24時間トランジットビザ免除制度で中国本土を経由し香港/マカオ/金門へ鉄道や船で抜ける 深センのアライバルビザ


日本国民を対象とした、中国へ15日以内の短期滞在に対するビザ免除措置がコロナ禍以降停止されて久しい。24時間トランジットビザ免除制度を使って「東京→北京(入国)→国内線で深セン→鉄道や船で香港/マカオ」と移動可能か調べた。

24時間トランジットビザ免除

外国人24小时过境免签有关政策解读
中国の公示を見ると、「日本→中国本土→第三国(香港・マカオ・台湾を含む)」と移動して中国本土から24時間以内に出港する場合、出入国審査で一時入国許可を申請すればビザなしで中国へ入国できる「24時間トランジットビザ免除」という制度が存在する。

中国国際航空「東京→北京(入国)→成都→イスタンブール」6万円!みたいな格安航空券は中国で2回乗り継ぐものがある。これは24時間トランジットビザ免除を利用して、北京で入国後24時間以内に国内線で成都まで移動し、成都で出国してイスタンブールへ飛ぶというものだ。

似たような制度として72/144時間トランジットビザ免除というものもあるが、これは指定都市圏から出ることができない。対して、24時間トランジットビザ免除は中国全域を移動可能となる。なので、北京で入国後に国内線で成都へ移動できるわけだ。

公示を見ると航空の他に鉄道と船も可能と読める文章が書いてある。しかし、「日本→上海(入国)→深セン→高速鉄道や船で香港/マカオ」のように鉄道や船を組み合わせた移動をやっている人を探してみたところ見当たらなかった。

全行程で座席指定されたチケットを持って24時間以内に中国本土から出れば問題ないはずだが、もし出入国管理局で止められたり航空会社が乗せてくれないという運用だったらNGだ。

中国の航空会社は電話しても全く繋がらなかったり「メールボックスがいっぱいです」と謎の自動音声が流れて切れたりして役に立たない。厦門航空は問い合わせ用のメールアドレスがあったので「まともな返答は得られないだろうな」とダメ元で送ってみたら、まさかの1営業日以内に返答が還ってきた!

内容をまとめると「東京→福州(入国)→深セン→高速鉄道で香港」は福州の出入国管理局の判断次第だが可能なはず。「香港から高速鉄道で深セン→福州(出国)→東京」は深センの出入国管理局の判断基準がわからないので答えられない、というものだった。完全に想像でしかないが日本へ戻る旅程もちゃんと説明できればたぶん可能だろう。※追記: トランジットビザ免除は空港でしか発行されないので「香港→深セン→福州(出国)→東京」はできない。後述の深セン特区旅游(E)ビザで入国して「香港→深セン→東京」なら可能だろう。※追記の追記: 中国移民管理局のサイトには「国際慣例に従って、中国で外界に開かれているすべての港は、世界中の人々に対して24時間ビザなしの通過政策を実施している(参照国际通行做法,中国所有对外开放口岸对世界各国人员实施24小时过境免签政策。)」という記述がある。航空、船舶、鉄道を利用する場合は24時間トランジットビザ免除の対象になると書かれているため、深センと香港のボーダー付近まで鉄道で行って歩いてボーダーを越える羅湖口岸などは対象外だと解釈できる。また、香港西九龍は鉄道なので対象になりそうだが、72/144時間トランジットビザ免除の対象ではないため、現場は24時間トランジットビザ免除を認める運用になっていないのではないかと思われる。

なので、「東京→北京(入国)→厦門→船で金門」も可能(ただし2023年の運用では外国人は厦門から金門へのフェリーは乗れないらしい)。「東京→北京(入国)→昆明→高速鉄道でラオス」も可能なはずなのでこれはかなり熱い。72/144時間トランジットビザ免除は対象空港が決まっており移動可能エリアも決まっているので、24時間という制限はあるものの格安航空券を利用したり好きに旅程を組んでビザなしで中国全域を移動して第三国へ抜けられるのはとても楽しそうだ。


