コロナで各国の入国審査はどうなった?ワクチンパスポートでヨーロッパ14カ国を回ってきた


ワクチンパスポートを使って8月下旬から9月上旬まで現地18.5日で乗り継ぎ含めてヨーロッパ14カ国を周遊。入国審査の現状について個人の体験をまとめてみた。写真は未承認国家 沿ドニエストル共和国。


Contents

日本→ドイツ(航空): 入国審査でワクチンパスポートを確認

EUのシェンゲン圏内に入る時は、乗り継ぎがある場合でも最初に入る国で入国審査を行う。

ドイツはワクチンパスポートを使えば隔離なしで入国でき、EUが再び日本に対する規制を強化した執筆時点でもワクチンパスポートがあれば入れるようである。


ドイツ→フィンランド(航空): 到着後にワクチンパスポートを確認

ドイツからフィンランドはシェンゲン内となるが、航空機を利用する際はワクチンパスポートが必要で、到着後に並んで確認するという方法が取られていた。

フィンランドは日本外務省の「海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧」に記載されていないが問題なく使えた。

ドイツは街中で無料で抗原検査が受けられるため、その抗原検査の結果も使うことができるようだ。


フィンランド→エストニア(船): 乗船前のIDチェックのみ

フィンランド→エストニアはシェンゲン内なのでワクチンパスポートは不要であった。チケットを発券する際にパスポートを見せただけで、国境審査なし。なお、空路では3日前までに質問表(Traveller’s questionnaire for the prevention of the spread of COVID-19)への入力が必要。


エストニア→ラトビア(鉄道): 国境審査なし

エストニアのバルガから国境を越えてラトビアの首都リガ行きの列車に乗車した。エストニア→ラトビアはシェンゲン内なので国境審査なし。


ラトビア→リトアニア(バス): 乗車時のIDチェックのみ

リトアニアは新型コロナの影響か独裁国家ベラルーシから逃げ出す人を防ぐためなのか不明だが、近隣国を結ぶ国際列車が消滅している。リガからリトアニアの首都ビルニュスまでバルト三カ国で活躍するEcolinesのバスを使ったところ、乗車時にIDチェックされたのみでシェンゲン内のため国境審査はなかった。なお、入国48時間前からオンライン登録できるLITHUANIAN DIGITAL PASSENGER LOCATOR FORMのQRコードはチェックされなかった。


リトアニア→ポーランド(バス): 国境審査なし

リトアニアの旧首都カウナスからポーランドの首都ワルシャワまでドイツのFLIXバスを利用。シェンゲン内なので国境審査はないが、乗車時にIDチェックすらなかった。


ポーランド→クロアチア(航空): 到着後にワクチンパスポートが必要

ワルシャワからドブロブニクへLOTポーランドで移動。クロアチアはEUだがシェンゲン協定に加盟していない。

クロアチア入国にはワクチンパスポートとEnter Croatiaフォームが必要で、機内で渡された紙のフォームを記入したが、入国審査ではワクチンパスポートもフォームもチェックされず、投げるようにパスポートを突き返された。


クロアチア→イタリア(航空): 到着後にワクチンパスポートとPLFが必要

ブエリング航空でドブロブニク→ローマを飛び、シェンゲン内のイタリアに戻った。

イタリア入国にはワクチンパスポートとPLF(渡航者位置特定フォーム)のORコードが必要。空港で慌てて登録したが、PCがないと画面遷移で失敗して何回もやり直しになりかなり面倒だったので注意。


イタリア→ギリシャ(航空): 到着後にワクチンパスポートとPLFが必要

ブエリング航空でローマ→サントリーニ島を移動。シェンゲン内でもギリシャはワクチンパスポートとPLFのQRコードが必要だが、到着時の審査ではPLFの書類全体をスマホ画面で表示してチェックされたので注意。

ギリシャは日本外務省の「海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧」に記載されていないが問題なく使えた。


サントリーニ島→ミコノス島(船): 乗船時にワクチンパスポートの確認

ギリシャ国内の移動であるが、Seajetフェリー乗船時にワクチンパスポートの確認があった。


ミコノス島→アテネ・ピレウス(船): チケット確認のみ

サントリーニ島→ミコノス島ではワクチンパスポートをチェックされたが、ミコノス島→ピレウスのFast Ferries乗船時にはチケットしかチェックされなかった。


ギリシャ→オーストリア(航空): ワクチンパスポートが必要

ライアンエアーでアテネ→ウィーンとシェンゲン内フライト。

ライアンエアーはアプリチェックイン時にワクチン関連の書類をカメラで撮るなどして添付する必要があった。物理でのワクチンパスポートチェックは出発前も到着時もなかったと思う。


オーストリア→モルドバ(航空): ワクチンパスポートが必要

Wizz Airでウィーン→モルドバ首都キシナウへ。

クロアチアに続いてシェンゲン外へのフライトとなり緊張したが、モルドバは日本外務省の「海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧」に記載されていないものの問題なく使えた。


モルドバ→沿ドニエストル共和国(バス): パスポートチェックのみ

モルドバから事実上独立している沿ドニエストル共和国は、モルドバの出入国時にパスポートチェックはない(あくまで沿ドニは自国内という立場のため)。沿ドニの入国時にパスポートにスタンプは押されず別紙を渡されるのみでワクチンパスポートのチェックはなかった。


