もうやめよう!アニメ艦これで使われた「隠れ劇場版商法」を絶対に許してはならない


アニメ「艦隊これくしょん -艦これ-」でTVアニメと劇場映画に続き、ストーリーを一新したTVアニメ『「艦これ」いつかあの海で』が始まった。本当に放送開始されたのである。


第1話の内容や、英語タイトル「Fleet Girls Collection “KanColle” 1944 -I・TSU・KA・A・NO・U・MI・DE-」には「1944」と入っているあたり、太平洋戦争の史実をベースとしたガチな内容になることが想像される。

『「艦これ」いつかあの海で』をこれから視聴するにあたって、過去のTVアニメと劇場映画がどうだったのか軽く振り返ってみたら、そういえば「隠れ劇場版商法」でひどかったなあ、というのを思い出した。


「隠れ劇場版商法」とは?


プロダクションIG公式サイトより「東のエデン」のビジュアル。

「隠れ劇場版商法」とは、最初は無料で見られるTVシリーズのアニメを放送し、最終的に有料の劇場映画などを見ないとストーリーが完結しないといったビジネス・作品展開のことで、私が勝手にそういう名前で呼んでいるものだ。

私が最初にこの「隠れ劇場版商法」に触れたのは2009年に放送された「東のエデン」だった。どんなストーリーだったかもはや完全に忘れてしまったが、何でもやってくれるコンシェルジュを呼べる携帯電話を使ってストーリーが進行していく作品だった。

「東のエデン」は放送前にTVアニメシリーズの後に劇場映画が展開することが情報として公開されていた。TVアニメはそれはそれで一応完結するみたいな触れ込みだったが、実際に見てみると全くそうではなかった。

例えるなら、TVアニメ「東のエデン」が全12話クラスの1クールアニメの第1話相当で、続きの劇場映画が第2話以降になるような感じ。ハリウッド映画などでよく使われる物語の構成だと、序盤に小事件、中盤に中事件をやって繋げ、終盤に大事件が起こって物語を完結させるパターンが多いが、TVアニメ「東のエデン」では最初の小事件だけで終わってしまった感じである。

「ANIMTATIONの常識をひっくり返す」というフジテレビのノイタミナ枠で放送された作品であったこともありそれなりに期待してたのだが、最終話の「続きは劇場版で!」みたいな展開を見て当時は心底がっかりした。


艦これの「隠れ劇場版商法」


初代アニメ艦これ最終話。

日本海軍の艦船をモチーフにした「艦娘」が敵の深海棲艦と戦う「艦これ」。最初のTVアニメ艦これではミッドウェー海戦までがモチーフとなり、映画「劇場版 艦これ」ではソロモン諸島だったはずで、どちらも1942年あたりがストーリーのベースになっていた。

最初のTVアニメと劇場映画で核心となるのは、太平洋戦争の史実と同じ展開になる「定めのくびき」から逃れるというストーリーであった。

「定めのくびき」を変えるというストーリーについてTVアニメでは、主人公格の駆逐艦吹雪の存在や年代的に存在しないはずの空母大鳳や艦上戦闘機烈風を登場させるなどしてミッドウェー海戦をモチーフにしたMI作戦を成功させる展開で一応の説明があり、作品として物語はTVアニメだけでとりあえず完結していた。



しかし、初代TVアニメでは第3話でなぜかいきなり駆逐艦如月だけが轟沈し、最終話に髪飾りが一瞬表示されるのみでその説明はほとんどなく、憤りを感じた提督(視聴者)がほとんどだったと思う。

後の劇場映画では、太平洋戦争で沈んだ艦艇が深海棲艦化し倒すと艦娘として手に入るというゲームの設定を踏まえて、アニメでも轟沈した艦娘は深海棲艦となり、深海棲艦を倒すと艦娘になることがあるという設定が明らかになった。



映画艦これの5週目から6週目の来場者特典。

映画では吹雪が深海棲艦化した深海吹雪が登場する。

そういえば、映画を見る前に先にこの特典を見てしまい、初めて視聴するのにいきなりネタバレされるというハメに遭い「もうちょっと配慮しろよアホー!」と思ったけど、今回の記事の趣旨とそれてしまうのでこのくらいで(例えば、エヴァンゲリオンのパンフレットだとネタバレ防止にシールで封印されてたりするよね)。

劇場映画では、深海から戻ってきた如月及び深海棲艦化した深海如月が登場し、初代TVアニメでの轟沈もストーリー展開的な意味では納得できるようにはなるものの、TVアニメを見ただけでは仕込まれたわずかな伏線から想像できた人はほとんどいなかっただろう。核心的な設定の公開を劇場映画に持ち越したことがもたらした不幸と言える。


突然ですが、佐世保と呉鎮守府庁舎をどうぞ

佐世保鎮守府


駆逐艦時雨が所属した佐世保鎮守府庁舎は『「艦これ」いつかあの海で』第一話でよく再現されていた。



現在は海上自衛隊佐世保地方総監部となり鎮守府時代の門が日本遺産に登録されて残るのみ。

コロナ前は佐世保鎮守府庁舎の地下にある防空指揮所などを地下を見学できるツアーも開催されていた。


呉鎮守府庁舎



呉鎮守府庁舎。

『「艦これ」いつかあの海で』では、現在も残る二代目の庁舎とその隣にかつて残っていた地震で倒壊した初代鎮守府庁舎の1階部分もそれなりに再現されている。二代目の庁舎は初代艦これアニメと同じくドーム状の屋根がないなどかなり手を入れられている。


やめよう!「隠れ劇場版商法」


『「艦これ」いつかあの海で』のワンシーン。

アニメの制作についてあまり知識はないが、「艦これ」においては初代TVアニメの製作途中で劇場映画のプロジェクトが決まり、途中でシリーズ構成が変更させられてしまったので、如月を中心に納得のいかない展開になってしまったのではないかと勝手に想像している。

内情はともかく、TVアニメシリーズできっちり完結させず、隠れ劇場版商法で短期的なビジネス展開を狙った結果、TVアニメが提督から大きな不満が出る内容になってしまい、後のメディアミックス展開にも大きな禍根を残す大失敗例となったと言えるだろう。

製作委員会方式で企業からお金を集めてDVD/Blu-rayのいわゆる円盤商法も配信によってとっくに過渡期に入っていることや、SNSの賛否両論で話題作りをする時代でもあることから、ビジネス展開としてこういった隠れ劇場版商法が存在すること自体は否定はしない。しかし、艦これの例を見ると、一視聴者として「隠れ劇場版商法な作品に触れるのはまっぴらゴメンだ」とはっきりと言っておきたい。

プロデューサーなどアニメ業界の上層にいる人達は、作品に対して真摯であってほしいと思う。



それにしても、『「艦これ」いつかあの海で』はガチ史実ベースっぽい展開が期待できるのでめっちゃ楽しみ!

2話では過去の話に戻ると思うけど、もし1話の時系列のまま進行したら3~4話くらいにレイテ沖海戦のスリガオ海峡海戦で轟沈祭りになりそう。こんなこともあろうかと1月に成田マニラの往復航空券を総額14224円で発券済みなので、「定めのくびき」を変えるために直接フィリピンに乗り込んできます!


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