アホウドリのうんこでできたリン鉱石で潤いかつては世界一の金持ち国と言われた太平洋の島国ナウル。将来の資源枯渇を見越して、鹿児島空港に就航するなど太平洋のハブ空港を目指したり、不動産投資や株式投資など様々な挑戦を行うもことごとく失敗して借金漬けに。航空会社が運行できなくなりネットも途絶して国自体が遭難、ナウル国籍を2.5万USDで販売、タックスヘイブンとなるべく資金洗浄銀行を作成、お金をもらって難民を受け入れるなどして現在も奮闘中。もはや伝説となったこのナウルへ行く方法を調べてビザ発給を試みたところ、それは困難を極めた。画像はナウル航空の機内誌より
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かつては「ホテル→航空券→ビザ申請」
ナウルはいつか行きたい国として2010年代にたびたび情報を集めていた。当時からよく言われていたのは「真っ先にホテルを押さえろ」ということ。工事や難民関連の職員が泊まる需要があるからか、ナウルの限られたホテルの客室は常に不足しており、空室を探すのはビザの申請より難しいと言われていた。仮に航空券を先に買っても滞在先がなければビザが取れず無駄になってしまうので、とにかくホテルを最優先で押さえるというのはナウル渡航者の間では常識となっていたのだ。
これが2010年代後半になると民泊仲介のAirbnbが出現してナウルでも利用できるようになり、選択肢が増えて安く滞在することもできるため以前よりはハードルが下がっていた。
コロナ禍でホテルのネット予約が不可に
しかし、コロナ禍により状況は一変した。ネットの途絶が原因なのか詳細はわからないが、ホテルの予約にExpediaやagodaといった宿泊予約サイトOTAやAirbnbが一切使えなくなってしまったのだ。そうなると、電話やメールで宿に直接連絡するしかない。南太平洋への国際電話は1分1USDくらいして高すぎるので、メールアドレスを探してメールで連絡することになる。なお、WhatsAppを使っている人もほぼいないようで、電話番号でWhatsAppアカウントを検索してもヒットしなかった(バヌアツで重宝した)。ナウルには4軒くらいホテルがあるのでウェブを検索して調べたアドレスにメールを送ってみたものの、ドメインが失効しているのか「MAILER-DAEMON」で届かなかったり、音沙汰のないアドレスばかりだった。
南太平洋で人気のないキリバスやナウルといった国は、「地球の歩き方」も売れないので出版されない。そこで重宝するのは「国際機関 太平洋諸島センター」のウェブサイトで無料ダウンロードできる日本語ガイドpdfなのだが、ナウルが発行されたのは2017年。掲載されていたブダペストホテル、オドゥン・アイ・ウォ・ホテル、エワロッジはいずれも返信がなかった(エワロッジは連絡先が変わっていたことを後で知る)。
唯一、ナウル国営のメネンホテルだけは返信がきた。このメネンホテルはナウル東側に位置していてアクセスがあまりよろしくないのだけど仕方がない。滞在日数分の予約を確保した。
ナウル航空のチケット
バヌアツで外貨を稼ぐ国営ナウル航空の勇姿。
ナウルへのアクセスはナウル航空1社の独占となっている。
筆者は日本からはフィジー航空で成田-ナンディ(フィジー)-タラワ(キリバス)と乗って、ナウル航空でタラワ-ナウルを移動し、ナウルに6泊する予定で航空券を確保した。
Nauru Airlines
Airline of the Central Pacific. Flights Include Meals and Drinks. Infants fly free* Includes Baggage. Amenities: Great Meals, Extra Leg Room, Friendly crew.
ビザ申請をしようと思ったら……
ナウルの逸話として有名なものに「ビザ申請の連絡先がGmail」というのがある。政府機関のドメインですら失効する可能性があって信用できないことの裏返しというわけだ。ホテルと航空券を押さえたので最後にビザの申請に挑戦したら、これがまた難航した。ウェブを調べてビザ申請の担当者と思われるGmailのアドレスにメールを送ってみたところ……。
う、うそ、だろ……
ドメイン失効する可能性のほぼないGmailを使っていたのではないのか?
まさかの空き容量不足である。古いメールを消すか、仮にも政府機関なのだからお金払って保存容量追加しろや。
おそらく、すでに担当者は変わってしまい、このアドレスも管理されないままになっているのだろう。
念のためナウル出入国省のvisa@naurugov.nrにも送ってみたがやはりだめだった。
ホテルと航空券が取れればビザ申請は日本人ならなんとかなると思って半分舐めていたので、どこに申請すればいいのかわからなくなってパニックに陥ってしまった。しばらくして落ち着いた後、ここまで日本語でしかウェブ検索していなかったことを思い出したので英語で調べ直してみた。
すると、現在は担当者が変わっていて、ブリスベンの総領事館にいる人がやっていることを突き止めた。
How to Get a Visa for Nauru in 4 Steps | Very Hungry Nomads
How to get a visa for Nauru. Everything you need to know to get your Nauru visa before visiting this tiny country in the Pacific.
