中国は全国260都市で相互利用可能に。日本は交通系ICカードでも遅れを取ろうとしている


「交通聯合カード」苏州交通一卡通(Jiangsu T-Union)

中国では経済発展に伴って地下鉄も増え、交通系ICカードも普及が進んでいるが、都市ごとに乱立しまくっているのは日本と同じ。



同人イベントに出展していろいろ回っていたら、上海、広州、重慶、成都、北京、深セン、広州、大連と8枚もあった。

キャラクタ絵柄もあるので、どこの都市かますますわからん!

中国ではこれを統合しようとする動きがあり、交通联合(China T-Union)という統一規格が生まれている。

2018年10月では全国31省225都市に対応。2019年は260都市に対応予定というので日本から見たら桁違いの対応数。どの都市に行っても地下鉄やバスの対応端末にカードをタッチするだけで料金を精算して乗車することができる。


「交通聯合」対応改札で使用可能


2019年1月に深センの地下鉄の改札が通れるか試してみた。



反応しねえ!

マジかよ!偽物のカードを掴まされたか、それとも広い中国大陸全土で相互利用なんてやっぱり無理だったのか!



悩んで周りを見渡して見たら、改札の色が赤と緑の2種類あることに気がついた。

キツネとタヌキかよ。それとも、あかりとマルチかな。



赤い改札には「銀聯閃付(UnionPay QuickPass)」に銀聯マーク。

よく見ると「交通聯合」のロゴもあるので、この赤い改札にカードをタッチしてみた。



改札内に入れた!



2018年に深センを訪問した時は赤と緑色に分けられてないので、当時はまだ未対応だったと思われる。

QRコード決済、電気バス、電気タクシーなど、1年でもどんどん進化していくのが深センらしいというか。


チャージは有人窓口で可能だが現金のみ


深セン地下鉄ではICカードのチャージ機械に交通聯合カードを入れてもまったく反応せず!

どうやってチャージしたらいいのかわからず深セン地下鉄のICカードを売っている人に聞いてみたがよくわからず。

さまよって改札付近の有人窓口で聞いてみたらここならチャージが可能だという!

ただし、少なくとも深セン地下鉄では現金のみしか受け付けてくれないようだ。アリペイやWeChatPayの普及で人民元紙幣なんて持ってきておらんがな。

銀行でお金を下ろしてチャージしてみようかと思ったが、この時は時間がないので諦めた。とりあえずチャージできるようなので安心。


銀聯カードのみで乗れる


深セン地下鉄の駅構内には「銀聯閃付」のノボリが立っていた。

これを見ると、ICチップ付きの銀聯カードか、NFC対応スマホとアプリでも地下鉄やバスに乗れるようだ。中国大陸発行の銀聯カードのみで日本発行のものでも使えるのかなどは謎。試しに2017年に作成した中国建設銀行のデビットカードを深セン地下鉄の改札にかざしたら乗れてしまった!中国の銀行のキャッシュカードは銀聯デビットカードが多いので、普通の銀聯カードで乗れるならそもそも蘇州のカードすらいらないということになる。


交通聯合カードをタオバオで購入


交通聯合は中国でもまだまだマイナーなのか、知り合いの鉄道好きに聞いても「そんなの知らん!」と言われる始末で全貌がイマイチ見えない。

楽天とメルカリを足して1万倍カオスにした感じのタオバオで検索すると、蘇州、広州、南京などで発行されたカードが売られていたので蘇州で最初から82元チャージ済みのものを購入。転売もあるけど公式で販売されているものもあるので安心できる。

業者によっては海外発送可能とあったが、チャットで聞いてみると、みんなNGだと言われてしまったので、仕方なく香港に発送して香港人の知り合いに受け取ってもらった。現実的なところだと滞在先のホテルの許可を得て送りつけるのがよいだろうか。


アプリで残高参照やチャージができるのだが……


蘇州のWeChatPay(微信)アカウントをフォローすると蘇州交通カードの残高参照やチャージができる。



深センでの使用可能な路線や料金についての記載。



カード番号を登録すると使用履歴もこのように見ることができる。窓口の検索もできる。

カードにチャージできるのは1000元までで16000円くらいとなり、20000万円までのSuicaと同等。

蘇州のカードだとこのようにとても便利なのだが、充値(チャージ / topup)はWeChatPayなどで支払いをした後に蘇州の自動チャージ機に行ってカードをかざさないとダメなのかどうやっても加算できず、オンラインだけでは完結できないっぽい。


銀聯カードとして利用可能


交通聯合カードは銀聯カードの扱いなので、カードにチャージした分はファミリーマート、百貨店、ガソリンスタンドなど銀聯対応のお店で使用可能。

蘇州のWeChatPayだと蘇州内の対応店舗しか検索できなかったが、蘇州外でも利用できると思う。


交通系ICでも日本は遅れを取ることになるのか


深センではまだ対応改札が少ないので目的の出口付近の改札は通れないことも。

このように、交通聯合カードは発行した都市以外でもちゃんと使用できてチャージも可能、買い物で非接触型決済もできる。深センでは対応改札はまだ少ないし、蘇州のカードだとチャージはスマホだけで完結しないっぽいという難点があるものの、中国大陸で新しい都市訪問をするたびに窓口の行列に並んでICカードを買わなくて済むのは大きい!

香港からフェリーで行ける広東省中山市の孫文記念館を訪問した際も、バスの車掌さんの端末に交通聯合カードを「ピッ」とやるだけで見知らぬ土地のバスを乗りこなせたのは本当に革命的だった(海外のバスは基本的に両替不可でお釣りも出ないのでハードルが高い)。



深センの地下鉄車内。

WeChatPayで自治体のアカウントを登録すると残高参照やチャージができるようなサービスは、日本だと例えばLINEでできればよいのだが、LINEは企業との連携というとクーポン割引くらいしかメリットがなく、テンセントのWeChatPayと比べるとポータルとしての機能は弱く大きく遅れている。

Suicaは最近になってようやく地方の交通系ICカードとも相互利用できる都市が増えてきて、Suicaと各地域の交通系ICカードを1枚にまとめる「地域連携ICカード」も2021年春に提供開始されるようだが、日本はQRコード決済はおろか、交通系電子ICカードにおいてもすでに中国に遅れを取っている。

※中国最大の都市である上海では使えず、なぜかと疑問に思ったら住建部と交通部の縄張り争いが原因らしい。
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