中国のBL作家逮捕はなぜ懲役10年半の極刑なのか 通報で懸賞金1000万円の大粛清時代が到来


中国の同人イベントの風景(本記事の内容とは関係ありません)


中国の18禁BL作家が逮捕

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中国で天一という作家が「攻佔」というBL(ボーイズラブ)小説を7000冊を売って逮捕され、懲役10年6ヶ月になる事件が発生。


許可のない出版と18禁はNG

中国では文化的なものは一党独裁の中国共産党の立場を危うくする恐れから出版物や映像は許可がなければ販売することができない

印刷することもNG(中国で印刷したものを海外で売るのができない)なので、本は印刷会社ではなく自分たちで印刷していたようだ。

また、日本や台湾とは違って18禁もNGなので、中国国内ではエロ本やAVなどは販売できない。

AVは日本でいう裏ビデオ的な販売方法で街中で隠して売られているものを買えるらしいのだが、残念ながら私は見たことがない。

中国では楽天・ヤフオク・メルカリに近いタオバオ(淘宝)で手数料無料で誰でも気軽にものを売ることができ、本来であれば許可を得なければ頒布できないはずの同人誌や18禁本もたくさん見ることができるのが現状となっている。

というか、カテゴリになぜか「同人誌」もある。

えっちなのはいけないはずの中国でエロ同人誌はどのようにして売られているのか
中国の同人イベントの風景(本記事の内容とは関係ありません) 中国で7000冊のBL本をタオバオなどで頒布したサークルが懲役10.5年で逮捕されたニュースが話題に。中国国内ではえっちな同人誌、というか18禁の本やAVはいけないはずな...
同人イベントでもこのようにたまに見かける。


なぜBL本で懲役10年半なのか

天一氏は違法出版と18禁を理由に逮捕されたが、それにしてもBL本を頒布しただけで10年半というのは重すぎる気がする。

規模感がわからないものの、18禁同人誌を頒布して逮捕された例で聞いたことあるのが懲役3年くらい。冒頭に貼ったニュースだと「女児監禁で懲役1年半、強姦で懲役3~5年、妻殺害で懲役6~7年」と書かれているので、中国の常識から考えても高いと思われる。

複数の知人に聞いてみたところ、今回の懲役10年半の根拠となったのは、1998年の最高裁判所の判例だと言われているようだ。

中国のGDPの推移 - 世界経済のネタ帳
中国のGDPの推移をグラフ及び時系列表にて掲載しています。
1998年と2018年の中国の名目GDPを比較すると20年で10倍以上に経済成長している。

天一氏サークルはBL本を7000部で15万元(約245万円)売り上げており、20年前の15万人民元は大金だったが、その時の判例をそのまま参考にしてしまったので、単純に中国共産党の許可なく勝手に18禁本を売ったこと以上に罪が重くなってしまったのではないかという話で、中国国内でも批判する声があるようだ。


違法出版の通報で懸賞金がもらえるように

“扫黄打非”举报奖励新规公布:最高奖励60万元_新闻频道_央视网(cctv.com)
办法明确了属于“扫黄打非”举报奖励范围的十六种情形,涵盖网上网下危害意识形态安全、文化安全、未成年人身心健康、新闻出版行业秩序的各类涉“黄”涉“非”问题。同时,明确符合举报奖励的条件,以及不属于举报奖励范围的情形。
http://www.xinhuanet.com//zgjx/2018-11/20/c_137618908.htm
更に悪いニュースとして、2018年12月1日から違法出版や18禁を通報すると最高で60万元もらえる懸賞金システムが導入されるそうだ。

違法な出版活動を通報すると最高60万元(約1000万円)、未成年や社会に悪影響を与えるWebサイトやアプリを通報すると最高5万元(約80万円)が報奨金としてもらえるというもの。

ちなみに、「扫黄打非」のうち、「扫黄」は日本の漢字だと「掃黄」となり「エロの一掃」の意味で、「扫黄打非」は「エロと違法出版の取り締まり」となる。

エロを彷彿させる色は日本はピンクだけど中国は黄色


中国の同人の暗黒時代が到来?


2017年10月の広州YACA54

中国南部の広州で開催される同人イベントのYACAでは2018年2月開催時は同人誌の頒布を自粛する対応を行うなど、中国国内でも今回の事件は波紋を呼んでいる。

文化局が検査に来たから同人誌を隠して!→ヤバイ!→もう帰ったからいいよ 中国の同人イベント武漢ComiAiがたくましすぎる
2018年8月25-26日に中国の中部で湖北省の省都である武漢で同人イベント(同人展/動漫祭)ComiAi15が開催。会場は武漢国際会展中心で同じく武漢のAnimePower10との共同開催。
前に、同人誌を巡る同人イベントと文化局の阿吽の呼吸について紹介したが、中国共産党や地方政府の意向によって同人誌を巡る風向きも簡単に変わってしまうのが今の中国と言えるだろうか。

「モンスターハンターワールド」が配信停止などゲーム規制強化や、ビリビリ動画からアニメが大量削除などのニュースなどが日本でも話題となったが、懸賞金システムで通報が相次ぎ、数千万人が亡くなったとも言われる毛沢東の文化大革命のように同人誌の大粛清時代が到来してしまうかもしれないと心配でならない。

知人に聞く範囲では、「中国ではこの手の話はよくあることで、今後も逮捕される人は見せしめレベルでしかないだろう」という話だが、中国の同人界隈の今後に注目したい。

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2018年2月4から5日中国の北京で開催された同人イベント北京筑梦・次元天成にサークル参加。あのビリー兄貴も出演すると聞いたがマジなのか、というか中国でも人気あるの?
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