アメリカ・フォールリバーで保存されるサウスダコタ級戦艦3番艦マサチューセッツ「大戦期の兵装やレーダーがきれいに残ってるな」


マサチューセッツ州フォールリバーバトルシップ・コーヴ(Battleship Cove)にはサウスダコタ級戦艦3番艦マサチューセッツが保存されている。マウントホープ湾にそそぐトーントン川河口には第二次世界大戦時の兵装やレーダーがよく保存されており、ギアリング級駆逐艦やPTボートなど見どころがとても多い。


ギアリング級駆逐艦ジョセフ・P・ケネディ・ジュニア


98隻の同型艦を持つギアリング級駆逐艦でケネディ大統領の兄の名前がつけられたジョセフ・P・ケネディ・ジュニア(USS Joseph P. Kennedy Jr., DD-850)。

5インチ連装砲や戦後に載せられた対潜ミサイルのアスロックランチャー(RUR-5 ASROC)などを見ることができる。


バラオ級潜水艦ライオンフィッシュ


バラオ級潜水艦のライオンフィッシュ(USS Lionfish, SS-298)。



ライオンフィッシュは伊168に魚雷を発射したこともあるようだが命中はしなかった。


魚雷艇PTボート PT-617、PT-796


PT-796

艦これの深海棲艦PT小鬼群としてソロモン諸島などのイベント海域でトラウマとなった魚雷艇PTボートのうち、PT-617PT-796がバトルシップ・コーヴに保存されている。



PT-796。機銃や艦尾に魚雷が展示されている。


重巡洋艦フォールリバーの艦首
ボルチモア級重巡洋艦フォールリバー(USS Fall River, CA-131)の艦首上部のみがここフォールリバーで保存されている。


東ドイツのミサイルコルベット・ヒデンゼー


ヒデンゼー(Hiddensse)は東ドイツのソ連製ミサイルコルベットで東西冷戦終結後にアメリカに渡ってきたものらしい。


その他の展示


練習機のT-28 トロージャン(Trojan)

航空機やヘリもいくつか展示されており、765プロ仕様なのかな?と思ったけど、初等訓練中隊VT-27の機体だそうだ。

この他、模型展示のある海事博物館、小さな鉄道車両博物館、戦艦マサチューセッツなどを一望できる遊歩道などが整備されている。


サウスダコタ級戦艦マサチューセッツ

艦体全体像


サウスダコタ級戦艦3番艦マサチューセッツ(USS Massachusetts, BB-59)。

サウスダコタ級戦艦では大和型戦艦と同じく艦中央の主要部分を強靭に守る集中防御方式が取り入れられ、16インチ砲弾への防御を獲得している。重量の増加分を抑えるために全長が短くなっており、スラっと長くて美しいアイオワ級戦艦と比べると野暮ったい印象だが、1本の煙突か前檣楼と隣接するなど構造物が中央付近にまとめられているため大和型戦艦と似ているとよく言われており、ゴテゴテ感は兵器としてカッコよく見える。



戦艦サウスダコタは5インチ連装砲を8基16門搭載していたが、2番艦インディアナ以降は10基20門だったので、マサチューセッツも片側に5基の連装砲が見える。



乗艦は艦尾からとなる。



艦尾には水上機用クレーンボフォース40ミリ四連装機銃が見える。



エリコン20mm機銃もそのまま残されていた。


45口径16インチ Mk.6 三連装砲


45口径16インチ Mk.6 三連装砲

主砲の16インチ砲は前に2基、後ろに1基の3基9門。



コロラド級戦艦は45口径のMk.5 連装砲アイオワ級戦艦は50口径のMk.7 三連装砲となる。

サウスダコタ級ではコロラド級で連装砲だったのが三連装砲となり、50口径のアイオワ級より砲身が短い。実際のマサチューセッツの砲身もかなり短く見える。



砲室内で砲身尾に砲弾を装填して3個セットの装薬をセットしているシーン。



艦内の砲塔内には16インチ砲弾がズラリと並ぶ。



一番下の階層には装薬を並べて砲室まで揚げる揚薬機があり、円柱状の装甲の外が装薬庫や弾薬庫になっていて、写真では装薬を壁に受け渡しする窓も見える。


38口径5インチ連装砲Mk.28 Mod.0


38口径5インチ連装砲Mk.28 Mod.0



艦これではアイオワ級戦艦などに載せられたMk.28 mod.2と「集中配備」と称したものが実装され、砲塔は異なるが砲身は同じ38口径5インチMk.12。



5インチ連装砲の弾薬装薬室

5インチ砲の火薬は薬莢方式となる。この上の階層に揚弾薬室があり、更に上が砲室となる。



5インチ連装砲の砲室内。


航海艦橋、装甲艦橋


戦艦マサチューセッツの航海艦橋



航海艦橋からの眺め。



司令塔となる装甲艦橋16インチの厚さを持つが中には入れなかった。


艦内の生活空間


水兵の寝室。

戦艦なので潜水艦と比べればはるかに広い空間となるが、4段ベッドで寝るのはきつそう。通路にもベッドはたくさん並べられている。



士官の個室。デスクやベッドの他に洗面台も備え付けられている。



調理室では食事のサンプルや大鍋が並んでいた。



手術室

アメリカやイギリスで保存された艦艇を見ると、だいたい痛々しい歯医者の治療風景が蝋人形で再現されているのだけど、写真が見当たらなかったので戦艦マサチューセッツは公開されていなかったかも。


