脚本・岡田麿里、制作A-1 Picturesなど「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のスタッフが再集結して制作するというオリジナルアニメ映画ということで、まずはキービジュアルを見て読み取れそうなところを見ていきたいんだ。
心が叫びたがってるんだ。とシンデレラ城
「心が叫びたがってるんだ。」のメインビジュアルをよく見るとドイツ・バイエルンのノイシュヴァンシュタイン城らしきお城が描かれているのがわかる。
ノイシュヴァンシュタイン城は、アイドルマスターシンデレラガールズのゲーム内イベント「アイドルLIVEツアーinドイツ」に出てくるので去年訪問。
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アイマス舞台探訪本にも書いたが、バイエルン国王のルートヴィヒ2世が私財と給料を投じ更に多額の借金をして建築。1869年起工、王の住居に入居できるようになったのは1884年で、がんばって建設したのに滞在できたのは死ぬ前の2年間で172日しかなかったという。
城内はこんな感じ。
ノイシュヴァンシュタイン城は内部の撮影禁止なので土産屋で売ってた「王城ノイシュヴァンシュタイン」が6ユーロで写真とテキストも充実してて良心的だった。
心が叫びたがってるんだ。のお城は一番高い天守閣の部分が右寄りになっている以外はノイシュヴァンシュタイン城をほぼそのままデフォルメして描かれているのでほぼ間違いないだろう。
ノイシュヴァンシュタイン城は19世紀の新しいお城のためかユネスコ世界遺産にはなっていないが、山の頂上にそびえて角度によって様々な姿を見せる白亜の城はとても美しい。
そして、ディズニーのシンデレラ城のモデルとされておりドイツで最も有名なお城と言える。
「心が叫びたがってるんだ。」のキービジュアルを見返すとハリボテのお城の隣に舞踏会のような描き込みがある。学校の教室にいるこの娘がシンデレラ的ポジションのキャラなのだろうか?小さな紫色の帽子が乗ったような物体が王子らしい?少女の手にある紫色の携帯電話に表示されているものは?
ノイシュヴァンシュタイン城からシンデレラってのはちょっと短絡的すぎる気もするけど、ノイシュヴァンシュタイン城のあるドイツはシンデレラの原点とも言える「灰かぶり」のグリム童話が生まれた国なのであの花スタッフであればその辺も織り込み済みでキービジュアルを描いたと願いたいんだ。
アイドルマスターシンデレラガールズと同じくシンデレラ関連銘柄として注目?
ベートーベンと「悲愴」
心が叫びたがってるんだ。 / CM – YouTube
音楽はほとんど知らないので簡単に調べたことしか書けないが、PVに使われている曲はベートーベンの「悲愴」という曲。
ピアノソナタの人気曲でベートーベンの自身の難聴に対して書かれ「悲しくいたましい」というタイトルの通り「人生の様々な場面で襲い来る悲しみに揺れ動く人間の感情」を表現した曲だそうで。
3楽章による構成で、第1楽章は感情をぶつけるような演奏、第2楽章は悲しみを知った人間だからできる優しい表情、第3楽章は第1第2を彷彿させつつ最終章をまとめていくといった感じで解釈も様々なようだが、曲のテーマや構成が「心が叫びたがってるんだ。」の主題やストーリー構成と重なる可能性は高い。
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」ではめんまの死と向き合う非常に重いテーマが描かれていたが「心が叫びたがってるんだ。」も普通の青春劇では終わらない何かを予感させる。
参考:
ベートーヴェンの作品群
ベートーヴェン 「悲愴」 第3楽章
ベートーヴェン ピアノソナタ第8番「悲愴」
また、ベートーベンはドイツ出身なのでノイシュヴァンシュタイン城とグリム童話ときてここでもドイツとの関連が想像できるが単なる深読みのしすぎか?
心が叫びたがってるんだ。と岡田麿里と秩父
秩父橋
「心が叫びたがってるんだ。」は秩父で開催された2014年8月31日「あの花夏祭 in ちちぶ Final」で初めて発表され、秩父となんらかの関係があることが明らかになり、2014年12月3日の「秩父夜祭花火大会」でタイトル名と秩父が舞台であることが発表。
脚本の岡田麿里は秩父出身で「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」では秩父の風景が多数登場したように、「心が叫びたがってるんだ。」でも同じく秩父やその周辺が物語と共にどう描かれるのか興味深い。
・ノイタミナ新作「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」舞台探訪
あの花のPVを見て秩父橋を訪問し(恐らく)初めてWEB上で紹介した人間としては「心が叫びたがってるんだ。」も同様に応援したいと心が叫びたがってるんだ!という感じでいろいろ書いてみた次第である。