永水女子の5人中全員が巫女服で分家がどうとか言うセリフもあるため鹿児島県内の由緒正しい有名な神社の巫女ではないか、なおかつ霧島市に「永水」という地名があることから、永水女子の舞台は霧島神宮周辺に違いないと睨んでいたところ、全国大会編が進むにつれて徐々にその全貌が明らかになってきました。
2011年3月13日についに全線開業した九州新幹線で終点の鹿児島中央にやってきました。
そしていよいよ春の霧島神宮へ。
階段の途中から振り返ると冒頭に載せた第73局のセンターカラーに。
「さざれ石の巌となりて 苔のむすまで」という国歌に詠まれているあのさざれ石です。
さざれ石は要するに天然のコンクリート……と言ってしまうとすげえ安っぽくなっちゃいますが、国歌発祥の地と言われる岐阜県揖斐郡から奉納されたもので、小さな石が寄せ集まって岩になり苔がむすくらい長く時代が続いていくという歌詞の意味を示すものになります。
日本の最高神・天照大神(アマテラスノオオミカミ)の孫である瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が高天原から地上に降りたとされる「天孫降臨」が行われたのが霧島連峰とされており、瓊瓊杵尊を祀っているのがこの霧島神宮となります。ちなみ天照大神は「朝霧の巫女」舞台探訪で行った伊勢神宮。
ということは、永水女子麻雀部は日本が始まった場所で神職を司る巫女になるのです。
咲-Saki-の作中では「六女仙を従える霧島神境の姫」というフレーズや鹿児島の山中に仙境があるというような話が出てきますが、調べてみると霧島山の隠れ里に仙人がいると言う宮地厳夫という神道家の著書がヒットしたのでこうした霧島神境について書かれたものがモチーフになっているのかもしません。
永水女子の眠り姫・神代小蒔。
神代小蒔は眠ることによって「九面」を降ろして覚醒する。
「九面」とは先ほどの天孫降臨の神話に出てくる9人の神様にちなんだお面。
咲-Saki-作中で神代小蒔はこれらの神様そのものを降ろすという意味で使われているのでしょう。そもそも「神代」というのは「神の化身」のことですから。
この九面は霧島神宮に祀られているものの、残念ながら一般公開はされていないので見ることはできませんが、霧島神宮のすぐそばに霧島九面大橋があり、ここで九面の銅像を見ることができます。
九面については帰ったから知ったのでたまたまここで写真を撮った時点では「不気味な橋だなあ」くらいにしか思ってませんでした。背景として直接咲-Saki-には出てきませんが、永水女子を考える上では重要なスポットになるのでこの辺も含めて回りたいですね。
タコスこと優希と対戦したときは九面の中でも弱いモノだったそうですが、天孫降臨に出てくるような神様を降ろしてくるわけですからもっと強いヤツが出ていたら優希はひとたまりもなかったことでしょう。
部長にポリポリ食べさせたい!
中堅戦で滝見春が食べていた喜界島の黒糖のお菓子も探してみました。
喜界島は奄美大島の隣にある小さな島。咲-Saki-で名前を見るまで知りませんでした。
種子島のアンテナショップがある鹿児島中央一番街のアエールプラザのスーパーで購入しましたが、もしかしたら鹿児島中央駅の土産屋などもっと一般的に売られているものかもしません。残念ながら喜界島には停まりませんでしたが鹿児島から沖縄に行くフェリーの船内にも売ってました。
鹿児島中央駅から霧島神宮駅へ向かう特急の車窓から。高千穂峰の角度を咲-Saki-と同じように合わせようとすると、宮崎県の都城のあたりから北西を見ないといけないんですよね。しかも高千穂峰の大部分は宮崎県だったりします。
咲-Saki-の絵だと高千穂峰を都城と反対の方角から見た可能性も考えられるのでそれだと鹿児島県内もありえますが、手前のクレータのように見える新燃岳(しんもえだけ)のあたりから南西を向く必要があります。
ただし新燃岳は2011年1月から今も断続的に噴火が起きてる活火山で、火山灰による多大な被害が出ているためもう当分登山することはできないでしょう。
高千穂峰のカットをもう1度よく見ると山の上というよりは地上から高千穂峰を見上げるような構図なので、新燃岳などの霧島連峰からのアングルという可能性は低そうでしょうか。もっとも咲-Saki-のロケ班なら霧島連峰に登山くらいやりかねませんが。
やはり都城あたりからだとするとなぜ宮崎県からという疑問が残りますけど、この調子だと高千穂峰のすそにあるかつての霧島神宮跡に行ったり喜界島にも上陸してそうなので今後も九州南部全域に注意が必要です。
霧島神宮は紅葉が有名な場所でもあり、スカイマークの羽田–鹿児島が去年の秋に片道1万だった時に行きたかったけど結局タイミングを逃してしまい地団駄踏んでいたのですが、今回は霧島神宮と桜が見られる春を狙い、また霧島神宮と駅の間では満開の桜と菜の花のコラボレーションまで見ることもできたので無理してでも行けてよかったです。
2009年6月に行った時のもの。小雨に霧で覆われる霧島神宮も神々しくてどのシーズンでもオススメです。
魑魅魍魎がばっこする全国大会だけあって、永水女子や神代について調べていけばいくほど設定まで含めたその人外っぷりがわかって驚かされました。麻雀は4人で対戦するためどうしてもライバルキャラについて掘り下げていくのが難しい中で、背景取材ももちろんですが日本神話や霧島の逸話などをしっかりとキャラ設定に織り込んでいく小林立先生のこだわりっぷりがすごすぎて脱帽モノでした。
ただマンガを読んでいるだけではおそらくまったく気がつかずに通ってしまったであろう内容についてロケ地を巡ることによって発見することができたのも舞台探訪の醍醐味。第7巻の時に書いた衣と長峰山の歴史の塔についてはどこまで作者が考えて描いたかは不明ですが、今後も舞台探訪ならではの作品の紐解きを行っていけたらと思います。