中国の港湾都市天津でソ連から払い下げられた空母キエフが展示される天津泰達航母主題公園(または天津浜海航母主題公園)へ。
ロシアテーマパークに入場するも……
入場料を払うとこのようにパスポートがもらえる!
しかし、こいつが大人1人220元もして、1人民元15円だとすると3430円になるのでめっちゃ高い!
天津泰達航母主題公園はソ連の空母キエフに入れるという事前情報しかなかったのだけど、どうやらロシアをモチーフにしたテーマパークだったみたいで、写真を撮って貼ったり、税関、入境ゲートなどいろいろ再現されている。
しかし、面倒だったらスルーして横から通り抜けることもできるようだ。
ゴーストタウンすぎてヤバい!
訪問したのは2020年1月2日で、冬の天津は最低気温マイナス10度くらいまで行く北海道並の極寒の地だ。中国に正月三が日という概念はないので、わざわざこんなクソ寒い冬の平日に空母なんて見に来る人はいないということなのだろう。
お店もミリタリー色が強いところが多かったけど、人はほとんどいなかった。
野外兵器展示ブース
MiG-19をライセンス生産した戦闘機J-6、T-54をライセンス生産した59式戦車など中国人民解放軍の兵器が多数並べられているので興味と知識があれば楽しめそう。
051型ミサイル駆逐艦のスクリュー。
こういう安っぽい水兵像はアメリカのマリーナなんかでも見たことあるな!
上海世博会天津館
上海国際博覧会の天津パビリオンを移設したもの?
中国の衛生打ち上げロケット長征2号Fや、10年くらい前にスーパーコンピュータ京とランキングを争った天河一号などの科学技術博物館みたいになってた。
こちらは園内の端っこにあるからか人は皆無で貸切状態!
駆逐艦や潜水艦
天津泰達航母主題公園は他に駆逐艦や潜水艦も見られるようなのだけど、冬季はやっていなかった!
航母軍事体験中心というのもあったけど、こちらは完全に廃墟で夏の多客期でもやってなさそう。
いよいよ次回は空母キエフに入ります!
重航空巡洋艦キエフに乗艦!
ほぼ無人だった天津泰達航母主題公園のだだっ広い敷地を抜け、いよいよ空母キエフに乗艦!
艦内は機関には入れないものの、飛行甲板を入れてざっくり4階層を回れる。
「航空母艦」だとモントルー条約でトルコのボスポラス海峡を通過できないので、キエフ級は「重航空巡洋艦」というわけのわからない艦種になってしまったようで。
53.3cm5連装魚雷発射管にTEST-71M魚雷。
空母なのに魚雷が積まれてて、いきなり盛り上がるな!
ソ連の対艦ミサイルP-500パザリート(玄武岩) SS-N-12。
対空ミサイルM-11シュトルム(SA-N-3)。
縦向きに搭載されているので、各階層で見られるものの一番下から見ると小翼しか見えない。
核弾頭が搭載できる対潜ミサイルRPK-1 Vikhr(SUW-N1)。
空母なのになんでも積んでてすごいな!
戦闘機J-10や、なぜかアメリカのステルス戦闘機F-117Aが展示されている格納庫。
広い格納庫は何もないスペースがあって、このようにロシアンダンスショーも見られるみたいだ!
アメリカでアイオワ級戦艦や空母イントレピッドなどを見てきたけど、ソ連の空母でロシアンダンスみたいな奇抜な企画は見たことがないので中国すごすぎる。
極めつけは空母ホテルの航母酒店。
世界広しといえども航空母艦がホテル化されているのはキエフくらいなものだろう。このニュースを見てからすごく泊まりたかったけど、残念ながらとっくの昔に営業停止となっていた。
航母酒店の宿泊者のみが入れるエリアがたくさんあり、一部エリアがロビーやレストランになった表記が艦内地図にそのまま残されていたので、もっと早く来ればよかったと後悔。
AK-176 76mm単装速射砲の弾薬庫と揚弾機。
世界の空母の歴史を展示するコーナーもあり、日本海軍からは鳳翔さんや加賀さんの模型も。
傾斜水兵室。
なんのために部屋が傾いているのかわからなかったが、攻撃を受けて傾いた時用?
