香港島を守る9.2インチ砲の台座と兵舎の廃墟!摩星嶺砲台


香港島西部にある摩星嶺砲台(Mount Davis Battery)へ。



シカゴ大学香港校園付近の入口から舗装された山道を登っていく。



中腹に1つ目の砲台跡。

摩星嶺砲台は香港島の西部の防衛を行う射撃指揮所として20世紀初頭にイギリス軍によって建設。

1930年代に香港島南部のスタンレー(赤柱)から2門の9.2インチ砲(BL 9.2-inch Mk X naval gun)が移設され、6インチ砲(BL 6-inch Mk VII)を足した合計5門の大型砲台を設置。

1941年12月に日本軍が攻めてくると、投降前に砲台や付属する施設を爆破したそうだが、今でも数多くの構造物が残っている。



左側にラマ島、右側に香港国際空港までの途中に遠るランタオ島などが見える。




L字状に曲がった通路や広めの部屋。

ここが司令部かと思ったけど、山の中腹に建設することはない?



2つ目の砲台跡。

やや崩壊が進んで草木も伸び放題。9.2インチ砲の射程は18kmで、香港国際空港までは届かない。



浄水施設と思われる建物と建物内の電源台座、外には大きめの水槽。




摩星嶺砲台の一部は電力会社か通信会社がイギリス軍の建物を流用しているようだった。



頂上方面に登っていく道。こちらは戦後に敷設されたものかな。



もう一方には細い階段がある。



階段の途中から分岐した監視所?

英語で文字が書かれていたけど読めなかった。



登り切ると3つ目の砲台。

9.2インチ砲は最終的に3門あったようなので、見てきた3つの砲台跡に9.2インチ砲がそれぞれ設置されていたのだろう。




奥に進んでいくと弾薬庫か兵舎となるコンクリートの建物が並ぶ。



香港のイギリス軍の建物はだいたい「コ」の字状の二重障壁になっている。

ただし、入口方面は窓があって爆破には備えた構造になっておらず、なぜそのような構造になっているのかわからない。日本陸軍・海軍の弾薬庫の入口はシケイン状に折れ曲がって、敵の侵入を防いだり事故で爆発した時の対策になっているのだけど。



更に奥に進んでいくと似たような建物が並んでいる。



電源の台座と思われるコンクリート。



通気孔。



トンネルで向こう側に行ける構造。




トイレかシャワールーム?



2階部分が監視所になっている?

香港の要塞はだいたいハイキングコースになっており、戦跡で結婚写真を撮る集団をよく見かける。摩星嶺砲台は撮影の演出のために夜間に火を使って火事を起こし、文字通り炎上してニュースになったこともあるが、その跡はどこかはわからなかった。



摩星嶺砲台へのアクセス。

摩星嶺砲台の登山口への行き方は、香港地下鉄MTR港島線の終点・堅尼地城(Kennedy Town)から西に向かって徒歩1.7km。

最寄りのバス停はシカゴ大学香港校園の付近にある摩星嶺径
香港国際空港からA10
九龍半島の中心部になる佐敦、油麻地、旺角あたりからは971
香港島の中環方面へは1、1P、M43



ケネディタウン駅を出て西を向く。

ここから横断歩道を渡ってまっすぐ進んでいく。

ちなみに、オフライン地図アプリmaps.meではケネディタウン駅付近から摩星嶺砲台へ山を登っていけそうに見えるが訪問時は工事中で入れず、北側から南に向かって登る階段も見えるがこちらも封鎖されているため、西側の山道を登っていくしかない。

この日は、香港や台湾で人気のYouTube一行が頂上付近の開けた場所で撮影を延々とやっててほのぼのとした空気が流れていた。頂上付近にはユースホステル(YHA Jockey Club Mt. Davis Youth Hostel)もあるので、機会があれば泊まってみたい。
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