コロナで消滅した国際列車が復活!モルドバ首都キシナウ→ウクライナ第3の都市オデッサ 641/642列車


東欧モルドバの首都キシナウから黒海にあるウクライナ第3の都市オデッサまで国際列車を利用した。この641/642列車は新型コロナウイルスの蔓延により運休していたようだが、2021年8月28日に運行を再開し、都合よく9月上旬に乗ることができた。


キシナウ駅でオデッサまでのチケットを購入する

人気のないキシナウ駅


キシナウ駅の駅舎。



キシナウ駅を発着する列車は、モスクワ、ブカレスト、サンクトペテルブルク行きなど数少ないうえに新型コロナウイルスで運休中のようだ。そのため駅に人気はなく、がらんとしていた。



キシナウ駅では鉄道模型や大きい水槽が無料で見られる!







駅ホームまで行ってみたけど1人とすれ違ったのみで無人。

駅舎の2階には宿もあるので駅に泊まってみたかったが。国際列車がオデッサ行き以外運休中なせいか営業していないようだった。


キシナウ-オデッサ間の時刻表


モルドバのキシナウからウクライナのオデッサ中央駅までの時刻表。

左のNo.642列車がオデッサ→キシナウ(上から下に読む)で、右のNo.641列車がキシナウ→オデッサ(下から上に読む)となる。

  • 641列車: 07:09 キシナウ → 10:55 オデッサ
  • 642列車: 18:36 オデッサ → 21:27 キシナウ
キシナウを朝出発して、オデッサを夕方に出発してキシナウに戻るダイヤになっている。どちらもウクライナ側の国境駅Kuchurganで40分停車して入国審査を行う。


キシナウ駅の窓口でのチケットの買い方


キシナウ駅の窓口は正面から駅舎に入って右手側にある。

営業時間と思われし表記を見ると、8-9時、12-13時、19:40-20時、1-2時はintrerupere(中断)とルーマニア後で書かれているのでこれは休み時間?更に下を見ると技術的な中断時間が記載されていた。

しかし、切符は朝8時から購入できたので正しい営業時間はわからずじまいだった。キシナウ発は早朝なので前日までに買った方がよいだろう。

「キシナウ→オデッサ、641列車、日付、ファーストクラス」などとルーマニア語で記載した紙を準備していたものの、窓口のおばさんは英語通じるようだった。

支払いはクレジットカードとしてVISAとマスターカードが使えるようだが、モルドバ・レウ現金で支払ってしまったので本当に使えるかは不明。

国際列車なので購入にはパスポートが必要でチケットにはパスポート番号と名前が印字される。



キシナウ→オデッサのチケットを手に入れた!

ルーマニア語とウクライナ語で併記してあり、「VAGON」は英語の「wagon」となり客車を意味するようで、2号車の9番座席になるようだ。列車番号の「TREN」は641のはずだが、なぜか642になっていた。

料金は258.5モルドバ・レイで1600円くらい。モルドバやウクライナの物価を考えると少し高いと思ったが、国際列車に4時間近く乗車することを考えれば破格と言えるだろうか。


キシナウ→オデッサの641列車に乗車

朝日を浴びる列車がかっこよすぎる


早朝のオデッサ駅。





ソ連っぽくてめちゃくちゃかっこいいやん!

ちょうど日の出時間帯でブルーの機関車がオレンジ色に染まる。


ウクライナ入国には保険加入が必要になった



641列車の客車。

列車の撮影を終え、チケットとパスポートとワクチンパスポートを見せて乗車しようと思ったら、なにかまだダメっぽいことを言われて制止されてしまった。

「え、保険が必要なの……?」

モルドバとウクライナは日本のパスポートがあればビザは不要。しかし、ウクライナは英文記載のワクチンパスポートがあっても追加で新型コロナウイルスに対応した保険に加入する必要があることが判明。

モルドバ、沿ドニエストル共和国、ウクライナは本来行く予定のなかったところ無理やりブチ込んだのでうっかり見落としていたようだ。18.5日で14日を巡るむちゃくちゃな旅になって、毎日のように入国条件やチケット発券方法を調べていたのでこういったミスも出るよなあ。


発車まで残り10分

やっべー、これは無理そうだ。もしダメだったらモルドバ中心部バスターミナルまで移動してバスを使えばなんとかなるけど面倒だな。

そう思ったところに、救世主が。

「このQRコードにアクセスして登録するんだ!」と駅員さん?が親切に教えてくれたので、スマホカメラで読み取ってVisit UkraineのWebサイトに接続、「ここをクリックしろ!」と誘導に従って保険の購入画面に入り、個人情報を入力していく。

VISAカードで400円弱の113.52ウクライナ・フリヴニャを決済しようとしたら、なんと失敗!

別のアメリカン・エキスプレスで再度やり直したところ決済通ったー!

メールでウクライナ語、英語、ロシア語のPDFが送られてきたので、スマホ画面を見せて発車5分前になんとか乗車完了!


