2015年08月09日(日)

日本海軍のキチガイ潜水艦伊400型に格納した晴嵐をスミソニアン航空宇宙博物館で見よ


日本海軍で当時世界最大の潜水艦だった伊400型潜水艦に載せた水上爆撃機・晴嵐をスミソニアン航空宇宙博物館で見てきた。


アメリカのワシントンD.C.のスミソニアン博物館群のうち国立航空宇宙博物館(national Air and Space Museum)の別館でワシントン・ダレス国際空港近くにあるスティーブン・F・ウドヴァーヘイジー・センター(Steven F. Udvar-Hazy Center)。



ここは別館のくせに本館よりデカくて、宇宙、軍用、民間、ヘリ、IMAXシアターなどあまりのコレクションの多さに真面目に見ていくと1日じゃ回りきれないほどの航空機が並べられ、本館も別館も無料という太っ腹さ加減に「なんでこんな国と戦争してしまったんだ!」と驚くばかり。



山本五十六が発案した伊400型潜水艦は、潜水艦を横に2つくっつけたような巨大な潜水艦で地球を一周半することができ、爆撃機を格納してアメリカのニューヨークやワシントンを直接爆撃するという発想で作られた変態潜水艦だった。

伊400と伊401はハワイ近海で沈められたが、長崎沖水深200メートルで伊402らしき潜水艦が発見されたのが2015年8月7日にニュースになったのを記念して、愛知航空機永徳工場でたった28機だけ製造された晴嵐の中で世界で唯一現存している大変貴重な機体を今回紹介。

伊401は「艦隊これくしょん」で擬人化され、「蒼き鋼のアルペジオ」のモチーフにもなっているのはご存知の通りだが、艦これで伊401が実装されるまでは試製晴嵐は上位報酬でしかもらえないのにめっちゃ強くて喉から手が出るほどほしい機体だったのが今では懐かしいですね!



その伊400型潜水艦に格納されたのが特殊攻撃機・晴嵐。翼の全長が12メートルあるのに潜水艦の4メートルの格納筒に収納するというパズルみたいな感じで設計が相当困難だったようで、おもちゃの飛行機から発想を得て、翼をほとんど外してボディと平行に揃えるようにしてなんとか格納筒に収めることに成功(フロートも外す)。画像検索すると模型で再現した様子がいっぱい出てくる。

この他、途中で計画が変更されて伊400型の建造計画が削減されて晴嵐を2機から3機詰め込むことになったり、組み立てをすばやくする訓練が大変だったなどの話はNHK 歴史秘話ヒストリア「幻の巨大潜水艦 伊400 日本海軍 極秘プロジェクトの真実」でも放送された通り。



水平尾翼と、垂直尾翼の上の方が折りたためるようになっている。晴嵐同士の隙間をつめるため垂直尾翼の方向舵も斜めにする。



零戦などは空冷星形のエンジンを用いているが、晴嵐はドイツの液冷エンジンDB601Aをライセンス生産した「アツタ」(32型)で、左右で6×2の12気筒がはっきりとわかる。



夏コミ新刊「太平洋戦跡 トラック・パラオ泊地ってどんなとこ?」に書いたパラオで朽ちた艦上爆撃機・彗星。彗星もアツタを用いていたが(写真はたぶん21型)当時の日本では手に余る技術でトラブルが多く、彗星の稼働率が低かった原因としても有名。



機首下の空気取入口と爆弾固定器具。



晴嵐の機体のアチコチに「潤滑油止弁」「足掛」「燃料油差入口」などと細かく日本語が書かれていてこれらも当時の晴嵐を再現したもの?零戦の復元などでもここまで書いてあるのは見たことないので学術的にキッチリとレストアと保存を行うスミソニアン航空宇宙博物館ならではだろうか。



伊400型潜水艦の格納筒。三角形状の扉の内側の中心は晴嵐のプロペラ軸が出っ張ってる分だけ凹ませてギリギリ収まるようになっていた。



晴嵐はスティーブン・F・ウドヴァーヘイジー・センターの中でも貴重なためか、日本のレシプロ機の中でもここだけ映像展示があり、見てみると着物の女性が描かれた落書き傷がレストア中に見つかるシーンもあったとか。日本人が描いたのか戦後に米軍が描いたのかわからんかったけど。

元々ニューヨークやワシントンD.C.を空襲してアメリカの戦意を喪失させ戦争の早期集結を狙う目的で開発された伊400型潜水艦と晴嵐は、終戦が近づくとパナマ運河を破壊してドイツ敗戦後にパナマ運河を通って大西洋からやってくる米軍艦艇を南米回りに遅らせて時間稼ぎする目的に変更され、最終的に伊400と伊401でウルシー環礁への特攻作戦が実行されるが、出港後に終戦を迎えついに役目を果たすことはできなかった。

潜水艦に爆撃機を載せて本土を直接攻撃するという伊400型潜水艦と晴嵐は、戦後接収した米軍をたいそう驚かせ、調査後に理由は不明ながらソ連に知られるのを恐れて海没処分したと思われる。その後、大陸間弾道ミサイルを載せた戦略原潜の発想になったとされている。



スティーブン・F・ウドヴァーヘイジー・センターでは他に、夜間戦闘機・月光、特攻機・桜花、二式複座戦闘機・屠龍(のボディ部分)、局地戦闘機・紫電改(宿毛と違ってプロペラが曲がってない)が晴嵐と一緒に並べられ、復元ハンガーではジェット機の橘花とここにしかないものが多数見られる。

訪問したのはNHKのヒストリアを見た直後だったので晴嵐を見た時は涙が出そうになった。2000年以降までどこに沈んでいるのかもわからず幻の潜水艦と言われた伊400型に載せるために製造された晴嵐は確かにここにあった。正直これを見るためだけに10万円くらい払ってワシントンD.C.に行く価値は十分あると思う。

追記:
伊402と晴嵐はサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジを空爆するはずだった?

アシェット・コレクションズ・ジャパンから週刊 伊四〇〇が2016年5月26日創刊。




告知

「太平洋戦跡 トラック・パラオ泊地ってどんなとこ?」
艦これの2015年冬イベントのモチーフにもなったトラック島空襲、連合艦隊本拠地で大和と武蔵が並んで停泊した戦艦錨地に残る武蔵係留ブイや、天龍や長良など5500トン級軽巡から陸上砲台に転用された14cm単装砲など、トラックとパラオの泊地や基地の機能を交えながら戦跡の数々を紹介。

コミックマーケット88 サークル「さざなみ壊変」
8月16日(日) 3日目東モ-18b

追記: 在庫なくなったので総集編を作成しました。
艦これ&艦娘ゆかりの地を巡り7カ国13都市「鎮守府探訪・海外艦光」

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