノンFDマウントアダプタでFDレンズをつけてた時と比べるとコンパクトですんげえ軽い!

「SLR Magic 35mm F1.7」は、35mm判換算焦点距離にすると1.5倍されて52.5mm F1.7の標準レンズとなります。
フィルタ経は37mmのようでビデオカメラ用やコンパクトカメラ用のフィルタを探せばあるようです。




上のベルトがピント調節で、下が絞り輪になります。どこを基準に合わせればいいのか基準線が一切振られてなくて超いい加減!

しかもゴムベルトの大きさが窪みピッタリあってなくて歪んでおり、工作精度の低さに唖然!
マウントにつけるとちょっときつく、ボディキャップも同様でしたのでこの辺のクオリティは仕方ないでしょう。

レンズに細かいチリが混入していますが、画質には影響ない程度。
むしろオールドレンズを買う時には当たり前なので気になりませんでした。

それから取り付ける前にはマウント部などをブロワーやブラシでしっかりとチリの清掃をした方がいいです。




ちなみに、レンズとCマウントアダプタに分離できないかなあと思って、後ろ玉をクリクリ回したら簡単にボロっと取れたのでご注意を!

今のところ分離する方法がわからず、他のCマウントのレンズをつけたり、レンズをマイクロフォーサーズに使い回したりすることを考えていたのに誤算が生じてしまいました。




F1.7で中心にピントを合わせてみました。このように平面を写しても端っこの方がボケてしまう像面湾曲が結構激しいです。APS-Cサイズのセンサーでも四隅のケラレがないのはすばらしく、周辺光量の落ち込みもなだらか。




F5.6くらいに絞りました。これでもまだ端の方はボケています。

パンフォーカス的な使い方をしようとすると、回析現象を気にせずF11以上に絞って中心と端の中間あたりにピントを合わせて使うしかありません。それでもあくまで縮小前提のWEB素材に使えるレベルだと思います。むしろパンフォーカスで撮るならキットレンズのE18-55mm F3.5-5.6 OSS.がわりと評判がよいのでそちらに任せた方がよいでしょう。





開放のF1.7では少しコントラストは落ちますがピントが合っているところはしっかりと結像していると思います。大口径単焦点の開放付近にありがちな色のにじみ(軸上色収差)はほとんどありません。




「SLR Magic 35mm F1.7」の絞りは6枚。F1.7からF2.8くらいまでは円形から角が柔らかな六角形なのですが、F5.6くらいで写真のような独特の形になり、ボケにもこのような形がはっきりと出てしまいます。

F5.6前後の中間絞りではボケが汚くなる可能性が高くなりますが、逆に考えればイルミネーションなんかを独特のボケで写せるのではないかと思います。




eBayでの説明書きには最短撮影距離は30cmと書かれていたのですが、実際は40cmくらいまでしかよれず、5cm程度のフィギュアだとこのくらいの大きさにしか写せませんでした。


まあ、マウントから外して浮かせればこのくらいまでは大きく写せます。ボケ味もなかなか。




背景が同心円状に歪むグルグルボケ

古いレンズにはよく見られた現象でクラシックな描写も可能になります。こういった描写が好きでCマウントのレンズにはまっていく人もたくさんいるようですね。




四隅の周辺光量の落ち込みやボケによってピントを合わせた部分が浮き上がってくるような存在感があり、積極的に日の丸構図で使いたくなります。

これのみシャッタースピードが1/4000を超えたのでF2.8付近で撮影。以下は全部「SLR Magic 35mm F1.7」でF1.7の作例になります。


















100ドルは現行のレートで8500円とすると、Cマウントアダプタが4000円から5000円なのでレンズは4000円くらいならネタで買ってみるのもいいか、くらいの気持ちだったので、「SLR Magic 35mm F1.7」が予想外にソニーαEマウント対応レンズとしての体裁を保っていたのは素直に驚きました。

「SLR Magic 35mm F1.7」は日本のメーカーのレンズと比べると工作精度は最悪で、接写がスペック通りでなかったのは残念だったものの、レンズはケラレもなく描写自体はかなりまとも。しっかりと端から端まできれいに写って当たり前、という現代的な写りを求める人には向かないと思いますが、なだらかな周辺光量の落ち込みやグルグルボケといった最近のレンズでは出すのが難しい描写を楽しんでみたい方にはオススメしたいです。

これをきっかけに近年は敬遠されがちな単焦点レンズやマニュアルフォーカスレンズ、そしてオールドレンズのマウントアダプタの世界を知るきっかけになってくれたらと思います。10倍前後の高倍率ズームでもきれいに写るようになったズームレンズ全盛期だからこそ、MTFや等倍に拡大して解像力はどうだ!、といったレンズの比較もよいですが、レンズそのものが持つ味を生かす方法を模索してみるのもよいではないでしょうか。




レッドなNEX-3にはいまいち似合わないものの、わずか100グラムほどの軽量なレンズに普段のお散歩カメラはもうこれでいいんじゃないかと思えるほどで、これからガンガン使っていきたいです。

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