台湾東部の花蓮で日本統治時代の鉄道遺産と日本陸軍関連施設を巡る


松園別館。

台湾東部最大の都市で、景勝地のタロコ渓谷の入口としても有名な花蓮。駅前で自転車を借りて、日本統治時代から残る鉄道文化遺産や日本陸軍関連施設を巡った。


人気の自強プユマ号で花蓮まで


赤ブルマことプユマ号。

台湾でブルマ少女に擬人化された特急が走り始める ※日本製です
赤ブルマ号ならぬプユマ号日本の製造業がヤバくなって、発電やら水道やら鉄道などのインフラ輸出が叫ばれるようになりましたが、台湾で旧正月にあたる2月に合わせて新しい日本製の鉄道車両が走り始めました。日本車両が製造するTEMU2000形と呼ばれる...
台北から花蓮までは日本車両製の全席指定の自強号・プユマ号に乗車。 412次 台北 8:48 → 花蓮 11:01

交通が鉄道優位かつ台湾新幹線もないので、台北から花蓮までの宜蘭線・北廻線は人気すぎて速達性の高いプユマ号やタロコ号は指定席が非常に取りづらい

今回は旧正月が終わった後の日曜日だったせいか、前日の夜に台湾鉄路のWebサイトから予約して有人窓口を探して引き換えることができた。



このキャラはいったい……。

台湾鉄路や台湾高鉄の機内誌は働く鉄道マン特集や日本統治時代の古い駅舎特集などがあったりして見どころ満載なのでついつい読んでしまうな。



東廻りは渓谷や海岸が車窓から楽しめるのが特徴。



2018年10月21日に新馬駅-蘇澳駅間で起きたプユマ号の脱線事故はこの辺りで起きた。

遠目に赤青とカラフルなクレヨン工場が目印として見える。乗っているプユマ号はかなり減速してカーブを通過していった。



花蓮に近づくとエメラルドグリーンの海とトンネルが交互にやってくる。



旧線の橋脚らしきもの。

タロコ渓谷の入口となる立霧渓に古い橋脚が残っているのだけど、ここは有名な鉄道撮影スポットになっているみたいで、この列車からも撮影している人が見られた。

日本なら確実に立ち入り禁止であろう場所も何も言われないのも台湾ならでは。


花蓮駅で自転車を借りる


花蓮駅に到着。

久しぶりに来たら駅舎がずいぶんと立派になっているな。



捷安特 花蓮店。

花蓮駅前では自転車や原付を借りることができる。自転車は1日150元、マウンテンバイク1日200元といった感じで、借りる日数に応じて割引があるようだった。

駅から5分くらいのところにある夢境台湾民宿というホテルをagoda経由で予約したら、無料で自転車を貸してくれた。1泊2333円のホテルに泊まったらレンタサイクルで540円相当の自転車代が無料になったのはラッキー。台湾の地方は自転車を貸してくれるホテルが多いので要チェック。

ただし、この宿で蚊かダニかわからないけど手足を複数箇所刺されて10日経っても腫れが引かないので、オススメしたいかというと微妙である。


花蓮文化創意産業園区


花蓮文化創意産業園区。

花蓮駅から街の中心は2~3キロ離れている。花蓮駅から自転車でまず向かったのは、日本統治時代の1913年から続く酒造工場の跡地をリノベーションした花蓮文化創意産業園区へ。



工場跡、職員宿舎となる日本家屋、防空壕などを見ることができる。

アートの展覧会やハンドメイドのグッズを売るブースがあり活気あり。



増産報国 反共抗戦

国民党の政治スローガンっぽい側溝の蓋もあって見どころ満載だな!



