グレートサークルマッパーで作成した世界一周特典航空券
「マイレージで世界一周」と聞くと夢みたいな話を想像してしまうが、去年実際にやってみるとちょっとめんどいけどそれほど難しい感じではなかったのでチケットの発券について紹介。
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65000ANAマイルで世界一周特典航空券
エンパイアステートビルからニューヨークの夜景。
ANAのプラチナメンバーになって一生上級会員の資格が得られるスーパーフライヤーズカードを手に入れるために1年で航空機にいろいろ乗ったらマイルが結構貯まったので(詳しくはANAプラチナSFC修行 タグへ)、65000マイル使って世界一周の特典航空券を発券してみた。
ルートは冒頭の画像の通りで、成田→ニューヨーク→ロンドン、パリ→羽田となる。乗り継ぎを入れると、成田(NRT)→シカゴ(ORD)→ニューヨーク・ラガーディア(LGA)、ニューアーク(EWR)→ロンドン・ヒースロー(LHR)→地上移動→パリ・シャルル・ド・ゴール(CDG)→北京(PEK)→羽田(HND)となり合計16877マイル。
ANAの国際線の特典航空券は距離制で、スターアライアンス特典航空券の飛行距離18000マイル以内はエコノミーだとANA65000マイルかかる。
・成田→シカゴ (ANA)
・シカゴ→ニューヨーク (ユナイテッド航空)
・ニューヨーク→ロンドン (ユナイテッド航空)
・パリ→北京 (中国国際航空)
・北京→羽田 (ANA)
ANAはスターアライアンスという航空連合に所属しているのでスターアライアンス特典航空券では30社ほどの航空会社の路線が利用できる。
そもそも世界一周の特典航空券を出そうと思ったきっかけはアイドルマスターシンデレラガールズ。「アイドルLIVEツアー」で世界中を回るゲーム内イベントが始まってしまったせいで、アーケードの設置店舗全国制覇、位置ゲームのエリアゲームで2回目の日本一周が終わったと思ったら舞台探訪で世界一周することになってた。
予約時点でアメリカとイギリス編がきてたので、東京→アメリカ→イギリス→東京と世界一周すればいいんじゃね?となってルートを調べ始めた。とりあえずゴールデンウィークでニューヨークとイギリスに行っておき、別に予約したロンドン発東京往復のチケットを購入していったん帰国(コペンハーゲンCPH経由)。夏にロンドンに戻り、次にどこが来るかわからんけど多分フランスじゃねえかと思って復路はパリ→東京と決めてヨーロッパを回る予定を考えていたら、イタリアとスペイン編が来たので以下のように格安航空を予約してツギハギ。
・ロンドン→ミラノ(イージージェット)
・ヴェネツィア→バルセロナ(ブエリング航空)
・マドリッド→パリ(イージージェット)
最終的にこうなった(グレートサークルマッパーで作成)。
世界一周とか言っといて実は北半球を三角形に移動しただけだった!
世界一周というくらいなのでちゃんと地球一周分40000キロくらい移動しようとすると、25000マイル飛ぶには10万ANAマイルが必要。
この他、寝台列車や高速鉄道を以下のように予約して完成。
・ミラノ→ローマ
・ローマ→ヴェネツィア
・バルセロナ→バレンシア
・バレンシア→(マドリッド)→セビリア
・セビリア→マドリッド
世界一周特典航空券のルール
ノートルダム大聖堂からパリの景色。
ストップオーバー(24時間以上の滞在)は8回まで可能でヨーロッパは3回まで。ルールは有償のスターアライアンス世界一周運賃とだいたい似てるがこちらは16区間(ストップオーバー15回)まで。世界一周特典航空券だと8回までしかできないが別のチケットを組み合わせて周遊する分には問題ない。
有効期限は発券から1年間。最初の搭乗日からだったのが発券日からに近年変更になった。
ルートの変更は不可で、日付の変更はできるが、ストップオーバーと24時間未満の乗り継ぎが変わる変更はできない。
出発前の払い戻しは3000マイル。
出発国に戻る搭乗は最初の搭乗から10日目以降。つまり10日間以内に日本に帰れない。
太平洋と大西洋を1回ずつ横断して戻ったりできない。
海外発日本往復のチケットを買って世界一周を2回にわけたのは、10日間は日本に帰れないというルールがクリアできなかったためだが、例えば、学生が春休みに世界一周開始して春休みがが終わっていったん別のチケットを足して帰国し、夏休みにまた戻って世界一周を再開するといった使い方もできる。
サーチャージ諸税だけで9万!←えっ
The Shardから見下ろすロンドン。
マイルを使った特典航空券はタダで出せるかと思いきや、ANAの場合燃油サーチャージと空港税などは請求される。それでいくらになるのと思ったら91620円もかかってクソふいた。
空港税はしょうがないとしてもサーチャージにあたるYQ、YRの項目を見たら55270円、16120円で、サーチャージだけで合計71390円というそんなバカなという金額に。2015年に入って原油はだいぶ安くなったが、ANAやJALのマイルでは原則サーチャージがかかるので「タダで世界一周!」というわけにはいかない。以下は世界一周特典航空券を発券してみてわかったテクニック等を紹介。
ルートはユナイテッドで検索
ミラノ・スカラ座。
ANAのスターアライアンス特典航空券でルート検索する場合は、ルートの候補があまり多く出てこない。希望するルートの直行便が取れない場合は乗り継ぎで検索する必要があるが、ユナイテッド航空のサイトで検索するとルートがかなり多いので便利。バグなのかあるはずの経路が出てこなかったり、あまりにも遠回りで距離制だと現実的ではないルートもたくさん出るがANAよりは見やすいだろう。
