「異世界おじさん」でたかふみはなぜUR団地に住んでるのか?【こだわりの公団住宅描写】

たかふみとおじさんがUR団地に住んでいる理由


めちゃくちゃ旧公団住宅な古くて白い団地。

「異世界おじさん」のおじさんとたかふみが住んでいるのはこんな感じの古い低層団地である。 こういった団地はかつて日本住宅公団が中所得者向けに建てた集合住宅を、民営化してできた独立行政法人都市再生機構(UR)が引き継いだものだ。

「うわあ、めっちゃURだなあ!」と思いながら「異世界おじさん」を見ていたけど、2人がこんな団地に住んでいるのには理由がある。


UR団地は部屋を借りやすい

おじさんが目覚める前のたかふみは元々友達とルームシェアして住んでいた。その友達が部屋から出ていったのでおじさんを加えて一緒に住んでいるという設定になる。

URの団地は金さえあれば誰でも貸してくれる(反社会的勢力を除く)のでルームシェアにはもってこいだ。

賃貸住宅というものは結婚した夫婦であれば簡単に借りられる部屋でも男2人のルームシェアとなると難易度が急に上がり、民間の賃貸だと大家が心配になってNGを出したり、規約上問題ないのに火災保険を2人で二重に契約しろと無茶苦茶なことを言ってくることがよくある。

しかし、URであれば家賃の100倍貯金があることを示す残高証明を出したり、家賃1年+敷金2ヶ月+最初の月の端数 = 14~15ヶ月分前納すれば保証人不要で審査を突破できるので、近年は蕨市や江東区のように中国人やインド人だらけになっているUR団地も多い(他に平均月給が家賃の4倍以上)。

公営の住宅というと他には、低所得者向けに自治体が建てる○営住宅や東京都住宅供給公社(JKK)のような公社住宅もあるがリフォームは最低限しかやらないし、公社住宅はルームシェア原則不可なのでURで間違いないだろう。


こだわりのUR団地描写

いかにもURなダイニングキッチン



これまで住んだり見学したことあるUR団地から似たような部屋を探してみた。

URの団地を管理する日本総合住生活(JS)のリフォームは年代や設備メーカーによって細かく差が出てしまうけど、壁がタイル張りの台所はだいたい似たようなもんだろう。


和室をぶち抜いてキッチンをDKにする


おじさんとたかふみが住んでいる団地はおそらく3Kを2DKにリフォームしたもの。

「異世界おじさん」で話が進行する場所となるダイニングキッチンは、元々キッチンと和室に分かれていた部屋をつなげて1つの部屋にしたものとなる。

部屋中央の天井付近や床にはかつての仕切り名残が残っている。



セガを知るおじさんと知らない世代のたかふみを隔てる描写にもこのダイニングキッチンの仕切りが効果的に使われていて思わず震えた。


コンロ付近の窓はカーテン不可


たかふみ家の台所をもう一度よく見てみよう。

ガスコンロ付近の掃出し窓を見るとカーテンが設置されていない。




「カーテンはコンロから150ミリ以上話して、ご使用下さい。」

高度経済成長期くらいの住宅だとガスコンロと掃出し窓が完全に隣接していて、うっかりしているとカーテンに火が燃え移ってしまうので注意する必要がある。

こういった「古い団地あるある」が再現されていて、異世界でのツンデレエルフの話より細かい背景描写が気になってしまうのでとても困る。


換気小窓もあるよ



窓の換気小窓もしっかり再現されている。

古い団地はエアコンなんてものがまだ普及する前に建てられているので、窓に換気小窓が設けられるケースが多く、壁に穴を開けずにここからエアコンの排気ダクトを外に出すことも可能。


バランス釜の風呂からリフォーム


「異世界おじさん」第4話では藤宮澄夏の無駄なサービスシーンに目がいってしまうが、見るべきところは裸体ではない。



元々、コンクリート打ちっぱなしか壁タイル貼りのバランス釜だったお風呂場も1960年代や70年代初頭の建築でなければそれなりの広さが確保されているので、リフォームしてこんな感じのユニットバスになっているケースが多い。


たかふみとおじさんは福岡県に住んでいることが判明

福岡徳洲会病院(春日市桜ヶ丘)



原作「異世界おじさん」1話とGoogleストリートビューより。

原作者の殆ど死んでいる先生は福岡出身だとTwitterで教えてもらったので(検索しづらいので名前なので出身地を軽く調べた時はわからなかった)、原作を返して画像検索で「福岡県 総合病院」とかで探したらあっさり見つかった。



TVアニメ「異世界おじさん」原作1話より。

TVアニメはかなり寄った構図なのでわかりにくいが、原作と同じく福岡徳洲会病院がモデルでよさそう。

事故で17年間昏睡状態だったおじさんが入院していた病院を見つけることができてとてもまんぞく。



春日大通り



TVアニメ「異世界おじさん」第2話とGoogleストリートビューより。

おじさんとたかふみが買い物して家に帰るまでのシーンにも、福岡徳洲会病院前をはしる春日大通りの唐梨バス停交差点あたりが登場していた。

建物の輪郭はほぼそのままだが、ユニクロかと思われた「YUMI COLO」はセブンイレブン、ホームセンターは薬局、中央付近の看板に書かれている「さくらクリニック」は「みなみクリニック」で「ドラッグストアきんぐたむ」は存在しない。その奥のモスバーガーの看板もわからないよう変更されており、かなり地元に配慮してどこかわからないように細かく描き変えているのがわかる。

原作マンガでもこの春日大通りが何箇所かカットの背景として登場している。


女性キャラと同じくこだわった団地描写を見る


おじさんとたかふみが住んだようなたぶん1970年代後半くらいの公団住宅には残念ながら住んだことがないのだけど、URの団地はいいぞ。

足立、葛飾、江戸川、東京都市部(多摩)、千葉、埼玉なら安く部屋が借りられ、敷金、礼金、更新料ないし、高額な火災保険も必須ではなく都民共済などを使えば年1000円程度ですむ。引っ越して部屋を出る時も法外な退去費用を取られることもない。

「異世界おじさん」は女性キャラの作画だけに全振りしてコストを抑えつつターゲット層を人口の多い30代~団塊ジュニアに絞って覇権アニメを狙った実に野心的な作品であるが、とても地味ながらUR団地描写も見どころの1つなのでしっかりと目に焼き付けていきたい。

今期は他にノイタミナ枠の「よふかしのうた」でも似たような古い団地が出てくるので、アニメ業界で公団公社な団地の時代が来ようとしている。


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