インドネシアの首都ジャカルタへ輸出された南武線車両を見てきた。
南武線の車両がジャカルタに輸出されたらしい
南武線の車両。
南武線の車両がジャカルタに輸出される。ジャカルタ都市圏の鉄道網であるKRLジャボタベック(Jabotabek)は線路幅が日本と同じで日本の中古鉄道車両が大量に輸出されて走っている。
立川駅。
ニュースを見て南武線車両輸出の話は知っていたが、実際にジャカルタへ行く機会ができ、昔、南武線沿線に住んでいたこともあるので「ジャカルタでの第二の人生」というか「成れの果て」を見てやるかと思った。
しかし、南武線の205系はまだ運用されておらず試運転中らしい。いつどこを走っているのかの前にまずジャカルタの路線図すら把握してないぞ。
「これはこまった。」ということで、ジャカルタを案内してくれるというトミーさんに
かずぴー「ねえねえ、南武線ってどこ走ってるの?」
ってな感じで聞いてみると
トミー「鉄道好きの後輩に聞いてみますね……」
しばらくしてテキストファイルが送られてきた。
おい、試験日と走る時間もわかってるのかよ!
渡航中の日程で何時何分にどこそこの駅を通過するといった完璧な運用表が送られてきてビビる。しかもよく見ると南武線時代の編成表まで完備されててマニアックだなあ。インドネシアの鉄道好きをちょっと舐めすぎていたようだ。
後は「BOO」が「Bogor」など省略された駅名を調べれば簡単に見られそうで拍子抜けしてしまったが、これで南武線の試運転を見られるぞ!ということでジャカルタに飛んだ。
ジャカルタで南武線を探す
クリエイティブコモンズよりジャカルタの路線図。
南武線の試運転は南北を走る一番の幹線っぽい「Manggarai/マンガライ」から「Bogor/ボゴール」間でやっているようなのでとりあえずマンガライ駅を目指す。
「第一水雷戦隊。出撃です!」
駆逐艦・電ちゃんなスズキ・イナズマですか……。
電ちゃんの後ろに乗せてもらったはいいが、ジャカルタ市内をバイクで走るの怖えええええええ!!!!!
おお、線路だ。
無事に生きてマンガライ駅に到着。借りたICカードで急いで改札内に入る。
東條希さんでしたか……。
自作感あふれるラブライブ!なICカードで駅構内へ。
南武線の車両ってどこにいるんだ?
もしかしてこいつら?
205系っぽいけどなんか違うな。そもそも205系と中央線などで使われていた203系の違いすらイマイチよくわかってないので区別がつかない!これはアカン!
10:45にマンガライ駅出発と書いてあったのに到着が10:43だったので、もしかしたらもう行ってしまったのかもしれない。
東急8500系
プラットフォームがないところは球場の特設スタンドみたいので嵩上げしててカオスすぎるぞジャカルタ。
205-360
おい、南武線の205系ってもしかしてこいつ?
・205系中原電車区編成表(最新版) – 4号車の5号車寄り
帰ってから調べると「インドネシア譲渡・配給済」と書かれていて間違いなくジャカルタに輸出された南武線車両だった。
204-359
とか言ってるうちに行っちゃった!
とりあえず次に来た電車に乗ってボゴール方面に向かう。
東京メトロ7000系は立ち客がいるほどの乗車率。平日昼前なのに結構人いるなあ。
「Depok/デポック」に到着。
トミーが仕事だというのでいったん途中で別れたのだが、「南武線205系が通過していった!」という情報がLINEに飛んできたので、何事かと思ってデポックで下車。
しばらくして、
うわ、本当にきた!
あっという間にデポック駅を通過していく南武線。
どうも、自分の乗った列車が途中から先に行っていたみたい。マンガライ方面からやってきた南武線車両はデポック駅に停車することなく通過していった。
前面が赤く塗られてしまっているが、南武線の「黄色、オレンジ、茶色」のラインカラーがそのままになっている。
沿線に住んでいたときは「早く廃車になればいいのに」といつも思っていたが、まさかこんなところで再開することになるとは思いもしなかったので、ついついうれしくなっちゃうな!
先ほど乗ったのとは別の東京メトロ7000系。
地下鉄車両が、赤や黄色などいかにも南国っぽいカラーになってお外を走っているのは「何だこれ」感ある。
ジャカルタで南武線を撮る
南武線車両が定期運用される前からすでに205系は最大派閥っぽく、デポック駅にしばらくいると頻繁にやってくる。
「根岸線経由 逗子」
これは横浜線から来た205系だけど、「根岸線経由逗子行」って何だこれ?と思ったら、八王子から横須賀方面に行く列車が土日の昼に1本だけ運用されていたらしい。
こんなレア方向幕が毎日走っているがジャカルタの日常だ。
輸出される前にJRの人が遊び心でやったのがそのまま残ってるのかねえ。
東京メトロの王冠みたいな「ハートM」もそのまんまなのか。
日本の中古車や鉄道車両は日本語が残っていた方が質のいい日本製だとわかりやすいのであえて残す、という話をよく聞くが、ジャカルタに輸出された鉄道車両はあまり残っていなくて探さないとすぐには見つからなかった。
ジャカルタでは線路内立ち入り禁止という概念がないのか、こんな感じで踏切なしで線路を横切れる場所がたくさんある。
南武線車両が終点のボゴール駅から折り返して来た。
東急8000系と並ぶ。
6号車 クハ204-132
5号車 モハ204-360
4号車 モハ205-360
3号車 モハ204-359
2号車 モハ205-359
1号者 クハ205-132
デポック駅に停車した南武線205系。
そして車両基地の方へ去っていった。
1キロくらい先にあるので住宅街を抜けて歩いてみた。
うまく見えなかったので思いっきり撮影に失敗していたがとりあえず写っていた。
この後、ジャカルタの鉄道好きの人と合流。Univ.Pancasilaに移動。
車両基地からやってきたと思われる南武線205系が接近。
よく見ると前面の窓に投石防止の金網や、ホームの隙間対策でドアにステップが取り付けられているのがわかる。
JRのロゴを剥がした跡がはっきりと残っている。
停車することなく通過。
この後「トミーと合流して帰るか」と思ったら、どうもまだ撮影する気だったらしいので「え?まだやるの?」と思ったが、試運転中の南武線を撮る機会などもう二度となさそうなので付き合うことに。
先ほどのデポック駅から2つ先にあるBojong Gede駅がカーブしててオススメの撮影スポットだというので移動。
205系。
確かになかなかの場所だが、こちらのマイクロフォーサーズに14-140mmのレンズじゃ明らかに望遠が足りてないことが発覚!これはぬかった。
南武線205系きた!
目線がドアよりしたから南武線車両を見る機会なんて日本じゃなかったな。
しばらく停車して終点のボゴールへ向かっていった。
南武線からナンボ線へ!
NAMBO/ナンボ行
ナンボ線はデポックから分岐する盲腸線で単線。電化されたので205系などが走ることができる。ちょうどナンボ行きの203系(常磐線?)を見ることができた。南武線205系も運用が始まればこのナンボ線も走ることになる。
このようにデポック駅の先からナンボ線が分岐していく。
南武線の車両がジャカルタではナンボ線を走るというのは胸が熱くなるな。
このように、ちょっと前まで世話になっていた鉄道車両と南半球で再会するという不思議体験ができるのがジャカルタだ。次来た時は乗客を乗せて定期運用される南武線205系でナンボ線へ行きたい。