知覧特攻平和会館と武家屋敷周辺に残る陸軍知覧飛行場の戦跡と関連する遺構を巡った。
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知覧特攻平和会館
零式艦上戦闘機52型丙
陸軍大刀洗飛行学校の分教所として飛行場が開設され沖縄戦の特攻最前線ともなった知覧。現在の知覧特攻平和会館には貴重な四式戦闘機疾風が保存されているものの撮影禁止エリアにある。
薩摩川内市の手打港沖合で引き上げられた海軍の零戦52型丙も保存されており、こちらは唯一撮影可能なエリアに展示されている。
知覧教育隊の門柱
知覧特平和公園内に保存された大刀洗陸軍飛行学校知覧教育隊の門柱。
知覧飛行場関連の遺構は、知覧特攻平和会館などでもらえる無料パンフレットや周辺に設置されている看板で地図を見ることができるようになった。
復元された三角兵舎
知覧飛行場周辺の林に建設された三角兵舎を知覧平和公園の敷地内で再現したもの。
林に半地下壕をつくり、更に屋根に杉をかぶせて擬装を行っていた。
知覧平和公園周辺
油脂庫
知覧特攻平和公園の多目的球場や隣接する住宅地には、油脂庫、弾薬庫、給水塔、防火水槽が点在して残っている。
弾薬庫
給水塔
防火水槽
着陸訓練施設
航空機を着陸させるには機体にある3つの車輪を同時に接地させる必要があり、その練習を行う際に用いた。
知覧周辺の戦争遺跡
掩体壕
知覧飛行場西側にあった掩体壕。
コンクリートの屋根で覆うタイプではなく土塁をつくっただけの簡易的な掩体壕だったようで、1つのみが復元されて航空機の模型と一緒に展示されている。土塁の奥の林には人員用掩壕もあったようだが、調査の後に保存のために埋めてしまったようで見ることはできなかった。
周辺の戦争遺跡地図。
他に、集団司令部跡、三角兵舎跡、戦闘指揮所跡、対空無線通信施設跡などもあるが、石碑が建てられているだけで当時の遺構は何も残っていなかった。三角兵舎跡は知覧平和公園内に復元された三角兵舎が元々設置されていた場所になる。山砲座跡となる猿山にも石碑はあるが時間がなかったので訪問できなかった。
ミュージアム知覧で排水溝の残骸の写真を見たものの、現在は調査が行われて埋め戻されているようだ。他に当時の航空写真から見て掩体壕があった場所を探してみたものの、現在は農地となって跡形もなかった。
大刀洗陸軍航空廠知覧分廠跡
知覧城の跡地に大刀洗陸軍航空廠知覧分廠として使われた防空壕がいくつか残されている。
トンネルの奥はかなり深くまで掘られており、臨時の工廠として十分に使えそうな広さがあった。
知覧武家屋敷群周辺
陸軍指定食堂だった富屋食堂。現在はホタル館(写真左)として博物館公開されている。
富屋食堂の隣には戦後に慰霊訪問する人に泊まってもらうためにオープンした富屋旅館もある。
周辺にある薩南工業高校の校舎は戦時中に陸軍病院として使われていた。
佐多直忠氏庭園。
知覧武家屋敷は庭園を持つ武家屋敷が多く立ち並ぶエリアで、そのうちの1つである佐多直忠氏庭園は遠目に見える山まで含めて京都の嵐山を再現したものらしい。戦時中、ここには女学生下宿していたらしく、富屋食堂のあたりからかわいい女子を求めて陸軍男子がここまで遊びに来ていたというお話を得ることができた。薩摩の小京都で戦前・戦中から変わらぬ風景を今に見ることができるので戦争遺跡巡りついでにぜひ訪問してほしい。
知覧特攻平和会館へのアクセス
鹿児島中央から知覧特攻平和会館や武家屋敷へは1~2時間に1本鹿児島交通のバスが出ている。鹿児島中央からしばらくはJR九州と一律運賃の鹿児島市電と併走するため坂之上や谷山まで鉄道を使うと渋滞を回避したり交通費を節約したりできる。
枕崎発着は1日4~5本あるものの、土日は2本減るため注意。また、加世田行きのバスもあるため、零式水上偵察機が保存されている万世特攻平和祈念館と周遊することも可能。初めて知覧を訪問した時は鹿児島市内から枕崎線を乗りつぶして枕崎→知覧→加世田→鹿児島空港というルートを1日で回った。
知覧平和公園と武家屋敷周辺の麓公園の2箇所に電動シェア自転車PiPPAがあり30分110円で利用できる。愛称は「茶巡(ちゃーりー)」で、2022年4月1日から始まったこのシェアサイクルのおかげでレンタカーなしでも短時間で回りきることができた。
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