Go To Eat キャンペーンはバグだらけだった「実質無料で飲食できる福祉」「大手が儲かるだけ」 : さざなみ壊変

2020年10月1日から始まったGo To Eat キャンペーンのうち、オンライン飲食予約サイトでレストランを予約・来店するキャンペーンの概要やポイントについて調べるためにいろいろ試してみた。

Contents

1 15のオンライン飲食予約サイトから予約して来店する
2 席だけ予約やテイクアウトもOK
3 実質無料で飲食することが可能
4 更に提携ポイントも加算される
- 4.1 Go To Eat 加算のタイミング
- 4.2 オススメのサイト
5 予約システムや店側のオペレーションの問題
6 店ごとに掲載される予約サイトが違い全部を網羅するWebサイトがない
7 大手外食チェーンと予約サイトが儲かるだけ

15のオンライン飲食予約サイトから予約して来店する

https://gotoeat.maff.go.jp/

Go To Eat キャンペーンの詳細は、公式サイトとなる農林水産省 GoToEatキャンペーンに情報がまとまっており、販売額の25%の上乗せをするプレミアム付食事券と、オンライン飲食予約サイト経由の予約・来店によるポイント付与の2本柱になっている。ここでは後者を紹介する。

オンライン飲食予約の利用によるポイント付与概要

昼食時間帯は500円分、15時以降の夕食時間帯は1000円分のポイントを付与
ポイント付与の上限は1回の予約あたり10人分まで(10000ポイントまで)
ポイント付与は2021年1月末まで
ポイントの利用期限は2021年3月末まで

昼に利用すると500円、15時以降に利用すると1000円相当のポイントがもらえ、一度の来店で最大10人分までなので、仮に11人で来店すると1人分のポイントはつかないことになる。

15のオンライン飲食予約サイトから予約する必要がある

Go To Eat キャンペーンでポイントを獲得するには以下の15の予約サイト経由で予約して来店する必要がある。

ぐるなび
食べログ
Yahoo!ロコ
一休.comレストラン
EPARKグルメ
EPARK
HOT PEPPER
favy
トレタ
オズモール
Retty
LAXA
ヒトサラ
Chefle
大阪グルメ

ぐるなび、食べログ、HOT PEPPER、Yahoo!ロコといったオンライン飲食予約サイトでそれぞれ会員登録を行う必要がある。

付与されたポイントは次回以降の来店で使えるようになり、試したぐるなびの場合だとポイント付与までは翌日から8日以内に加算されるようだ。

予約→来店して飲食→会計するだけでOK

客側のやることは会員登録した予約サイトでGo To Eat キャンペーン対象店舗を検索して予約する。後は、来店して予約サイトで予約した旨を伝えて飲食し、会計を行うだけとなる。

もし1週間くらい経っても加算されない場合は、店側のミスと思われるので店に連絡をして処理してもらうことになるだろう。

居酒屋の税込550円ランチ。

15のうちあるサイトのうちどれにするか迷ったが、楽天会員のアカウント情報を紐付けると別途楽天ポイントが貯まるようだったのでぐるなびをチョイス。

Go To Eat キャンペーンで昼は500円相当の還元なので実質50円で食べられたことになる。

席だけ予約やテイクアウトもOK

今度は夕食時間帯の利用。

いろいろ検索してみると事前にコース料理を選ぶ以外にも席だけの予約やテイクアウトもGo To Eat キャンペーンの対象になるようだった。

新型コロナウイルスによる外食需要の落ち込みで大手居酒屋チェーンでもテイクアウトやウーバーイーツをやっているようで、店舗のコース料理の一覧からテイクアウトを選んで予約を進めることになる。

テイクアウトだと厳密には「Go To Eatしてねえやん！」となるわけだけど、新しい生活様式が普及したポストコロナの世界なので許されるのだろうか……。

※テイクアウトは本来対象外のようで、お店側の設定でテイクアウトできないよう対策が行われている

実質無料で飲食することが可能

そして、予約後に夕食時間帯として来店して、ぐるなびからテイクアウトを予約している旨を店員に伝えて持ち帰りメニューをもらい、一品頼んでしばらく待ち、会計を行って帰宅。

