台湾のコミケ的ポジションの同人誌即売会Fancy Frontier 26が8月29、30日に開催。夏と冬の年2回でこれまで夏は夏コミ前に開催されており原稿中で行けなかったが、日程がコミケ後に移動。また、台湾大学の体育館ではなく花博会場に変更されて2回目の開催となる今回はいろいろな進歩が見られたのでその様子を紹介。
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なぜか大行列のサークル入場
「社團(サークル)入場」と書かれた案内板があったが前回とは違うところから入るようで。
今回のサークルチケットはこんな感じ。1サークル3人分あり、1人は入場するためのカタログがもらえ、残り2人はカタログを購入する必要があるシステム。
サークル入場の行列折り返し地点。
サークル入場なのに相変わらずなぜか行列があってしかも長いよ!
サークル入場は一般入場とは反対のバックヤードみたいなところからになってた。
受付でサークルチケットを見せて手にスタンプを押す日本だとオンリーイベントでよくある方式。
あと、なぜかお茶が人数分もらえる。
基本的に「無糖」って書いてないお茶や紅茶は砂糖が入っているが、でかでかと「甘」と書かれた上に日本語で「味が濃い」と書いてある。嫌な予感がした通り甘すぎで、運営さんはもうちょっとチョイスを考えなおすべきだ!と思ったけど、暑い国だとこういう甘くて冷たい飲み物が好まれる傾向にあるから郷に入れば郷に従え?
こういう風にサークルチケットをチェックして、スタンプを押し、お茶を配るので時間がかかるわけね。コミケでは転売対策なのか最近になって少しはチェックするようになったけど、基本的にサークルチケットを箱に入れるだけでスムーズに会場内に入れるのでだいぶ違う。
机はコミケより広い
すでに思い思いにサークルスペースを設営。
サークルの1スペースは90×60cmで90×45cmのコミケよりは広い。
ただし、確か前回までは90×90cmで縦にB5本3冊並べられたのと比べると机の大きさは小さくなった。代理人の話が本当であれば、なんでも他のイベントと被って同じ机が借りられなかったとか。
台湾名物、開幕ダッシュ!
一般入場の行列を見ると結構すごいことになってて、最後尾は外に伸びているので列がどのようになっているのかまったくわからない。
そして10:30開場!
なだれ込む人人人!!!!!
バーゲン品を買い求めるおばちゃんの勢いで同人誌に並ぶ台湾の人たち。もちろん全員じゃないけど走ってる人多すぎて毎回笑える。コミケでは走るのは危険なのでご法度であり、ファンシーフロンティアでもそうであるはずなのだが、みんなの表情を見るとなんか楽しそう。
ちなみに開始時の放送や拍手はない。
相変わらず艦これ大人気
・【FF23】台湾の艦これ旋風がすごすぎてこれは日本超えたんじゃないのか
日本と一緒で台湾でも「艦隊これくしょん -艦これ-」は未だに大人気でジャンルでは恐らく最大派閥。
サークル「狐姫町」のめぞん一刻な長門はどこかで見たことあるなあ、と思ったら日本に留学されている方のようなのでコミケで見かけたのかな。日本人サークルもかなり増えており、日本のコミケや香港などに出てくる台湾サークルもたくさんいるので、だんだんどこの国のサークルか区別がつかなくなってきて困る!
双葉杏とうまるちゃんポスターを無料配布。
今回のファンシーフロンティア26で特筆すべきはやはりアイドルマスターだろう。TVアニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ」の放送によってアイマスサークルが10サークル以上に増えており、18禁メインのエロ島となるあたりではアイマスサークルが並ぶアイマス島らしきものが形成されていた。これまで日本人サークル含めて数えるほどしかなかったので感涙。
行列の整理がだいぶしっかりしてきた
台湾でもコミケみたいにこのくらいは混雑する。
これまでのファンシーフロンティアでは人のベクトルがぐちゃぐちゃでコミケみたいに混んでてもゆっくりながら進めるという感じにはならず、混雑時はなかなか思うように歩けなかったのだが、それがどういうわけだかかなりマシになっていた。
「中繼點」
不思議に思って会場内を見渡すとアチコチにいわゆる「最後尾ではありません」という「中繼點(中継点)」という札が見られた。
・昔のコミケってこんな感じだった?台湾最大の同人即売会FF25がカオス
前回だとほとんどが行列なかった高雄MRTの「進め!高捷(たかめ)少女!」が今回は大人気で「中繼點」の札はあるけどどこが最後尾なのかわからないレベルになってた。
外周の行列。
台湾大学体育館の時代だと複数階に分かれて狭かったので行列を外に流すことが困難だったが、花博会場に移動して2回目になってようやく台湾の人も学習してきたのか行列の捌き方がしっかりしてきた印象で、これが混雑の緩和につながったのではないかと思う。
今回もアイマスや艦これ本を頒布する「REI’s ROOM」。
10年くらい前のFF4の時には台湾サークルでは「REI’s ROOM」しか行列整理をしておらず、そもそも行列サークルがほとんどなかったが、規模の拡大と一緒にようやくここまで到達したか、という感じかな。
企業ブース
同じ会場内に企業ブースも入っており、日本からは「とらのあな」や「らしんばん」や「まんだらけ」が出展。
なぜかうちの同人誌が売られてる!
