1日働き3日遊んで暮らせる!中国・深センのドヤ街・三和人材市場に潜入!→日本の西成よりマシなのでは?


深センのドヤ街・三和人材市場を探検してみた。訪問は2020年3月で1人民元は15~16円。

ここはNHKドキュメンタリー「三和人材市場 中国・日給1500円の若者たち」を見てどうしても行きたかった場所だ。

地方の農民戸籍を持つ若者たちを中心に日雇いで稼ぎ、中国のIT産業や製造業を底辺で支えているのがこの三和人材市場。しかし、ここでは1日働けば3日遊んで暮らせ、ネットカフェでゲーム三昧できるパラダイスなんだとか。彼らのように三和人材市場での生活を謳歌する若者を「三和大神(三和ゴッド)」と呼ぶそうだ。

日本のドヤ街とはちょっと想像もできないような暮らしぶりが気になったので実際に潜入してみることにした。


深センの三和人材市場を目指す


香港から深センに入りの地下鉄・4号線(龍華線)に乗って北の郊外を目指す。

高速鉄道の発着する深セン北駅周辺では開発が進む様子も。



終点の1つ手前の龙华站(龍華駅)で降りる。



乱雑に置かれたシェア自転車のmobike。

龍華駅から三和人材市場までは1.3kmくらい。往路は歩いて行ったけどシェア自転車を使った方が便利で。



龍華駅から北に向かうと「人力資源市場」といったそれらしい看板が見えてきた。


敷地内に入ろうとしたら……


ここが三和人材市場の中心で職業紹介業者「三和人力資源集団」のあるブロック。



中に入ろうと思ったら、入口には改札があって中国の身分証明証が必要なようだ。


外国人は入れないことが発覚!


まあ、私みたいな観光客が紛れたら迷惑だから、そりゃそうだよなあ、と思うけど、世界最強の日本パスポートを見せてもここでは門前払いだったのは残念。

写真の端に赤いボードが写っているのは、おばさんが近くの安宿を案内しているもので、この三和人材市場の周辺でたくさん見かける。しかし、公安の目の前で勧誘するのはタフな人たちだなあ。



残念ながら塀越しにしか見ることができなかった。


隣の通りで求人票を見る


三和人力資源集団の敷地には入れないので、道路を渡って反対側のブロックに移動。




こちら側も同じように中国の身分証明書がないと派遣会社の中には入れないようだけど、外から求人票を眺めることはできる。

Thinkpadでお世話になっているLenovoやiPhoneなどを製造するFoxconn(富士康 / 台湾・鴻海精密工業)の求人など、中国のシリコンバレーと呼ばれる深センだけにデジタル製品の製造業が中心。日本企業を探したけど見当たらず、人件費高騰のためもう撤退してタイやベトナムなどに逃げてしまったのだろうか。

都市によるけど中国ではコンビニのアルバイトなどは時給20元前後、ここでは時給15から30元くらいの求人がズラっと並んでいた。執筆時1元は15.7円、時給20元だとすると314円なので、まだまだ日本の最低時給よりも遥かに安いことがわかる。



フォックスコンの求人票。

やっぱりアップルのiPhone、iPad、iWatchを製造していることをPRしている。

18-45歳まで、1時間21元。月15日労働で諸手当込5500-6000元?86350-94200円入ってくるなら中国の地方都市であれば悪くない金額か?

世界へと羽ばたくアップル製品を製造しながら深センで三和大神として暮らすのはなかなかよさそうじゃないか!

……と思ったけど、日本のブラック企業の求人情報と同じで都合のよいことしか書いてないケースも多いようなので注意。



人材派遣会社の隣で三和大神の日当に相当しそうな服をPOLOが平然と売っている姿を見るととても格差社会を感じる。



三和人力資源集団の建物を道路越しに眺める。




人材派遣会社の隣でやってるワンタンチェーン店で10元のワンタンをいただいたり、周辺の個人店で1個1.5元の肉まんを買ったり。

日本の外食チェーンも世界的に見ると世も末くらい安いけど、中国ではまだまだ物価水準が安いので十分生活していけそうだぞ!



