ANA、提携航空会社特典航空券 必要マイルチャートより。
2015年4月12日発券分からANAの国際線特典航空券の制度が大幅変更に。特に提携航空会社の特典航空券について詳細を紹介。
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距離制からゾーン制に
以前は飛行する距離数をマイルで足していって計算する距離制だったが、世界を10のゾーンに分けたゾーン制に。Zone 1: 日本
Zone 2: 韓国
Zone 3: アジア1(グアム、台湾、中国、フィリピン、香港、マカオ)
Zone 4: アジア2(東南アジア、南アジア、中央アジア)
Zone 5: ハワイ
Zone 6: 北米/アラスカ/カナダ/メキシコ
Zone 7: 欧州(極東ロシア、トルコ、モロッコ、アルジェリア、チュニジア含む)
Zone 8: アフリカ/中東
Zone 9: 中南米
Zone10: オセアニア/ミクロネシア(パラオ、マリアナ諸島含む)
ゾーン制になって以前のように距離を計算する必要がなくなり、周遊する際は場合によってはお得になった。
しかし、グアムは「アジア1」でエコノミーだと23000マイルだが、ほとんど距離が変わらないパラオやサイパンは「オセアニア/ミクロネシア」で50000マイル必要になってしまった。その際はユナイテッド航空など他のマイルを購入して使えばいいが。
どの国が入るかのゾーン区分を見るとミクロネシア連邦が載ってなくて「アジア1かオセアニア/ミクロネシアどっちやねん!」というのがいくつかある(たぶんオセアニア/ミクロネシアだと思うけど)。
・ANAマイルで2回に分けて行く極東ロシア サハリン、ウラジオストク、ハバロフスク
以前行った極東ロシアは「欧州」になってしまったため、日本からロンドンやパリへ行くのと同じマイル数になってしまった。
韓国経由が実質不可に
新制度では「出発地から必要マイル数がより高いゾーンの都市を乗換地とすることができない」というルールができたが、これがとてつもなく大きな制限になってしまった。
日本からどこかに行こうとする場合と、韓国からのチャートを比較すると、「アフリカ/中東」以外はなぜか韓国の方が高いため、「日本→韓国→アメリカ→日本」という経由が不可となった。
このため、日本発で韓国以外を目的地とする場合は「アフリカ/中東」へ行く時以外は一切韓国を経由できなくなった。仁川国際空港はシンガポールや香港と並ぶような世界のハブ空港で、東京よりはるかに就航都市が多く日本の地方路線も多くて便利だったが、これが全部潰されることに。
グレートサークルマッパーで作成。
極東ロシアに行った時はANA便が1つも取れず5便全部アシアナ航空を利用したので、極東ロシアも韓国経由もANAの特典航空券では実質不可となるのはかなり寂しい感じ。
ハワイや北米への必要マイルが日本より韓国の方が多いのはまだわかるが、アジアへ行く場合も日本より韓国の方が不自然に高いのは疑問でかなり悪意を感じる。
羽田空港の国際化で仁川国際空港の利用者数が減少しているそうだが、ANAは仁川を本気で潰そうとしているというのか。
「エリア」に注意
先ほどのゾーンとは別にゾーンをいくつかまとめた「エリア」というものが設定された。エリア1: Zone5、6、9(ハワイ、北米、中南米)
エリア2: Zone7、8(欧州、アフリカ、中東)
エリア3: Zone1、2、3、4、10(日本、アジア、太平洋)
エリア3内の移動ではエリア1、2は経由できない、エリア1からエリア2へはエリア3を経由できないなど、遠回りを制限するルールだが、エリア3からエリア1への移動でエリア2を経由できないため、日本から南米はヨーロッパやアフリカを経由できなくなった。
ただし、世界一周にすれば「日本→北米→南米→ヨーロッパ→日本」かこの逆回りのようなルートは可能。
乗継は往路復路で2回ずつ、途中降機は2回まで
新制度では目的地までの乗継は往路復路それぞれで2回ずつに制限された。距離制の時は4回までできた24時間以上の滞在となる途中降機(ストップオーバー)は目的地以外でもう1回のみで合計2回までとなり、かなり制限がきつくなった。海外での乗継の他に、日本国内線を往路、復路で2回ずつ乗換できる。
・東京-仙台-那覇-松山-大阪-ソウル-東京と日本4区間+海外周遊
以前の距離制時代も日本国内線4区間で乗継が可能だったが、新制度では往路2区間、復路2区間という組み合わせなら4区間まで24時間以内の乗継が可能で、なおかつ15000マイルですむようになった。
最初と最後の都市を経由できない
