野生馬、廃墟、うんこと戯れられるぞ!宮崎の最果て都井岬レーダー基地(都井岬見張所)


本数が少ない日南線を乗り潰すついでに宮崎の最果てとなる都井岬を訪問。都井岬はFGOの新聞広告で存在を初めて認識したのだが、ランズエンド感のあるなかなかすばらしい場所だった。




都井岬には佐世保鎮守府下の佐世保防備隊の管轄で都井岬見張所が置かれ、本土防衛の最前線として敵機の襲来を対空電探で捉えて鹿屋航空基地に報告していた。

観光案内所となる都井岬観光交流館パカラパカでは戦争遺跡のまとまった資料はないと言われたけものの戦後引渡資料に地図や兵器一覧があったのでそれを参考にして回ってみよう。


14号電探、11号電探、機銃陣地跡


都井岬の撮影スポットとなる小松ケ丘広場付近の丘を登っていくと14号電探、11号電探、機銃陣地などの跡地がある。






機銃陣地の跡と思われる。

都井岬には25mm機銃×3、13mm機銃×2が設置されており、この丘には3箇所の機銃が設置されていた。中央に機銃を設置して、周りに弾薬庫が置かれたのだろう。



こちらは台座っぽいコンクリートが少しのこっている。



これが14号電探(一号電波探信儀四型)か11号電探(一号電波探信儀一型)を設置した台座じゃないかと思うのだけど証拠になる資料が見つからない。

戦後やGoogle Mapsの航空写真を見ても機銃陣地らしき跡を確認することができ、丘を登る体力があれば簡単に見つかるだろう。




このように、戦跡巡りをするついでに野生化した軍馬が戯れる姿を見ることができる。


発電所、指揮室など


都井岬グランドホテルの廃墟や国民宿舎があるエリアから分岐して山を登る道に入ると、発電所、指揮所などを見ることができる。


6kVA×2 発電所


発電所の入口と通気塔。



発電所内部には発電機の台座が残されている。

ここには6kVAの発電機が2基設置されており、それ用の大きいものが2つと写真右下は補助用?



緊急用の発電機だったらしく、付近の坑道内には15kVAの発電機があったものの現在は埋まっているようだ。


三角点


三角点柱。

「三角點」と旧字体なので、たぶん戦前・戦中のものだろう。


電波塔跡?


発電所跡の説明板には「丘の上の電波塔があり探知任務にあたっていた壕がある」といった記述があるので、その壕なのだろうか。ただし、戦後引渡資料には記載がない。



土を掘らないと内部には入れないので入口にカメラを突っ込んでみた。



壕の上にはコンクリートと通気口があるけど、うんこ要注意な!



電波塔の台座。

こちらも戦後引渡資料に記載されておらず、1947年米軍撮影の航空写真にも写っていないので、もしかして戦後に設置されたもの?国土地理院の1975年の航空写真にはしっかりと写っている。


兵舎跡の白蛇神社


発電所壕の近くには白蛇神社があり、兵舎があった跡地に建てたもののようだ。


指揮室防空壕


白蛇神社付近の丘を登ると指揮室となる防空壕。



戦後引渡資料だと都井岬見張所となっているが、こちらの説明板だと都井岬レーダー基地と書かれている。



内部は左右に2つの部屋があり、1つが隊長室で、もう1つが通信室だという。



通気口と小窓から丘の向こう側を見ることができたらしいがわずかに明かりが差し込むのみ。



通気口の上にはお地蔵様が!

都井岬見張所の指揮室は八十八ヶ所都井岬霊場の一部に取り込まれてしまったようで、お地蔵様ごと植物に覆われてとても味のある史跡となっていた。



完全に祠化しており、台座の下に指揮室の窓があるって気が付かない!


貯水槽・浄化槽?