三和人力資源集団は巨大な家具市場があって、その前に若者たちが座り込んでいる。

みんな一心にスマホを見ているが、日雇いで振り込まれた金額を見てウハウハしているのか、農村に残してきた家族を思っているのか、遊びすぎて借金が返済できず焦っているのか、などはわからなかったが、みんなたくましくここで生きている様子を見ることができた。



どうあがいても中に入れない!

三和人力資源集団の周りを見ると、やっぱり入るのは無理そう。三和大神がどんな部屋で生活しているのか見てみたいので、宿の勧誘をやってるおばちゃんたちに「宿泊料金払うから部屋を取材させて」と聞いて回ってみたが、みんなあしらわれてしまった。


周辺の安食堂や安宿街を見る


三和人材市場の周辺を探索すると旅館や飲食街になっていた。



座位・ドミトリーは15-20元、単間・シングルルームは25-40元くらいで広さや設備による。

西成や新今宮周辺だと1400円未満には泊まったことがないので、ぜひ三和人材市場で泊まってみたい!と思ったが、中国には人民しか泊まれない宿があり、ここも恐らく外国人は泊まれないのだろう。

宿代がもったいないからと地面で寝るような三和大神もいるようだが、訪問した1月はさすがの南国・深センも寒いので出会えなかった。



8元から食べられるセルフ中華料理屋がたくさんある。

しまった!ここで食べればよかった!と後悔。東南アジアでは発展により1食1ドル生活が徐々に困難になってきているが、ここ深センの三和人材市場ではそれに準じる生活がまだまだ可能だ。



ネットカフェの入口からはPCモニタの明かりが漏れていた。

1階がゲームセンターやオンラインカジノとなるネットカフェで、2階以上が旅館になっている建物も多かった。

こうした裏通りでは、三和大神と思われる人たちが平日の昼間から将棋やボードゲームで賭け事をしていたり、三和大神を商売相手にしている人の子供たちが遊んでいたりして賑わっている一角も。



NHKでは「廃屋のような建物が乱立し」といった紹介をされていたが、三和人材市場裏の建物は思ってたよりはかなりきれい。

とても低層な建物が多くて昭和を感じる西成の方が遥かにドヤ街っぽいのでは。少なくとも三和人材市場周辺にスラム街といった感じは皆無だった。



付近にはこんな立派な学校があり、三和大神から収入を得ている家族の子どもたちも通っているのだろう。



龍華駅と三和人材市場の間にある龍華公園には革命烈士紀念碑もあるようなので観光として寄るといいかも。


三和人材市場へのアクセス


深セン北駅。

香港から三和人材市場への行き方は、香港地下鉄MTR東鉄線で羅湖イミグレーションを通過して中国に入り深セン地下鉄1号、4号線を乗り継ぐ方法と、香港・西九龍駅から深セン北や福田駅まで高速鉄道を使って地下鉄4号線に乗り換えるのが便利。香港から三和人材市場までは2.5時間くらい。



三和人材市場の最寄り・深セン地下鉄4号線の龍華駅。

ちなみに、深セン地下鉄4号線は香港MTRが運行を行っているのでMTRの「*」みたいな赤いマークがついている。



香港MTRの高速鉄道車両・動感号

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NHKドキュメンタリーでは、中国も物価は上がるけどそれに準じて給料は上がらず、1日働いて3日遊ぶべたのが2日しか遊べなくなるなど、どんどん生活が厳しくなる様子が放送されていた。三和大神としての快楽生活から抜け出せず、貯蓄はなく最後は身分証明証まで売却するといった禁じ手を行う人もいるようである。

外国人は三和大神になることはできなかったけど、三和人材市場を実際に訪問してみてその暮らしぶりがなんとなく掴めたのは行った甲斐があった。簡単に比較はできないものの、高齢化が進み世帯の1/3が生活保護受給の西成と比べると、街はきれいで若者が多い三和人材市場の方がマシに見えた。

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