ナウルのビザ申請方法
ビザ申請周りの連絡先
ブリスベンにある総領事館観光局のCramer CainさんとCindrea Denugaさんがビザ申請の担当者らしく、試しにメールを送ったら翌日の午前中に返信があり太平洋の島国としては仕事が速いのでとても驚いた。- Cramer Cain: cramer.cain@brisbane.gov.nr
- Cindrea Denuga: syn.naurutourism@gmail.com
観光局職員(?)のMahlon Brechtefeldさんもすぐに返信をくれたので困ったことがあったら相談できるかも。
mahlonnaurutourism@gmail.com
ビザ申請に必要なもの
- 必要項目を全て記入したビザ申請書
- 有効期限6ヶ月以上(ナウル到着後)のパスポート証明写真ページ画像
- 日本からナウルまでの旅程の控え
- ナウル滞在中のホテル予約確認書
- 英文の在職証明書または旅費支払い能力を証明する残高証明
- 新型コロナウイルスCOVID-19のワクチン接種2回以上を証明する書類
- 4.5cm×3.5cmの証明写真画像
- ビザ代の支払い証明(後述)
日本など66カ国の国民は無犯罪証明と健康証明書の提出は不要。ビザ申請書の記入はGoogle翻訳のカメラ機能を併用して日本語に翻訳しながらやったら特に苦労しなかった。
ビザ代50AUDの振込
ナウルの観光1ヶ月ビザの料金は50AUDだ。振込手段としてはRevolutやWiseが便利で、より手数料が安いRevolutを使った。振込時の注意としては、自分の名字が「さざなみ」の場合、「VISA T-SAZANAMI」のように「VISA T-名字のローマ字」をリファレンス欄に書く必要があること。これは申請者が振込をしたかどうか確認する時に使われる。
オーストラリアの銀行振込には振込先の住所入力が必要なようで、ナウルの総領事館の住所を調べたら下記だった。
Level 3, 99 Creek Street , Brisbane, QLD 4000
送信前の確認画面で振込先がちゃんと「Treasury Operating Account」になっているかなどを確認して振込を行う。振込が反映されるには2営業日かかった。
ビザ申請書にはビザ代を支払ったことをチェックする欄があるため、ビザ申請書の提出前にビザ代の振込が必要と思われる。
ビザ代を振り込んだらビザ申請書などを完成させ、振込時にリファレンス欄に記入した「VISA T-SAZANAMI」といったリファレンスをメール本文に記載し、必要なものを全て添付してcramerさんに送れば完了となる。
ビザ発行には2~4週間はかかるようなので余裕を持って準備をしよう。
まず最初にビザ申請担当者の連絡先を調べろ!
ナウルのに行くために必要な実作業は確かに「ホテル→航空券→ビザ申請」という順番にやった方がいい。しかし、それよりも先にビザ申請担当者の連絡先を必ず真っ先に調べよう。そして、ちゃんと連絡可能かどうかメールを送ろう。
今回の場合は、cramerさんが申請書だけでなく現在宿泊可能なメネンホテルとエワロッジの連絡先も教えてくれた。もし、最初にcramerさんに連絡を取っていればホテルを探すのにもこんなに苦労しなかっただろう。
結果的に、今回の作業順は「航空券→ホテル→ビザ申請連絡先特定→ビザ申請」となってしまったが、これは悪い例なのでマネしちゃダメだ。
ナウル観光局の公式サイトがオープン
NAURU TOURISM
A Pleasant Surprise
まだGoogleに認知されておらず検索順位も低いが直に改善されるだろう。ビザ申請方法についても詳細に書かれており、このサイトがもっと早くオープンしてその存在を知っていたらこんなに苦労しなかった!という壮大なオチがついた。
というわけで、ナウルのビザ申請の初手は下記となる。
- ナウル観光局公式サイトでビザ申請担当者を調べる
- サイトが失効していたら「英語」で検索してビザ申請担当者を調べる
必ず情報量の多い英語で最新情報を集めよう。必要な手順をまとめると下記のようになる。
- ビザ申請担当者と連絡を取れるか確認
- ホテルを予約する
- ナウル航空の予約をする
- ビザ申請をする
ちなみに、ナウル共和国政府観光局を名乗る日本語のTwitterやウェブサイト、松本のホテル、グッズ販売サイトなどが話題となっているが、ビザ申請方法、観光局の英語ウェブサイトURL、現役で営業しているホテルの連絡先など、旅行者が本当にほしい情報は何一つ掲載されていないので、ナウル政府を語る悪質な詐欺なのではないかと疑って観光局のMahlonさんに問い合わせてみたところ、ちゃんとナウル公式らしいことが判明した。ナウルの「謎の国」というブランドイメージをつくるために日本語担当者はわざとやっているのかもしれないが、渡航に必要な正しい情報、せめて英語サイトのURLくらいちゃんと掲載してほしいと思う。
ナウル共和国政府観光局日本事務所のTwitterやWebサイトでは必要な情報が得られず、渡航者が少ない日本人の個人ブログなどの情報はすぐに古くなってしまう。私のように情報量が少ない日本語で検索してドツボにハマることになるので、必ず英語で最新情報を検索してビザ申請担当者に連絡を取ってほしい。