きしめんナポリタン。名古屋出身ながらきしめんを食べる習慣がなかったのできしめんとしてどうなのかレビューできないものの、もちもちとした食感と肉厚のハムはなかなか。

会計は880円の持ち帰り20%オフで704円。

最初は1000円を少し超えるように調整しようと思っていたら、1人でテイクアウトメニューではどのメニューを選んでも1000円未満になってしまうようだったので諦めた。

支払いが1000円未満の場合でも1000ポイントもらえると思われるので、このままでは収支がプラスになってしまうのでとてもまずい気がする。

※昼は税込500円、夜は税込1000円以上払うことが求められるになった。しかし、システム的には対応してないと思われるので良心が問われる

更に提携ポイントも加算される

ぐるなびで楽天ポイントの会員情報を紐付けておくと、夜は来店した人数ごとに100楽天ポイントが貯まる。昼は25ポイント

昼ならGo To Eat キャンペーンで500円相当、楽天ポイント25で525円相当。夜はGo To Eat キャンペーンで1000円相当、楽天ポイント100で1100円相当の還元となる。

食べログでは、PC・スマホ予約で人数×50、アプリだと人数×100(昼は20)の食べログのみで使える期間限定Tポイント、といった感じで各社ポイントがもらえるようだ。

Go To Eat 加算のタイミング

ぐるなびは1000ポイントの加算まで8日かかり、ホットペッパーは7日後に加算され、概ね1週間程度で加算されるようだが、ホットペッパーは10月1日～15日来店分は10月29日加算、10月16日～23日来店分は11月9日加算という暫定対応になる。

オススメのサイト

ぐるなびはANAマイレージなどに変換できる楽天ポイントが加算され、しかも楽天PointClubのゴールド、プラチナ、ダイヤモンドのランクアップ対象になるため、タダ同然で飲食して楽天のステータスまで手に入れることができるのでメインとして使うのがオススメ。

ホットペッパーはPontaポイントが昼は10ポイント、夜は50ポイント加算される。ホットペッパーは冊子時代から営業ソルジャーが開拓した個人経営の中華料理屋やカフェなども含めて掲載店舗が非常に多いためサブでの利用に便利。また、期間限定でハピタス100Pも加算されるので、いったんハピタスのサイトを踏んでから予約すると非常においしい。

予約システムや店側のオペレーションの問題

Go To Eat キャンペーンで初めてぐるなびのネット予約を行ってみたが、「テイクアウト1名～」と表記されていても、予約を進める段階でなぜか2名以上しか選択できない場面に遭遇した。これは、予約サイトのデフォルト設定が2名以上になっていて、店側がコロナ禍によってテイクアウトを追加した際に設定を間違えて登録したままになっていると思われる。

とりあえず、2名で予約してコメント欄に「予約システムでは2名以上しか予約できないので2名で予約しますが来店は1名です」と記載して来店したが、翌日10月2日になりGo To Eat キャンペーンのポイントはまだ加算されないものの、楽天ポイントが2人分の200ポイントしっかり加算される表記になってしまったので、慌てて問い合わせることになった。ぐるなびのサポートページを見ると、こういった場合は店に直接問い合わせることになる。

これは厳密には予約システムや店のオペレーションの問題であるのだが、Go To Eat キャンペーンのポイントも余分に加算されることになれば不正付与の温床になりそうな気がする。

店ごとに掲載される予約サイトが違い全部を網羅するWebサイトがない

Go To トラベルキャンペーンの地域共通クーポン紹介ページ。

Go To Eat キャンペーンで他に問題点を挙げるとすると、利用できる店舗とその店舗が予約できる予約サイトを網羅的に紹介したWebサイトが存在しないことである。

