高校生の金銭感覚を再現する京アニのこだわりがすごすぎる



シドニーのハーバーブリッジ

「Free!」第11話エンドカード、「Free!-Eternal Summer-」第12、13話の舞台探訪でオーストラリアのシドニーへ行ってきた。進路が定まらない遙は、凛に強制的にオーストラリアへ連れ出され、シドニーに留学した凛の挑戦や挫折を知ることになる。シドニーを訪問して京都アニメーションらしい描写に気がついたので紹介。





国際線ターミナルから外に出た遙と凛。




斜めに撮りすぎた。

シドニー国際空港に到着した遙と凛はバスでシドニーの中心部へ移動する。「Free!-Eternal Summer-」12話を見た直後は「なぜ遙たちは鉄道があるのにわざわざバスに乗ったのか」が気になって仕方がなかった。




中央駅のセントラル。

視聴した時点ではまだシドニーに行ったことがなかったので詳しく調べてみたら、空港からセントラルまでは空港鉄道のエアポートリンクでわずか10分ほど。更に次の目的地となるハイド・パークはそのままセントラルから直通する隣のミュージアム駅の目の前にあり空港から15分で着いてしまう。




ハイド・パークの噴水。

鉄道アクセスに対して、空港から中心部へバスを使うとどうやっても乗り継ぐ必要があって1時間くらいはかかりそうなので、ますますバスを使う理由がわからなくなった。


しかし、実際にシドニーでエアポートリンクを使ってみて、遙たちがバスを使った理由を思い知ることになる。

空港からセントラルまでの運賃はなんと17豪ドル。

1豪ドル100円とすると1700円もする。シドニー国際空港から中心部までは10キロほどで、羽田空港から品川や浜松町はこれより長い距離で500円しないのであまりにも高すぎる。

これはオーストラリアは鉄道での空港アクセス料を高く設定しているからのようで、これに対してバスを乗り継げば5ドルしない。シドニーに留学して住んでいた凛はこれを知っていたため、くそみそに高い空港鉄道を使わずバスを乗り継ぐ方法を選んだと考えれば自然となる。

ただし、バスで乗り継ぐのはマイナーすぎて日本語の観光ガイドで一番有名な「地球の歩き方」にも載っておらず、シドニーへ観光に行く人でバスルートを知っている人はほとんどいないだろう。更に、遙たちと同じように実際にバス乗り継ぎを中心部から空港で試してみたが、バスのりばがわからず迷ったりして時間が足りなくなり結局失敗したので結構ハードルが高い。

ざけんな!シドニーの空港鉄道エアポートリンクが高すぎるのでバスで市内へ行く
その顛末はこちらで。

このため、バス乗り継ぎをできる観光客はほぼ皆無と思われるので、ロケハンスタッフは実際にシドニーに住んだことがあるか、よほど旅慣れた人か、もしくは”執念で調べ上げた”可能性が高い。



バス車内。異国の地で少し凛と席が離れただけで不安そうにする遙の表情がいい味出てるカット。




実際のシドニーのバスはこんな感じ。

新しいバスだとユニバーサルデザインなのか手すりが目立つ黄色で統一されており、残念なことにシドニー滞在中に利用したバスでFree!のように手すりが金属そのままの色になっているものは1つもなかった。


以上のように、「Free!-Eternal Summer-」12話で遙たちのバス乗り継ぎを作中に入れるには、観光客はまず知らない「バスでのアクセス方法を知っている」ことに加えて「高校生は高い空港鉄道は使わないだろう」というこだわりがなければ実現しない。仮に他のアニメでシドニーが出てきてもまずお目にかかることはないだろう。

空港からバスに乗るだけでほとんどの人は気にもとめないような本当にどうでもいいワンシーンだが、実際にシドニーに行ってみて初めて気がつけるような細かい描写が見られ、京都アニメーションの取材力と表現力は本当に脱帽モノで改めて「やっぱ京アニすげえわ」と再認識。


凛が留学したシドニーオリンピックプールで泳いできた!撮影もフリー!
オリンピックプールへ続く。

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