通信室、ボイラー、射撃管制室


通信室



ボイラー室

蒸気によってタービンを回してスクリューや艦内の電源を賄う電力を得る。



射撃管制室

艦内には16インチ砲と5インチ砲の射撃管制室があり、敵艦との相対位置を表示するレンジキーパー、ジャイロで艦の傾きを検出して誤差を修正するステーブルバーティカル、壁際にアナログコンピュータなどが置かれている。艦これにも実装されている砲射撃指揮装置Mk.37 GFCS(Gun Fire Control System)は、GFCSという装置があるわけではなく、外に取り付けられるMk.37方位盤やこれら艦内のシステムの総称となる。


水上、対空、射撃管制レーダー


戦艦マサチューセッツのレーダー類。

前檣楼後方に2本建つマストを見ると、円形の対空電探SK-2、小さい水上電探SGレーダーが2つ、艦橋上あたりにMk.12+Mk.22レーダーとMk.37方位盤など搭載されているなど、第二次世界大戦期のレーダーがそのまま残っているので大変貴重である。アイオワ級戦艦は艦歴が長くレーダーが付け替えられたりハープーン対艦ミサイルなどが載せられたりしているが、戦艦マサチューセッツは朝鮮戦争前の1947年に退役したのが幸いであった!



艦これには対空電探としてSKレーダーが実装されているが、戦艦マサチューセッツ載っているのはSK-2のため円形と四角で形が異なっている。




写真ではレーダー反射器が反対を向いているが、間違いなく水上電探となるSGレーダーである。




GFCS Mk.37を構成する要素のうち、Mk.12 + Mk.22レーダーと、測距儀のあるMk.37方位盤が戦艦マサチューセッツではきれいに保存されているな!

アイオワ級戦艦4隻はロサンゼルス近郊やフィラデルフィア付近など大都市に近く盛大に観光地化されているケースが多いため、主砲塔内部、ボイラー室、射撃管制室などの深部は追加課金のガイドツアーでないと入れないケースが多い。これが戦艦マサチューセッツになると入場料のみのセルフツアーで入り放題だったので大満足。公開されている部屋はほんの一部とは言え、2000名以上が暮らす広い艦内で相当数の空間に入れるので全部回りきるだけで体力を使い果たした。


戦艦マサチューセッツまでのアクセス・行き方


プロビデンス駅を発車するTrain 66。

往路はニューヨーク・ニューアーク空港からニューアーク・ペンステーションまで移動し、そこから夜行列車のTrain 66でプロビデンスまで。チケットは65USD+ビジネスクラスシート33USDで合計98USD。

ロードアイランド州プロビデンスから戦艦マサチューセッツのあるマサチューセッツ州フォールリバーまではPeter Panバスが走っているが、朝8時頃にはなさそうだったのでUberで22マイルを30分で移動し40USD(Uberは私の招待コード「2fJl9」を使うと割引が受けられます)。



フォールリバー・トランポ-テーションセンター(Fall River Transportation Center)

戦艦マサチューセッツから0.8マイルの場所にフォールリバー・トランスポーテションセンターがあって、ここからニューヨークまでMegabusやPeTer Panの長距離バスが発着しているものの、平日は1往復しかなかっため利用できたのは夕方発の復路のみとなった。



座席の間に2つ電源がありトイレ付の新しめのバスで4時間45分の乗車も比較的快適。

フォールリバー・トランスポーテションセンター16:30発でニューヨーク 7th Ave. and 27thSt.に21:15着のMegabusを予約し、16USD+予約手数料2USDの合計18USD。セールだと運賃が 2USDになったりする。

夜行列車を使った日帰り強行で日中の時間たっぷりフォールリバーを満喫できるはずだったが、バトルシップ・コーヴは戦艦マサチューセッツなど見学できる場所が多すぎて最後はかなり駆け足となってしまった。

戦艦マサチューセッツなどのバトルシップ・コーヴは執筆時点で入場料20USD。新型コロナウイルスで休業中だが、以前の開館時間は9時から17時まで、休業日は、11月第4木曜日(サンクスギビングデー)、12月25日、 1月1日。



Great Circle Mapperで作成。

日本からアメリカへはANA55000マイル+諸税9760円で、羽田→トロント→フィラデルフィアPHL、ニューヨークEWR→ノーフォークORF (24時間以上滞在)→ニューヨークEWR(24時間以上滞在)、ニューヨークJFK→成田と発券。24時間以内の乗り継ぎ時間でフィラデルフィアの戦艦ニュージャージとフィラデルフィア海軍工廠を見学してLRTとアムトラックなどでニューアーク空港に地上移動、特典航空券上の目的地であるノーフォークで戦艦ウィスコンシンやノーフォーク海軍基地を見学し、ニューヨークEWRに戻ってプロビデンスPVD経由でフォールリバーへ行き、ニューヨークで 30USDの日本人宿に泊まり、ブルックリン海軍工廠とイントレピッド航空宇宙博物館といった感じで現地5日間滞在の周遊だった。

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