先日公開された、Go To トラベルキャンペーンの地域共通クーポン紹介ページでは、地図から使えるお店を業種ごとに探すことができるWebページが公開されたが、Go To Eatにはそういったページが存在しない。

しかも、食べログやぐるなびのGo To Eat キャンペーンの登録店舗を見てみると、「A店は食べログにしか掲載されておらず、B店はぐるなびにしかない」といった感じでGo To Eat対象で予約できる店舗は意外と重複しておらず、予約サイトごとに自分で全部見て調べないといけなかった。

楽天トラベルやリクルート系のじゃらんに掲載されている旅館やホテルはほとんど同じだが、オンライン飲食予約サイトにおいては、このサイトを見ればだいたい全部掲載されているというWebサイトが存在しないためとても手間となる。

大手外食チェーンと予約サイトが儲かるだけ

呉鎮守府の下士官を中心に海軍御用達だった100年以上の老舗料亭である五月荘はGo To Eat対象！大和むすび、肉じゃが、全国でも珍しい海軍工廠をゆかりとした細うどんなどが食べられる！

「Go Toイート」開始飲食店「サイト離れ」で“効果限定的”も | NHKニュース

【NHK】外食の需要を喚起して飲食店などを支援する「Go Toイート」のうち、予約サイトを通じて食事をした場合にポイントが受けられ…

飲食店が予約サイトを利用する場合は、1人あたり50円から200円を仲介手数料を予約サイトに支払う必要があり、この手数料が負担となって予約サイトに登録する飲食店は少ないのでGo To Eat キャンペーンの効果は限定的だという報道が行われた。

実際、ぐるなびや食べログを見ると中規模や大手居酒屋チェーンばかりが登録されており、客単価の低そうな街の定食屋はほぼ見られない。

Go To トラベルキャンペーンも同様で、感染対策ができないのでGo To トラベルへの登録を見送る中小の旅館が少なくないらしいのだが、飲食業界のGo To Eatにおいても本当に支援が必要な零細事業者にお金が降りてこないという問題点が浮き彫りになっている。

結局は、大手外食チェーンとヤフー、リクルート、カカクコムといった大手代理店が儲かるだけの政策になりそうなのがGo To Eat キャンペーンの実態ということになる。農水省畑の族議員で話題になった「お肉券」「お魚券」と大差ないかもしれない。

平日の牛角では60分飲放題付き980円(税抜)の焼肉定食もあるようだ。

上記に書いたとおり、税金を使って実質無料で食事ができてしまう福祉状態も問題なので、昼は1000円以上、夜は2000円以上など仕様変更した方がよさそうなのと、Go To Eatは農業生産者への支援も兼ねているので安い輸入食材ばかり使う大手外食チェーンは外して一定の割合は国産の食材を使う業者に絞るといったこともやった方がいいのではないかと思う。現実的にはややこしい運用や審査はやってられないと思うので、それならプレミアム付き食事券だけに絞ってもいいかもしれない。

日経新聞には6000億円相当の効果と書かれていたGo To Eat キャンペーン、近いうちにいろいろ揉めそうな気がする。

ここで唐突に、ドラマ「孤独のグルメ」に出てくる台湾の甘味処「古早味豆花」。

Go To Eat キャンペーンが大手外食チェーンと大手代理店だけが儲かる仕組みなのだとすれば、このキャンペーンはあえて使わずに、孤独のグルメのゴローちゃんのように人知れず隠れた自分だけの名店を探して食べ歩いて支援するのが真の意味でのGo To Eat キャンペーンなのかもしれない。

※追記、串カツ1本や10円の調味料、鳥貴族で税込321円の1品だけ頼んで1000円クーポン獲得をマラソンする「鳥乞食」「トリキの錬金術師」といった行動が問題となり、店側の設定で「席のみ予約」や1名での予約が封じられる店舗が増え、政府側で昼食500円、夕食1000円未満はポイントを付与しないよう通達が行われた。