艦内を一通り見て、気温は余裕で氷点下の飛行甲板に上がる。
艦首の方へ歩いていく。
先程見た対艦や対潜ミサイルなどが搭載されている。
対潜迫撃砲のRBU-6000。射程6km、最大深度500m。
キエフは着艦用の飛行甲板が斜めに配置されたアングルドデッキではあるが、艦首には兵器が積まれて飛行甲板がないので、ヘリコプターや垂直/短距離離着陸機(V/STOL機)しか運用できないのがわかる。
艦橋構造物を後ろ側から。
航海艦橋と眺め。
艦内に戻って食堂。
プーチンも大好きアイス!
艦内は広く兵器も多種多様で見どころが多いけど、こういう雑なコラもあって見逃せない!
結構大きな空母遼寧のレゴっぽいブロックや重航空巡洋艦キエフのフィギュアが5000円くらいで買えてしまうのでめっちゃ安い。お土産に持って帰りたいと思ったけど大きすぎて春秋航空に乗れないので断念。
作戦指揮所。
とても艦長感あるな。
核ミサイルのボタンも押せたらしいのだけど気が付かず素通りしてしまった。
展望台に上るとやっと全形を拝むことができた。
夕日に染まるキエフが最高じゃないか。
艦首方面を見上げることもできるが手前の構造物が邪魔すぎる。
入艦料はアメリカで保存されている艦艇より高いものの、真冬ではほとんど貸し切り状態でほぼ1日楽しめた。戦後の艦艇はあまり詳しくないものの、艦これの伊勢型戦艦や航空巡洋艦も改三、改四になったらこんな感じになるのだろうかと思いを馳せることもできた。
天津泰達航母主題公園へのアクセス・行き方
天津から天津泰達航母主題公園へのアクセスはバスの利用が便利で、
天津駅発: 8:00、9:00
航母公園発: 14:00、15:00
しかし、土日祝しか運行していないので今回は別の方法を取った。
往路は天津駅から高速鉄道で浜海駅まで行き、バスで大沽口砲台遺址博物館に寄って、浜海駅に戻る1号バスが行ってしまったのでアリペイでタクシーを呼んで航母公園にダイレクト移動(72.19元)。
南北京-天津-浜海の京津都市間鉄道は中鉄銀通支付が対応しているはずなのだが、天津-浜海の区間ではなぜか使えず有人窓口で切符を買う羽目になった。
予約なし切符なしで中華新幹線に乗れる!中国のEX-IC 中鉄銀通カード
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航母公園からの復路は127路バスで東海路駅まで行き、そこから天津地下鉄の津浜軽軌で天津駅に戻った。
時刻表が2つあったのでどちらが正しいのかわからなかったが、バスは17時に出発。東海路駅までの127路は所要40分で、運賃は2元、ICカードは10%割引。天津ではバスも地下鉄も交通聯合カードが使える。
中国は全国260都市で相互利用可能に。日本は交通系ICカードでも遅れを取ろうとしている
「交通聯合カード」苏州交通一卡通(Jiangsu T-Union) 中国では経済発展に伴って地下鉄も増え、交通系ICカードも普及が進んでいるが、都市ごとに乱立しまくっているのは日本と同じ。
東京から天津までは、1月1日朝2:15発の天津航空の羽田-天津便を片道27150円で公式サイトから発券し、天津-関西をTrip.comで発券して6110円(運賃360+諸税5750円のセールチケット)だった。
東海路駅までの途中には別の要塞博物館もあったようなので、次の機会があれば今回は公開されていなかった潜水艦や駆逐艦に乗艦しつつ、こちらの遺跡も回ってみたい。