花蓮文化創意産業園区のマップ。


花蓮鉄道文化園区


花蓮から台東方面へ至る台東線を建設するために1909年に鉄道部花蓮港出張所が設置され、その事務所が保存されている。



建物内は切符売場の再現や博物館になっている。



年代がわからなかったが、当時の地図もあって一帯が鉄道関連施設で占められる鉄道の街であったことが伺える。



防空壕もいくつか残っていて中に入ることもできる。



花蓮鉄道文化園区の記念撮影スポット。

隣のブロックでは日本統治時代に製造されたナローゲージの蒸気機関車LDT103などが展示されていた。



工務段(工務所)の事務所やターンテーブルの跡。



刑務段(刑務所)の拘置所に入ったり。



花蓮管理所所長官邸。

きれいに補修されているが、まだ公開されていなかった。




検車庫は線路跡の残る芸術区っぽい公園に。



夜はライトアップされて雰囲気が変わる。



他にも、蒸気機関車の給水塔、鉄路病院など現存している周辺施設は多く、無料で楽しめるのためポイント高い。



その後、海沿いの展望台から太平洋を臨む。


将軍府


日本統治時代の花蓮には陸軍の花蓮港分屯大隊が置かれ、周辺にあった官舎が保存されている。

兵事部部長宿舎が将軍府として公開され、当時の日本家屋にふれることができる。



日本家屋のほとんどは修復が終わっておらず、中には入れないけど隙間から廃墟を覗ける。




花蓮港分屯大隊の敷地は現在は台湾陸軍が駐屯しているので入ることはできない。


松園別館


兵事部の高級将校用接待所であった松園別館。

花蓮港を一望できる高台にあり、周りを松で囲まれているので外からは見えないという好立地な場所なので重要な軍事指揮所でもあった。神風特攻隊が出陣する際に天皇の御前酒を振る舞った場所としても知られ、戦後はアメリカ軍顧問団の将校のレジャーセンターに。

残念ながらここは課金コンテンツだ。

入場料が60元かかってしまう。ただし、松園別館内のカフェや売店で使える30元分のクーポンがついくる。



2階に上がる階段は三方向式階段となっていて、避難を考えて設計された軍事施設であることを物語っている。



防空壕

スコールがきても排水できるよう設計されていたとか。



士官の集会所だった木造小屋には天皇陛下の写真を置いた神棚があり、終戦後はここで多くの士官が自害したと言われている。

日本から移植したリュウキュウマツがたくさん植わっているのでそれを眺めたり、乞食券を使って宿直室を改造した松園カフェで松針汁(松葉ジュース)をいただいたり。



花蓮港神社方面に向かって、オフライン地図のmaps.meに載っている小道を行こうとしたら、見事ぶっ壊れて封鎖されてました!


陸軍花蓮防衛指揮部の戦車


M41A2軽戦車。

坂を登っていくと陸軍花蓮防衛指揮部があり、入口に戦車や榴弾砲が展示されている。



花蓮ディズニーもあるよ!


旧花蓮港神社(花蓮忠烈祠)


花蓮忠烈祠。

花蓮港神社の跡地は花蓮港忠烈祠となっている。



花蓮港神社に設置された馬の銅像や植えられたクロマツはそのまま残っているので当時を偲ぶことができる。


菁華林苑


菁華林苑。

1918年に建てられた花蓮港木材株式会社の事務所のようだが、日が沈む時間帯だったので敷地中には入れなかった。

松園別館から川を越えた南側には菁華林苑があり、この一帯も日本統治時代から残る日本家屋が点在している。



説明板はあったけどよく読めず、中に入ることもできない。



日本庭園と日本家屋のある一角。何年後かに観光地として広く公開されそう。



花蓮国軍英雄館。

軍人さん御用達で軍人だと割引のある花蓮国軍英雄館。普通の人も泊まれるようなので機会があれば泊まってみたい。

台湾原住民キャラも気になることだし。


東大門夜市



花蓮鉄道文化園区の検車庫の隣は東大門夜市になっていて、旧正月シーズンだから花蓮太平洋燈会というライトアップイベントをやっていた。



原住民一篠街という通りもあり、台湾原住民料理も味わえる。



F-5E タイガーII

夜市の隣には戦闘機や魚雷発射管などの展示があったので昼間に撮影しておけばよかったと後悔。

花蓮はあまり調べずに図書館で借りた「地球の歩き方」をベースに雑に回ったが、日本統治時代の建物が多数残っていて想像したより密度の濃い1日となった。次の機会があれば、周りきれなかった日本家屋、まだ現役らしい貨物の花蓮港駅や、周辺の廃線跡などを見てみたい。
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