空席は新路線発表時が狙い目&ピークを数日ズラす
ロマンティック街道のネルトリンゲン。
国際線のチケットは約1年前から発券でき、夏のハイシーズンだとヨーロッパの路線などは相当早くに発券しないと取りづらいが、新しい路線が就航するタイミングだと結構と空きがある。例えば成田デュッセルドルフが就航した時に検索したら夏でも結構空きを見つけることができたのでそうしたタイミングで思い切って探してみるのも手。
後はゴールデンウィークやお盆でもピークを数日ズラせば意外と空きがある。
上級会員はANA便が有利
バルセロナのサグラダ・ファミリア。
・ANAの上級会員が特典航空券の予約でどれだけ有利か調べてみた
こちらに書いたとおり上級会員だと国際線のANA運航便は空きが優遇されるので、すでにプラチナメンバーだったり大企業枠や親などでスーパーフライヤーズカードを持ってる人などは予約がちょっと有利になる。とは言え、ヨーロッパ便はなかなか空きがないと思う。
サーチャージがかからない路線を利用する
クアラルンプールのペトロナスツインタワー。
この記事を書いている時点では、ニュージーランド航空、スカンジナビア航空、ユナイテッド航空の北米内路線や北米–ヨーロッパ路線などはサーチャージがかからないので空きがあればこれらの会社や路線を使うと費用が安くすむ。
サーチャージは"支払日"で決まる
サン・マルコ広場の鐘楼からヴェネツィア。
日本の航空代のうち燃油サーチャージは2ヶ月ごとに更新されるが、このサーチャージの金額は"予約した日"ではなく"支払日"によって決まる。例えば2月1日からサーチャージが安くなる場合、特典航空券の予約は3日前の1月30日に行って2月1日に支払いをすればOK。
世界一周特典航空券は電話予約必須
バリ島のテガララン・ライステラス。
世界一周特典航空券、というよりは太平洋と大西洋を横断する航空券はANAのシステムでは発券できないらしく、空きを調べた上で電話予約する必要がある。スーパーフライヤーズデスクでも結構待たされたので、平会員は時間に余裕を持って電話をかけた方が良い。電話予約で3000円取られる(確か)ので注意。システムが対応してないせいで仕方なく電話かけてるのに料金取るとかと問い詰めたかったけど我慢。携帯電話だとフリーダイヤル使えないので長時間の通話料金も地味にかかる。
どうやってマイルを貯めるか
バレンシアの芸術科学都市。
結局のところこれが一番の問題で、上級会員になるためにマイル修行したり、社畜で航空機に乗りまくる人以外は搭乗でマイルを貯めるのは現実的ではなく、ANAやJALのマイルは3年で失効してしまうため、普通に貯めてたら世界一周に必要なマイルなんて一生貯まらない。
航空会社提携カードでマイルを貯める方法はアイマスVISAカードでもカードのポイントを貯める基本的なことは書いたし他のサイト見た方が速いが、一人暮らしだとするとカードで年間100万円くらいの買い物で年1万マイルくらい貯めるのが限界だろうか。
後は、クレジットカードのポイントを自動的にマイルに変換せず期限ギリギリまで待って一気に変えたり、楽天ポイントなどを貯めておいてここぞというタイミングで変換すればなんとか届くんじゃないかと。楽天ポイントからANAマイルへの変換は1回で3万ポイント、月10万ポイントまでなので注意。
そもそも本当に世界一周する必要あるのかを検討
世界一周最初の行程
世界一周続きの行程
上記のように世界一周特典航空券は有償のチケットより少し成約が大きいので行きたいところを絞るか、気になる会社や機材のビジネスクラスやファーストクラスで豪快に周遊するのが向いている。ユナイテッド航空など米系のマイレージだと日本–アメリカの特典航空券を遠回りのヨーロッパ経由で組むこともできるのでANAとJAL以外のマイレージも研究すると面白い。
今回の場合はルートが単純だったため、東京→ニューヨーク、パリ→東京で特典航空券を発券して、ニューヨーク→ロンドンは有償で買って組み合わせればそもそも電話予約せず普通の特典航空券として予約ができたことに後から気がついた。
そもそも世界一周(航空券)の定義は「太平洋と大西洋と一回ずつ飛ぶ」というたったこれだけ。日本などアジア出発に限ると実質的に「大西洋を渡るかどうか」で世界一周かどうかが決まる。世界一周というとバックパックでボロボロの服装で放浪みたいなイメージがあるがそんな必要はまったくないので自分のスタイルで行きたいところに行けばいい。
今回のように行程を複数回に分けるならルーティングで大西洋を渡る必要があるのかどうかをそもそも考えた方がいいと思う。もちろん大西洋を横断すればとりあえず世界一周になるので、今回みたいな北半球を三角形に移動しただけでも「世界一周したでー!」と言うことはできるので考えようか。
こんな感じで、世界一周を考えている人は行きたいところによってはそもそも世界一周する必要はないので、ルート上で大西洋を必ず渡らないと成立しない場合はいいが、「とりあえず世界一周してみたいだけ」なのかどうかも含めてよく考えてみた方がよいと思う。
追記: 2015年4月12日申込分から国際線特典航空券の条件が変更したが基本的には同じルールが適応されている。同一都市に複数回ストップオーバーできない制限がなくなり、海外発の旅程については日本で4回までストップオーバーできるようになった。そのため、日本から世界一周の出発国への往復航空券を海外発券の世界一周特典航空券の前後にくっつければ、東京などでストップオーバーして世界一周を複数回に分割できるため利便性が大きく向上している。