中古同人誌を売るらしんばんブースではなぜかうちの同人誌が海を超えて売られているのを発見して爆笑したわ!
おのれ、らしんばんめ……。
評論、旅行などオリジナル同人誌が増える
コミケにも出ているサークル「景美仙姫巌」では雪風以外も含めた日本の賠償艦の擬人化や日本への旅行マンガなどを頒布。
なにこれ、めっちゃかわいい!
オリジナルじゃないけど「響け!ユーフォニアム」の制服のガマ口財布なんてあるのね。
軍事評論のサークル「SSL」。
中華民国国軍のちょっとヤバイ話も含めながら漫画化。そして写真左上で抗日戦勝利七十周年の写真がまとめられた「抗戦陸軍武備図誌」は一般の書籍かと思ったらなんと厚さ5.2cmの同人誌らしく、後で話を聞いて「買っておけばよかった!」と後悔。
もう「台湾の同人誌即売会はなんでもあるな!」という勢いでコミケと遜色なくなってる。
「優良児童読物」などと書かれて子供向けの本なのかと思ってカバーをめくると、
「やらないか」
日本からはネコ同人誌の「ヘリオトロープ」と、今回が初めてという自転車マンガの「CUTIE KIDS CLUB」が出展されていた。
台北近郊には侯硐(ホウトン)というネコ村があるなど台湾人もネコ大好きで、台湾は自転車メーカーのジャイアントのお膝元であり日本のしまなみ海道でのサイクリングが外国人に人気と聞くのでどちらも需要高そう。
二次創作にとどまらず、台湾のファンシーフロンティアでもかなりオリジナル同人誌が増えてきたのは個人的にはかなりうれしい。そこに日本人サークルも加わって貢献してる様子を見ることができた。
カオスな建物外
午後になってだいぶまったりしてきた。
今回は雨の予報で天気が悪く、広い公園内がまるまるコスプレブースとして使えるところが屋根のあるところに集中してしまい外は混雑。
建物の外に出ると、花博会場の公園内は他にフードコード、フリーマーケット、演奏会などいろいろやってて、コスプレ撮影と混ざってしまい何がなんだかわからない状態に。
着ぐるみコスプレがいる!と思ったら、和倉温泉の加賀屋も進出している北投温泉のゆるキャラ?
・「菊地真 誕生おめ!」台湾で着実に浸透するアイマス【FF26コスプレ】
ファンシーフロンティア26のコスプレの詳細はこちらで。
ラブライブ!の自転車
ファンシーフロンティアはコミケに追いついた
お疲れ様でした!
終了は16:30だがアナウンスはなく17時くらいまでは頒布を続けるサークルもある。コスプレは日が暮れるまで撮影している姿を見ることができる。
FF4の時はすでに同人誌はたくさんあるもまだマンガが描ける人が少なかったせいかイラスト本やグッズが多かったが、今ではコミケと同じく二次創作のマンガがメインとなっている。そもそも元々ファンシーフロンティアは男性向けイベントでエロも多く女性参加者は少なかったが、近年ではオリジナル同人誌もかなり増えてきてブースを回って未知の趣味を知る新しい出会いにも恵まれてきたと思う。他にはコスプレの同人誌やロムを頒布するサークルも増えたなという印象で、台湾コミケでもジャンルの多様化と更なる発展が進んでいる。
2回目の花博会場となったFF26は通路の導線を妨げないよう行列形成がかなりしっかりしてきた印象で、規模以外ではほとんどコミケと遜色なく、むしろ規制は圧倒的に少なくコスプレブースは滝や花壇なども利用できて有利な点も多い。ファンシーフロンティアのスペース数は1日あたり約1000で、コミケは1日11000から12000で台湾の人口は日本の1/6くらいなので、1日2000サークルくらいまでは増える余地がありそうに思うが、今後もっとサークル数が増えていくのか(会場変えないと無理そう)、それとももっと独自の発展をしていくのか注視していきたいと思う。