入国時の注意点

24時間トランジットビザ免除で中国に入国する場合は、通常の中国入出国カードは使えない。白地で縁が青い乗継用の一時入国カードに記入しよう。

入国審査エリアの横側にある受付で24時間トランジットビザ免除の申請をしてから入国審査に並ぶ必要がある。

24時間トランジットビザ免除は、乗り継ぐ際に入国する必要がないと入国を拒否されて空港のベンチで寝るしかないという例も起こっていたが、2024年1月以降は、北京首都空港、北京大興空港、上海浦東空港、杭州粛山空港、アモイ高崎空港、広州白雲空港、深セン宝安空港、成都天府空港、西安咸陽空港の9空港で、24時間以内に出国するチケットがあれば手続きなしの24時間ビザ免除を受けられるようになった。


ラオスへの磨憨鉄路岸口が追加に

2024年7月に雲南省の磨憨鉄路岸口(モーハン)が最大144時間トランジットビザ免除の対象に入った。

これにより「東京→昆明→高速鉄道でラオス」以外に「ラオス→高速鉄道で昆明→東京」のような逆向きルートも可能になった。第三国に抜けるチケットがあれば乗継時間によって24時間か144時間のトランジットビザ免除が受けられる。

また、広東省の蛇口港口岸と南沙港口岸も対象になっており、香港の香港国際空港、上環やマカオから深センや広州へ行って最大144時間トランジットビザ免除が可能になった。


深センの5日間アライバルビザ 特区旅游(E)ビザ

深セン特区旅游ビザの取得可能ボーダー

  • 宝安国際空港
  • 羅湖口岸
  • 皇崗口岸
  • 蛇口口岸
深センには香港との国境となる岸口で5日間のアライバルビザである「特区旅遊(E)ビザ」がもらえる。到着日+5日間で実質6日間深センに滞在可能だが広州や珠海などへ移動できない。

香港MTR東鉄線の終点となる羅湖駅のボーダーでは取得可能ながら、もう1つの終点である落馬洲駅のボーダーでは取得することができない。

時間は9時から17時のようで、深圳宝安国際空港は到着時間に注意する必要がある。


皇崗で深セン特区旅游ビザを取得


香港MTR東鉄線の終点である落馬洲からバスB1路線に乗って皇崗口へ。

特区旅遊(E)ビザは午前と午後とでそれぞれ数に限りがあると聞いていたので、空いてそうな皇崗口へ向かった。落馬洲駅も深センとのボーダーとなっているが、上記の通り特区旅遊(E)ビザの対象外となっているので落馬洲から深センに入ることはできない。




香港側から無料のバスに乗って皇崗口の入境へ。



皇崗口の入境審査建物が見えてくる。

申請書を書いたり写真を撮ったりして、最後に168元(3500円)を支払うとアライバルビザがもらえる。通過するのに1時間半もかかってしまったが、スムーズに進めば1時間もかからないだろう。一応、無料のWi-Fiがあって手続きを進めることもできる。

執筆時は130元に値下げされたようだ。東アジア諸国で敵性国家とみなされて中国大陸に入るのにビザが必要な国はすでに日本くらいしかなく、周りも全員日本人のいるグループだったので、細かいことがわからなくてもなんとかなるだろう。



3年半ぶりの中国だ!やったぜ!



DJIの旗艦店が改装中でやってないことを現地で知ったので、電気街ビル群のある華強北を見たり、世界で二番目に高い599メートルの平安金融中心に行ったり、ベタな観光をして高速鉄道で香港西九龍へ戻った。

深センの特区旅遊(E)ビザは到着日+5日間の滞在が可能で、珠海と厦門にも3日間のアライバルビザが存在するようだ。上記の通り、ビザが必要なのはもう日本人くらいに減っているため、一番混雑しそうな香港MTR東鉄線の羅湖駅でも簡単に取れると思う。


羅湖で深セン特区旅游ビザを取得

平日午前9時に羅湖駅のボーダーへ行ったところ、10人待ちだった。他はロシア人グループなど。

入国審査のエリアで上に行く階段を上り、番号のある整理券を受け取って、証明写真機で写真を撮り、待合室で待つ。この日は新人研修をやっていてビザを受け取って入国するまで90分かかった。


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