指揮室防空壕の隣には貯水槽と浄化槽と思われる四角いコンクリートがある。


13号電探、11号電探跡地


指揮室から更に奥に行ったこの辺りに13号電探(一号電波探信儀三型)×2と11号電探(一号電波探信儀一型改三)×1が設置されていたと思われる。

当時を思わせるものは何も残っていないが、ドコモ、au、ソフトバンクの携帯電話基地局の電波塔などが現在も建っているのがすごくいい。

更に奥に機銃台座が2つ設置されていたらしいが見当たらず。


都井岬灯台


日南海岸の最南端に建つ都井岬灯台は志布志港に終結して日向灘で演習を行っていた日本海軍の強い要望により設置されたそうだ。

恐らく宿毛湾泊地からの演習時に必要だったのだろう。



太平洋戦争により大破炎上したものの、当時の姿を今に残している。



都井岬灯台周辺には6kVAの発電機と32号水上電探(三号電波探信儀二型)が設置されていたものの、どの辺りにあったのかまったくわからない。現在の灯台施設の見張台の周辺にあったに違いないと勝手に想像。


その他のスポット

廃墟ホテル


都井岬には都井岬グランドホテルなど廃ホテルが多い。

国民宿舎や民泊で今も泊まれる宿があるので、都井岬に滞在して夜に肝試しでもしてみたい。もちろん敷地内には入っちゃダメだけど。


御崎神社 ソテツ自生地


都井岬はソテツが自生できる南限で、昭和天皇皇后両陛下が訪問記念碑や、断崖絶壁の御崎神社を見ることができる。ちょうど電波塔の影になって携帯電話が圏外ないので落ちたりしないように。

この他、山の神神社、南灯台と付近にキャンプ場などもある。


都井岬までのアクセス・行き方


宮崎の最果て・都井岬はJR九州日南線の串間駅が最寄りとなる。



串間駅前からコミュニティバスの よかバスが走っており、1日4~5本利用でき、所要40分くらい。
  • 串間駅発: 07:35、10:00、11:55、14:45、土祝日のみ17:15
  • 都井岬発: 08:25、10:45、12:45、15:25、土祝日のみ18:00

よかバスの都井岬の発着は後述のパカラパカが始発となるが、話を聞くとワゴンタイプの車ならだいたいどこの場所で乗り降り可能みたいだった。復路は団体客がいたので普通の路線バスタイプとなり、この場合は小松ケ丘広場のように駐車場のある場所なら停まってくれるらしい。いずれにしても往路で運転士さんに確認した方がよいだろう。


料金は片道200円で、1日乗車券が400円と安すぎるので、18きっぷで日南線を乗り潰す時はぜひ時間をかけてでも行きたい!

今回は、志布志05:50→串間06:13 と日南線で移動して、1時間くらい駅前の広島電鉄の廃車両を見たり駅のベンチで寒さに震えたりして時間を潰し(駅前に物産館「くしま駅の駅」があるけど08:00-18:00)、07:35串間駅発の よかバスに乗り、都井岬を4時間くらい回って都井岬12:45発の よかバスで串間駅に戻り、日南線で串間駅13:35→油津14:27、広島カープのキャンプ地となる油津でカープ商店街を見て、油津14:51→南宮崎16:11と乗り継いだ。



都井岬観光交流館パカラパカ

都井岬にはビジターセンターがあったけど、まだ新しいのになぜか2020年3月31日で閉鎖したようでもぬけの殻となっており、こちらが新施設として開業したようだ。お土産屋、レストラン、都井岬についての映像ブースなどコンパクトにまとまっていた。授乳室もある多目的トイレは24時間使えるらしい。このパカラパカは都井岬観光ホテルの廃墟を解体して建てたようだ。



パカラパカではレンタサイクルとして電動自転車を借りることができ、2時間500円

4時間1000円になるので、Go To Travelキャンペーンの地域共通クーポンを綺麗サッパリ使い切ることができた。

坂が多いのでバッテリには注意する必要があって、満タンの状態からスタートして主要な全ての施設や周辺の廃墟などを見て回ったら、返却時にちょうどパカラパカの手前でバッテリが尽きた。心配なら途中で交換してもらった方がよいだろう。

FGOの新聞広告がなかったら訪問どころか存在すら知らずに一生を終えたかもしれない都井岬。接続に若干難儀するものの公共交通機関でアクセス可能で最果て感を満喫でき、野生化した軍馬、廃墟ホテル、戦争遺跡、うんこと戯れることができる素敵スポットなので絶対行った方がいいぞ!

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