641/642列車の座席・車内






ファーストクラスを取ったけどあんまりファーストっぽくないわねえ。

座席は固定クロスシートの集団離反式。他の車両に行っても座席の仕様は変わらないようだった。座席は同じだけど高いクラスだと人が少なくていいでしょ?というヨーロッパの近郊列車にありがちな仕様であった。3席の真ん中の席をブロックすることでビジネスクラスと言い張るヨーロッパの航空機もビックリじゃないか。元々ソ連な旧CISとはいえ国際列車でもこれかー。

しかも、自分の席はすでに誰かが座っており、空いてる後方の進行方向と逆向きの座席に座るしかなかった。



たぶん線路上に垂れ流しのトイレ。駅に停車する時は使えなくなる。



一番端のデッキに自転車も乗せられるようだ。



たぶん車掌室。



642/642列車は本来はこちらの速そうな今風列車で運行されていたようだが、なぜか機関車牽引に戻ってしまったようだ。

古くてソ連っぽい客車の方が盛り上がるからいいけど座席はよくないよなあ。


キシナウ駅を出発!




太陽が昇る東欧の景色はなかなかいいじゃないか!

滑り込み保険加入して九死に一生を得た後に堪能する国際列車の車窓は最高だな。



タブレット端末でずっと映画見てたお兄ちゃんもノリノリだぜ!


沿ドニエストル共和国を通過


自称独立国な未承認国家 沿ドニエストル共和国の勢力圏に入ってドニエストル川を渡る。

前日に行ったBendery Fortressが見えた。



ティラスポリ駅に停車。

次に行く機会があれば、なんとか沿ドニエストル共和国に一泊してこの駅から乗車してみたい。時刻表を見る限りではオデッサからモルドバに入った場合もウクライナ内で国境審査するようだけど、沿ドニエストル共和国の存在があってモルドバの勢力圏で国境審査できないからなのだろう。


ウクライナの国境駅Kuchurganで入国審査


列車は発車から2時間弱でウクライナの国境を越えてKuchurgan駅に入っていく。

駅に停車するとまず麻薬犬が入ってきて物々しい雰囲気となり、次に入って来た人にパスポート、ワクチンパスポート、保険のPDFを見せた。

そして、ウクライナのスタンプを押した後に自分のパスポートを持ったままどこかに行ってしまったのでとても不安になったが、しばらくして「いやー、返すの忘れてたわ!」っと戻ってきた。思ってたよりはるかに雑な審査であった。



40分停車した後、再びゆっくりと動き出す。


4時間弱でオデッサ中央駅に到着!


Rozdilna 1駅。



オデッサが近づくと荒涼とした雰囲気に。



いかにもソ連っぽい高層建物だ!



そして、641列車はゆっくりとオデッサ中央駅のホームに滑り込んでいった。



一番端っこのホームに定刻で到着!



ウクライナの電気機関車に付け替えられていたようだ。





オデッサ中央駅は黒海の国際貿易港の風格!



ウクライナ入国に保険加入が必須になっていて危うく乗車拒否されるところだったが、無事にオデッサに着くことができた。

島国の日本ではけして体験することができない「鉄道での国境越え」をアフターコロナの世界で再び体験することができて大満足。

コロナで各国の入国審査はどうなった?ワクチンパスポートでヨーロッパ14カ国を回ってきた
ワクチンパスポートを使って8月下旬から9月上旬まで現地18.5日で乗り継ぎ含めてヨーロッパ14カ国を周遊。入国審査の現状について個人の体験をまとめてみた。写真は未承認国家 沿ドニエストル共和国。 日本→ドイツ(航空): 入国審...
シャワー付個室の走るシティホテル ドイツの寝台列車CityNightLine(現Nightjet)
City Night Line北海道新幹線関連で札幌行きの北斗星やトワイライトエクスプレスの廃止が迫り日本の寝台列車はいよいよ風前の灯状態になってきたが、ヨーロッパでは国内外を縦横無尽に走る夜行列車のネットワークが未だに健在。特にドイツでは...
ギャー!寝台がド満室!オスロからトロンヘイムまでノルウェー国鉄の座席車両で行く
臨時夜行快速列車ムーンライトながらが廃止となる一方、ヨーロッパではオープンアクセスによる参入自由化や温室効果ガス削減のため夜行列車は復権傾向である。ノルウェーで夜行列車を満喫しようとしたらまさかのド満室だったので座席車両で一夜を明かして...
【台湾】台東-枋寮間を1日1本だけ走る日本製旧型客車で忘れられない風景を見た【普快車3672次】
台湾の台東-枋寮間で1日1往復だけ運行される旧型客車を利用して台東から枋寮を目指した。 台東-枋寮間の南廻線は台湾を一周する線路の電化工事のうち最終区間となっており、電化が完了したら台北から電車特急が直接乗り入れられるようになって...
北海道&東日本パスに6110円の北海道線特急オプション券を使って北海道新幹線で新函館北斗へ「マジで人がいないな」
JR北海道JR東日本に加えて一部の第三セクターが連続する7日間乗り放題になる北海道&東日本パスにプラス6000円の北海道線特急オプション券を利用して北海道新幹線の新青森-新函館北斗間とJR北海道の特急で釧路まで移動してみた。 ...
タイトルとURLをコピーしました