沿ドニエストル共和国→モルドバ(バス): パスポートチェックのみ

沿ドニ入国時に渡された別紙は出国時に回収されないがなくさないようにしよう。また、モルドバに再度入る際もワクチンパスポートのチェックはなかった。


モルドバ→ウクライナ(鉄道): 乗車時と入国時にワクチンパスポートと保険確認

キシナウ→ウクライナ第三の都市オデッサの国際列車に乗車。ウクライナはワクチンパスポートに加えて400円くらいの保険に事前加入する必要があった。乗車前に制止され、出発まであと10分というところで教えてもらいながらなんとか保険に加入。日本のクレジットカードが使えたのは救いだった。

ウクライナも日本外務省の「海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧」に記載されていないが、キシナウ駅での乗車時とウクライナの国境駅でのチェックで問題なく使えた。


ウクライナ→ポーランド(航空): ワクチンパスポートとPLFが必要

オデッサ→ポーランドの古都クラクフへ。ライアンエアーでシェンゲン内外の移動はVISAチェックをするためにチケットカウンターに並ぶ必要がある。ポーランドへのビザがあるかと聞かれて「ジャパニーズはノービザだ!」と言ったら上司に確認するのに数分を要していたので何事も余裕を持って行動する必要がある。

ちなみに、クラクフでの入国は外国人レーンが1人しかおらず中東から来た人の審査に時間がかかりすぎて2時間かかった。二度と使いたくない空港である。


ポーランド→オーストリア(鉄道): 乗車券QRコードのみ

クラクフ→ウィーンはシェンゲン内かつ陸路なので国境審査なし。オーストリア国鉄のアプリで購入した寝台のチケットQRコードを見せるのみだった。


オーストリア→デンマーク(航空): 陰性証明が必要?

シェンゲン内からデンマークへのフライトは日本のワクチンパスポートが使えると思ったが、オーストリア航空のオンラインチェックインで日本のワクチンパスポートを提出したところうまく認証されなかったので、ウィーンで取得したPCR陰性証明を使った。出発72時間以内のPCR陰性証明か48時間以内の抗原検査が必要かもしれない。


デンマーク→日本: とても面倒

コペンハーゲンから羽田のスカンジナビア航空を利用。チケットの発券に出発72時間前に日本政府指定フォーマットのPCR陰性証明、質問票WebのQRコードが必要

帰国後に誓約書、NySOSと接触確認アプリのインストールと各種設定、唾液によるPCR検査などが必要。過去14日以内にデンマークとギリシャを訪問したため、政府指定のホテルに3日間無料強制隔離、残り11日間を自宅などで自主隔離となった。また、執筆時点で、ワクチン2回接種済みの場合は2021年9月末から隔離は10日間になるとのこと。


日本のワクチンパスポート使用感まとめ

外務省のリストになくてもワクチンパスポートが使えた国

  • フィンランド
  • クロアチア
  • ギリシャ
  • モルドバ
  • ウクライナ
上記のように日本外務省の確認が公式に取れていなくても、英文が記載されたワクチンパスポートがあれば今回訪問した国では入国拒否されることはなかった。モルドバのみ入国させていいのか審査員が上司に確認していたのか「そこのベンチで他の審査が終わるまで20分くらい待ってろ」と言われたがすぐに呼び戻されて入国できた。


観光施設、航空・鉄道・フェリー、ラウンジなどでも使える

ワクチンパスポートは、観光施設に入る際、航空、鉄道、フェリーを利用する時、またそれらのビジネスクラス/ファーストクラスラウンジに入る際にも必要になることがある。

必要に応じて「モデルナ、ファースト、セカンド」といった感じで、ワクチンメーカーや2回摂取した旨を書類に指差しで見せるとスムーズにいった。

場所によってはテーブルのQRコードを読み取って個人情報の提出が必須だったり、ワクチンパスポートと個人情報の提出の両方が必要になることもある。


どこの国から来たかが重要になる

新型コロナウイルスの蔓延により、各国の感染状況を踏まえて入国が可能かどうかを判断するため、入国審査の際はどこの国から来たのかがとても重要になった。英語に不安がある場合は旅程表を作って見せるなどわかりやすくするとスムーズに入国審査ができるだろう。

今回は乗り継ぎを含めて14カ国も移動したため、パスポートのどこにスタンプがあるのかわからず入国審査員が混乱するシーンも見られた。


きちんと事前に調べればだいたいどうにかなる

入国規制については、日本の各国大使館や現地の日本大使館のWebサイトで入国規制についての情報を見て、必要に応じて各国外務省の公式ソースを英文で読むといったことを繰り返すことになる。その他、日本橋夢屋のサイトも情報がまとまっていて参考になった。

本記事はあくまで「訪問した当時、現地の運用はこうだった」という体験をまとめたもので、現地の空気感を知ってもらい「ヨーロッパはワクチンパスポートでだいたい移動できるから怖くないよー」というのを伝えるために執筆した。運用が変わったり勘違いもあると思うので、実際に渡航する際は必ず自身で最新の運用を確認してほしい。

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