【TVアニメCLANNAD】ポルトガル・リスボンを訪問することで、たった1カットに込められた京アニスタッフの思いを12年越しでようやく知ることができた



TVアニメ「CLANNAD」第14話「Theory of Everything」で登場するポルトガルの首都リスボンにあるベレンの塔を訪問。

ベルンの塔は、15世紀にバスコ・ダ・ガマのインド航路発見を記念して当時のポルトガル王・マヌエル1世により建設された。「リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔」としてユネスコ世界文化遺産に登録されている。


CLANNADとベルンの塔


ベレンの塔からの景色。

このベルンの塔は、TVアニメCLANNADでは一ノ瀬ことみの両親が託したカバンが愛娘に届くまで世界中を旅するシーンの1カットとして登場する。

理論物理学者として多忙な日々を送ることみの両親は、ことみの誕生日にすら仕事で出かけることになるが、航空機が事故に遭って海に沈んでしまう。亡くなる直前に両親が最後に託したのがスーツケースだった。「もしあなたがこのスーツケースを見つけたら、どうか娘に届けてください」と書かれたスーツケースは、砂漠の街、極寒の島、緑の大地など世界中を旅し、人から人へ受け継がれ、ようやくことみの元へ届いた。

スーツケースの中には、プレゼントとなる”くまのぬいぐるみ”と手紙が入っていた。元々入っていた大切な論文を捨ててまで、最後は研究者ではなく最愛のことみのために尽くしてくれたことを知ることとなる。


ベルンの塔がCLANNADに登場した理由


この旅するカバンのシーンは次々と絵が切り替わってしまうので、放送当時はあまり気を止めず、そもそも、そのうちの一枚がポルトガル・リスボンのベルンの塔であることすらわからなかった。

ユーラシア大陸最西端に近いポルトガルで、ヨーロッパからアフリカを経由してインドへ到達し航路を開拓したバスコ・ダ・ガマのゆかりの地であり、大航海時代の英華を象徴するリスボンを登場させることで、カバンが長い長い旅路を経て、たくさんの人達に託され受け継がれてきたことを暗に表現したかったのではないか。

TVアニメ「CLANNAD」が放送開始となったのは2007年10月。あれから干支一周くらいの月日が経って、ようやく、たった1カットに込められた意味を理解することができた。



バスコ・ダ・ガマやマゼランなど大航海時代に活躍したポルトガル人がずらりと並ぶ「発見のモニュメント」。

正直なところ、ポルトガルに行くまではベレンの塔がどういう場所かも知らず「アニメに登場する訪問国を増やせる」くらいにしか思っていなかったが、ベレンの塔や「発見のモニュメント」を見ることで、リスボンが大航海時代を象徴する都市であることを実感し、京アニが1カットに込めた思いにようやく気がつくことができた。

歴史や地理に詳しい人なら放送当時にCLANNADのカバンのシーンがベレンの塔であることに気が付き、こうした解釈にたどり着いていた人もいたかもしれないが、凡人の私はそれができなかった。それでも、12年越しで実際にポルトガルを訪問して現地を見ることによって、やっとその境地にたどり着くことができた。たった1カットでも作品の真理に一歩近づけたような気がしてとてもうれしかった。

主人公たちが過ごすのと同じ場所に行き同じ空気を吸った気になるだけでも十分楽しいが、現地に行ったからこそ気がつける、作品には直接描かれない主人公たちの日常を想像したり、逆ロケハンとも言える行動をすることによって、作者やスタッフが込めた思いを再構成していくことこそが舞台探訪の本当の醍醐味であるということを再認識することができた。

帰国後にCLANNAD14話のシーンを見返して、両親のカバンがどれだけの距離と時間をかけてことみの元へにたどり着いたのかを考えるのと同時に、京アニスタッフが作品を作るのにどれだけの時間、情熱、思いが込められているのかを、ふと考えてしまい涙が溢れそうになった。単に作画がきれいなだけではない京都アニメーションのスタッフによるこだわりが、こういった一瞬で切り替わってしまうシーンからも読み取ることができるのだ。

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