臨時夜行快速列車ムーンライトながらが廃止となる一方、ヨーロッパではオープンアクセスによる参入自由化や温室効果ガス削減のため夜行列車は復権傾向である。ノルウェーで夜行列車を満喫しようとしたらまさかのド満室だったので座席車両で一夜を明かしてみた(2016年)。
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ノルウェー国鉄と夜行列車
首都の中央駅となるオスロS駅。
ウッホ!!
男性向け下着の巨大広告が広告がノルウェーの首都中央駅前にデカデカと掲示されているのに度肝を抜かれる。入れ墨のあるガチムチなオジサマもいるので日本では絶対に無理そう。「これが北欧ノルウェーの寛容さか」としみじみを思いながら駅ホームに向かったのであった。
冒頭から話が逸れたけど、ノルウェー国鉄に乗車した2016年はNSB(Norwegian State Railways)だったのが、2019年から「Vy(Vygruppern AS)」という名前に変わっている。
ノルウェー国鉄の夜行列車は、オスロから西のベルゲンとスタヴァンゲル、北のトロンヘイムに向かう3路線と、トロンヘイムからボーデまでの1路線で合計4路線ある。ちなみに、ボーデから更に北上して300km離れたナルヴィクまで行くとスウェーデン国鉄SJの夜行列車に乗って首都ストックホルムまで移動することも可能。
ノルウェー国鉄のチケットの買い方
オスロS駅の構内。
ノルウェー国鉄の通常の列車のチケットは窓口、自動券売機、公式ウェブサイトから購入できる。今回は夜行列車なのでWebサイトで事前に予約しておいた。
公式サイトのトップページで言語を英語に切り替えて、行き先、指定席などを入力して予約作業を進め、決済は日本のクレジットカードがどうやっても使えなかったものの、ペイパル支払いが可能であったのでペイパル経由でクレジット決済をした。
EチケットとなるQRコード付きのpdfがEメール送られてくるので紙に印刷したりスマホに入れておく。ノルウェーは他のヨーロッパと同じく信用乗車で駅に改札がないため、車内で提示を求められたら見せる方式。
オスロS 22:46 → トロンヘイムS 06:54
ノルウェーの夜行列車はいずれも深夜に出発して翌朝着く使いやすいダイヤになっている。オスロ発がRegiontog 405(RT 405)列車で、トロンヘイム発がRT 406列車となり、2021年時点のダイヤは発着時間が変更されて若干短くなっているようだ。
訪問当時、オスロSからトロンヘイムSまでの座席運賃は849ノルウェー・クローネで、1クローネが13円くらいだったのでクレジットカードへの請求は11269円だった。日本の乗車券+特急料金くらいの金銭感覚で利用できるだろうか。
オスロ-トロンヘイム間の夜行列車 RT 405
El 18機関車
牽引はNSB El 18機関車。
西岸海洋性気候のノルウェー沿岸は冬でも秋田県ほどの気温にしか下がらないので北海道より暖かいくらい。それでも訪問した11月は積もらないくらいの雪が降っていた。
機関車の側面にドカーンと広告が貼られてるのとてもすき。
おけつ。
B7客車 リクライニングシート車両
客車はB7(Class 7)シリーズでわりと新しめ。
座席車はリクライニングシートがズラリと並び可動式枕や枕カバーもある。
ヨーロッパの鉄道なので座席の転換はできず、一部はボックス区画になっていて窓際にテーブルが着いている。
座席の折りたたみ式テーブルとフットレスト。
座席の間に1つ電源コンセントがあるので充電も可能。
客室内にゴミ箱やコートをかける区画もある。
日本だとJR九州で特急つばめなどに使われた787系グリーン車個室にクローゼットがあったけど、ファーストクラスじゃなくてもコート掛けがあるのはいかにも北国の北欧っぽい。
デッキ区画。
トイレはバリアフリー対応で着替えなどもしやすそう。
トイレ内の壁には森林が印刷された緑ボードが貼ってあるので、大自然を感じながら踏ん張ることができる。
寝台車両
残念ながら今回は利用できなかったけど寝台は1人用と2人用個室があってこんな感じ。
2段ベッドに上がるためのハシゴを壁に収納するタイプは珍しいと思う。
カフェカー
食べ物はレンジでチンしたものが出てくるので食堂車というよりカフェカー。
ペットと乗車できる車両まである
車両の入口に犬猫のマークが描かれている。
ヨーロッパでは車内に自転車を引っ掛けるスタンドをよく目にするが、ペット同伴で乗車することができる国も多い。
通路に平然とはみ出すイヌのしっぽを踏まないように注意!
寝ぼけて車両間を移動していたら蹴飛ばす寸前に気がついて「げ、まじかよ」となった。ケージに入れる必要すらないとは……。
座席車両のアメニティ
座席車両は各座席にビニールで包装されたアメニティがセットされている。
アイマスク、ペラペラの薄い毛布、空気枕、耳栓が入っている。
耳栓は柔らかくて耳に入れやすいけど、防音効果はその分減るので悩ましい感じ。
空気枕はあくまで腰まわり用?
06:54定刻でトロンヘイムS駅に到着。
寝ている間にあっという間に着いてしまったが、先頭の機関車にはわずかに雪が積もっていて移動した距離を実感できた。
トロンヘイムS駅。
早朝にトロンヘイムに着いた後は、駅近くの船着き場からフェリーに乗ってシャルンホルスト級戦艦2番艦グナイゼナウの主砲塔を見に行き、夕方にトロンヘイム空港から北極圏トロムソへ移動した。
幸い隣の人は来なかったので2席を快適に使えてそれなりに寝ることができた。寝台車両が取れなかったのは残念であったが、日本で座席での夜行列車運行は運転休止中のムーンライト信州とトワイライトエクスプレス銀河くらいになってしまったのと、ヨーロッパは概ね安い寝台のクシェットが連結されており座席車両はボックスシートが主流でリクライニングシートは珍しいので、ノルウェー国鉄でリクライニングシートの座席夜行を利用できたのは今となっては貴重な体験となった。
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