City Night Line
北海道新幹線関連で札幌行きの北斗星やトワイライトエクスプレスの廃止が迫り日本の寝台列車はいよいよ風前の灯状態になってきたが、ヨーロッパでは国内外を縦横無尽に走る夜行列車のネットワークが未だに健在。特にドイツではドイツ国内、オランダ、イタリア、オーストリア、チェコ、スイスなどへCity Night Lineという夜行列車が走りヨーロッパ最大級のネットワークを誇る。※現在はオーストリア国鉄(ÖBB)によりザルツブルク、フィラッハ、ヴェネツィア、フィレンツェを経由するナイトジェット(Nightjet)のNJ 294/295として運行されている。
ミュンヘンHbf。
HauptBahnHofは中央駅のことで新年のミュンヘンはまだ冬のイルミネーション仕様。
CNL 485 ミュンヘンHbf発Roma Termini行き。
今回利用したのはドイツ南部のミュンヘンからイタリアのローマを12時間20分くらいで結ぶCity Night Lineで、ミュンヘンからフィレンツェまでを往復した。
自転車もOKなので広い積み込み用のスペースもある。
6ベッドの簡易寝台クシェット。
急行きたぐにが廃止になり定期運行の列車で日本から三段寝台はなくなってしまったが、ヨーロッパではクシェットと呼ばれる簡易寝台がまだまだたくさん走っていて三段の6人個室と二段の4人個室がある。
各寝台に枕とシーツと毛布が。
枕元のライトや内鍵。
天井付近は荷物が置けるようになっていて照明のスイッチもある。
クシェットでも電源がありヨーロッパで一般的なCタイプの変換プラグがあれば充電できるのはすばらしい。
洗面台やトイレの部屋。
車椅子対応の広々としたトイレ。
定刻21:08に発車したCity Night Lineはオーストリアを通ってイタリアへと入っていく。途中ヴェローナまではミラノ行きのCNL 40485と併結のようで。
ボローニャとフィレンツェの間は停車駅ないはずだがどこかに停車したので外に出てみた。
ドイツ鉄道DB(Deutsche Bahn)の他、オーストリア国鉄ÖBB(Österreichische BundesBahnen)のロゴが入った車両も。
6:18フィレンツェ発のCity Night Lineはほぼ定刻でフィレンツェ(Firenze S.M.N.)に到着。
イタリア国鉄・トレニタリアやイタロの車両がズラっと並んでいる様はさすが中央駅といった感じ。どん詰まりの駅なので折り返してローマを目指す。
午前中にピサ、午後にルッカ、夜にフィレンツェを急ぎ足で周遊して再びFirenze S.M.N.駅。
ミュンヘン行きのCity Night Lineは微妙に遅れているのか時間になってもホームに来ず、不安になってホームが本当にあっているかなどを駅員さんに確認したり。
広い駅でホーム間違えるというオチは幸いなく、今回はミュンヘンHbf行きCNL 484の一等デラックス寝台個室へ。
ついにデラックス寝台個室とご対面!
平屋なので天井まで含めると結構と広い。
寝台個室は最大3人まで利用可能で、1人だと予約段階で「1 person in Deluxe Double cabin breakfast incl.」「1 person in Deluxe Single cabin breakfast incl.」の2つから選べてSingleだと確実に1人で独占できるが、Doubleだと少し安いが他の誰かと一緒になる可能性がある。
ハンガーやサービスの水のペットボトルが。
Doubleで予約していたが幸いミュンヘンまで誰も来ず、上下の寝台を1人で好きに使える日本の寝台特急のシングルツイン状態で快適に過ごせた。
窓際のハシゴと折りたたみの補助椅子。
天井付近が荷物置きになっている。三段目の寝台を出すと高さが同じところに来て、窓側の天井付近はスペースがないので下二段より少し通路側に寄った感じになる。
網の小物入れや折りたたみ式のドリンクホルダー。
三段に対応した照明とスイッチ。
ドアは二重ロックでき、パンチ穴の開いたプラスチックのカードキー、車掌さんを呼ぶボタンやゴミ箱もある。
終点のミュンヘンまで乗り通した時は車掌さんにチケットとパスポートを人質に取られて朝食と一緒に返してもらった。そもそもEUの国境では入国審査など不要なのになぜこのような形式が残っているのかは謎。
デラックス寝台なので個室にトイレと洗面台とシャワーが備え付けられている。
3人分のミニタオルと口を濯ぐためのカップ水があり、シャワーカーテン、ボディーソープとシャンプーも。
JRの寝台特急だと6分や10分と表示が出るがどれだけ使っていいのか不明。
ちなみにデラックスでないエコノミー寝台個室の車両には車端のトイレにシャワーがついていて無料で使える。
寝台個室だと朝食ボックス付きで温かいコーヒーもしくは紅茶か緑茶のパックがもらえる。
コンチネンタルブレックファーストだけど寝台列車で飯を食う機会が絶望的に減った日本人にとっては嬉しいサービス。
Leberaufstrichと書かれたのがペースト状の肉でこれがリエットというやつ?ライ麦パンに塗るといかにもヨーロッパで朝食を食ってる!という気分に。
DBの機内誌。
ミュンヘン–ローマのCity Night Lineには残念ながら食堂車はないが、車内販売の冊子もあるので頼めば個室まで持ってきてくれるようで。
三段寝台をセットするとこんな感じ。
エコノミー寝台。
座席状態だとこのようになっていて写真左側に大きな鏡付きの折りたたみ洗面台を備えている。2部屋繋げて6人部屋にすることも可能。
車椅子対応の個室。
6人がけ座席のコンパートメント。
グループで独占できればまだマシだろうけど、足の長いヨーロッパ人の見知らぬ人同士で6人埋まったらかなり狭そう。
6:30ほぼ定刻でミュンヘンHbfに到着。
イタリアの夜行列車はスリが多いという話を聞くのでクシェットではカバンを抱きかかえるようにして寝ていたが、6人満員でも特に危険を感じることはなかった。新しい車両だとデラックス寝台はもっと立派で座席車はリクライニングシートもあるそうで、ローマ行きはまだ古い車両だったがリフォームされていたので清潔感あって不自由しなかった。
予約はDB Bahnのサイトで英語表記に切り替えてクレジットカード決済まで全てWEBで完結でき、PDFを印刷して持っていけば鉄道パスを使う場合そのバリテーション以外は手続き不要で乗車できる。
ドイツ、イタリア、オーストリア三カ国の一等ユーレイルセレクトパスを使い、パスホルダー料金で利用時は6人クシェットが27.5ユーロ(4012円)、デラックス寝台が75ユーロ(10942円)。日本だとシャワーがある寝台個室北斗星やトワイライトエクスプレスのロイヤルやカシオペアのデラックスなど寝台料金が2万円近くする中で、1万ちょいの追加料金でシャワー付き個室に泊まれるヨーロッパ最高じゃないか!という感じに。イタリアのInter City Notteも安くて快適だったので格安航空先進国で航空やバスと熾烈な競争があるヨーロッパは割引料金豊富な夜行列車天国のようで次も機会を見つけてどんどん利用していきたい。
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