往路、復路それぞれの最初の都市、または最後の都市を経由することはできない。「東京→札幌→東京→フランクフルト(目的地)→東京」というように往路で東京を経由するようなのはできない。これはいいとして、「東京→フランクフルト→レイキャビク(ストップオーバー)→フランクフルト(目的地)→ロンドン→コペンハーゲン→東京」というのは不可ということになる。「東京→ミュンヘン→レイキャビク(ストップオーバー)→フランクフルト(目的地)→ロンドン→コペンハーゲン→東京」ならOKだが、2回しか乗継ができない制限があるためスターアライアンスの路線網で1都市からしか就航していない都市は経由地にできず目的地にするしかないので注意が必要となる。
オープンジョーは3回までできる
出発地は同じ国内ならオープンジョーが可能で、「東京→サンフランシスコ→大阪」や「東京→サンフランシスコ→東京→大阪」は可能。例外としては、香港と中国、香港とマカオは別国。スカンジナビア内のみの旅程を除いて、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンは同一国。アメリカとカナダは同一国。ヨーロッパ内のみの旅程を除いてヨーロッパは同一国。
目的地は同じエリア内であればオープンジョーが可能でゾーンは違ってもよい。「東京→バンコク/シンガポール→東京」「東京→パリ/アディスアベバ→東京」のような旅程ができる。
また、乗継地で24時間以上の滞在でストップオーバーする場合もオープンジョーが可能かどうかANAのご利用条件を見ても不明だったが、実際に発券してみて可能であることがわかった。「東京→バンコク/シンガポール→デリー(目的地)→北京→東京」のような旅程が可能。
まとめると3回までオープンジョーが可能になるので、「東京→シアトル→サンフランシスコ/ロサンゼルス→ニューヨーク(目的地)/ボストン→ワシントン→シカゴ→東京→大阪」のような旅程が可能となる。
ゾーンが異なる場合は1/2の合算
上記でオープンジョーをして往路到着地と復路出発地が異なるゾーンの場合は、その場合の必要マイル数は各ゾーンで必要とされるマイル数の2分の1の合算となる。これを利用すると「東京→デリー/ソウル→東京」のようにすればエコノミーで17500 + 7500マイルとなり、ソウル→東京を捨てて東京→デリーを25000マイルの片道発券的に使うこともできる。
この際、ソウル→東京のサーチャージと空港税は出発までに申告すれば返してもらえるという話を距離制時代にどこかのサイトで見たけど新制度でどうなのかは不明。
世界一周なら前の距離制が適応
ゾーン制となった今回の制度だが、世界一周にすれば旧制度のチャートとルールがそのまま適応されるので、ストップオーバー8回までなど自由に組むことができる。・意外と簡単?ANAマイルで夢の世界一周旅行
世界一周特典航空券を出した時の紹介。
複雑な旅程は全部電話する必要がある
ANAのサイトのシステムがアマデウスアルテアになり、他社の座席指定もマップでできるようになるなど利便性が向上する場面もあったが、有償/特典問わず複雑な旅程が全部発券できなくなっており、記事執筆時点ではデスクに電話するしか方法ない。システム変更があってから1ヶ月経つのに未だに電話に繋がりづらいようで、仕方がないのでアメリカのデスクにスカイプで電話したら10分で繋がった。
ただし、支払いはアメリカならドルで24時間以内なら無料で払い戻せるクーリングオフがあるなど、電話した国の発券制度になるので注意。WEBで発券できないものについては手数料は無料になる。
サイトの検索結果は信用するな
ANAのサイトの旅程検索では特典航空券の制度では取れないわけのわからない経路がいっぱい表示されるがルール外のものは当然電話しても当然発券できないので注意。「バンコク→シンガポール」で検索して「バンコク→東京→シンガポール」なんかがヒットして「アホか!」となる。例えば「東京→シンガポール」でビジネスクラスを利用したいと検索して「東京→バンコク→シンガポール」がヒットした場合、両方の区間にビジネスに空席がないとビジネスの欄に空席のマークは出ず、どちらか片方にビジネスに空席がある場合でも選択することはできず、区間ごとに1つ1つ検索して選択するしかない。
そういう場合は、ユナイテッド航空で検索すると乗継がある場合も区間ごとにビジネスやファーストに空席があるか確認でき、ANAと比べると思わぬルートを出してくることがあるので空席を探す時は併用すると便利。
北米のお姉さんに「日本のデスク全く繋がらないんですよー」と言ったら思わず苦笑されてしまい、システム変更から1ヶ月経つのに未だに電話に繋がりづらい現状を見ると、いったん前のシステムに戻した方がいいんじゃないかと思うくらい。韓国を経由できないなどかなり制限がきつくなったが、ルール内であれば遠回りしても必要マイル数は変わらないし、サーチャージが安くなった現状ではエコノミーとビジネスについては前より安くなった部分もあるのでうまく利用していきたい。
・ビジネスクラスでアジア&インド周遊などANA特典航空券のお得なルート
続いて、実際に発券した例や面白そうなルートを紹介。