台湾コミケFancyFrontierを次期総統・蔡英文が視察した理由 増えてきた台湾独自のコンテンツ
台湾のコミケ的存在の同人誌即売会ファンシーフロンティア(開拓動漫祭)27。1月30日、31日の両日開催のうち2日目の日曜日にサークル参加。今回のFFは元々、1月15日、16日に開催されるはずだったが、総統選挙とかぶりFFに参加するため投票に行かない人が出たらまずいとか、いろいろ「理由(ワケ)あって」2週間延期されるという前代未聞の事態になっていた。
台湾大学の体育館から移転してしばらく経ち、すっかり会場として定着した花博会場。
サークル入場入口とサークルチケット。
サークルチケットは1サークル3枚。1人はカタログがもらえ、もう2人はカタログを購入する決まりなのは初期から変わっていない。
まだ人の少ない開場前。
今回は「理由(ワケ)あって」、アニプレックスのコミケ限定アイドルマスターシンデレラガールズグッズを日本から台湾へ運び屋をさせられたのだ。
アイマス好きが集まる765プロ台湾支部の人たちにいつも手伝ってもらっているのだが、WEB通販の終了20分前にLINEでメッセージが飛んできて「グッズ買って台湾に持ってきてー!」という無茶振りをされ、慌てて会員登録してカード決済したのも、今ではいい思い出だなあ。
・[C89]真美と行くビジネスクラス周遊旅 ミリオンライブ!舞台探訪「ろけます!アジアンライブツアーの旅」
こっちは入稿日に765台湾支部にインタビューして原稿書いたから人のことは全く言えないけどな!
ファンシーフロンティアのカタログ。
台湾で人気のOPENちゃんがすごいことになる大人向け同人誌!
マスコットキャラがあんなことやこんなことになる台湾はさすが突き抜けてるなあ……
と、思ったら、描いたの日本人サークルだった!
調べたら、そもそもOPENちゃんは電通の仕掛けたキャラクタらしく、日本がキャラクタを持ち込み更に日本人が勝手に同人誌作るというわけのわからない構図になっていた。
設営完了。
「理由(ワケ)あって」、本来弊サークル「さざなみ壊変」であるはずの場所はGUNPになりました。
会場の外に出ると開場を待つ大行列。
だいぶ整ってきた。
・昔のコミケってこんな感じだった?台湾最大の同人即売会FF25がカオス
・台湾の同人即売会がもうコミケに追いついたという話【FF26】
会場内もだいぶ準備が整ってきたところで10:30に開場。恒例となっている開幕ダッシュの様子は過去の記事へ。コミケでは禁止されているし、危ないので会場内で走っちゃダメですよー。
お隣さんは賑わってるなあ。
何か盛り上がってる様子のステージ。
ファンシーフロンティアでは、毎回のように日曜日に声優さんを呼んでイベントをやっている。今回は水瀬いのりさんが来ていたようなのだが、サークルの切り盛りで精一杯で全く見られなかった。
うちのサークルに戻ろうとしたら、通路がすごいことになってるな。
コミケだと混雑のためできないが、ファンシーフロンティアでは販促ポスターをじゃんけん大会で配るといった突発イベントが可能。日本だと大阪のこみっくトレジャーなんかでよく見かける光景かな。
今回のファンシーフロンティアは台湾次期総統の蔡英文が視察。
会場内では蔡英文の二次創作(?)同人誌も。
中国との距離を争点とした選挙で民進党が政権交代し、台湾の戦艦霧島こと蔡英文が次期総統に当選。台湾で初の女性総統となり、大物政治家や軍人の二世でない女性国家リーダーとしてはアジア初。
ネコミミボーカロイドみたいな萌化した蔡英文を宣伝やグッズを販売したことが日本でも話題になったが、その次期総統が台湾コミケのファンシーフロンティアを視察することが決まり、土曜日の開場前に行われることが数日前に通達され「ヤバイ!次期総統が来るからエロ本隠せー!」と騒然となった。
会場内には、これまでのファンシーフロンティアでは見かけなかった、民進党のカラーである緑色をしたネコミミメガネの同人誌やグッズがいくつか見られ、蔡英文は自分が描かれた同人誌にサインするなどして帰っていったとか。
似たような系統だと、日本でも安倍総理がアニメ調のキャラがラッピングがされた街宣車でニコニコ超会議3に乗り付けたことが話題になったが、それでも政権交代を果たした初の女性リーダーが台湾コミケに来るというのは間違いなく歴史的瞬間であっただろうか。
台湾の鉄道車両を台湾の作家さんが擬人化した同人誌。
ちなみに作者のA士さんは、日本製特急車両プユマ号をブルマ少女に擬人化し、台湾の新聞・自由日報に掲載されたことがある。
港湾城姫 基隆少女
艦これの深海棲艦みたいな名前だな。台北近郊の基隆港のイメージキャラクタで「こうわんじょうき きーるんしょうじょ」と読むのかと思ったら「こうわんしろひめ」らしい。基隆は、日本統治時代は軍港で、現在は軍民共用の港となっている。
高雄メトロのイメージキャラクタ「高捷(たかめ)少女」のグッズ。
高捷少女のメインヒロイン・小穹(シャオチョン)のコスプレ。
・高雄地下鉄の高捷少女痛車がすごすぎて台湾の萌え文化はもはや日本を軽く越えていった
・台湾高雄地下鉄のマナーポスターがやばい
・高雄地下鉄の萌えキャラ”高捷少女”で埋め尽くされた駅構内が恥ずかしすぎる
高捷少女について詳しくはこちらで。
FF27限定のiPASSが売ってる!
ファンシーフロンティア27限定で魔法少女iPASSの絵柄が入った、高雄の交通系ICカードのiPASSが売られていたので思わず購入。高雄に行った時は限定絵柄のiPASS売ってなかったからよかった!
・世界初の全線架線レス路面電車が世界最速で萌えキャラを起用!物価上昇と戦う魔法少女とか新しすぎる
魔法少女iPASSについてはこちらで。こちらも高捷少女と同じ団体が企画している。
神話戰爭という台湾のスマホゲームの宣伝コスプレ。
自分が初めてファンシーフロンティアに参加(日本人サークルの手伝い)したのは2004年のFF4の時で、その頃はまだマンガを描ける人は少なく、日本のマンガやアニメの二次創作イラスト本やグッズを頒布するサークルが多かった。
それが今では台湾発のコンテンツや擬人化文化が徐々に増えてきて、日本の影響を強く受けつつも独自の文化が育っていく姿は目を見張るものがある。
写真は2015年の台北ゲームショウ。
バンダイナムコゲームス(現バンダイナムコエンターテイメント)が2015年に初めて台北ゲームショウに出展し、今年になってPS4アイドルマスタープラチナスターズが偶像大師白金星光として台湾で発売されることが発表になった。Xbox360アイドルマスター2は台湾でも発売されていたが、繁体字ローカライズは初となる。
「グリーン・グリーン」のリメイクや「キラ キラ」などで知られるOVERDRIVEのブース。
STEAMで配信中のギャルゲで日本へのインバウンドを意識した「Go! Go! Nippon!」を繁体字ローカライズしたものをファンシーフロンティアで販売していた。
◆【台北ゲームショウ2016】成長著しいアジアマーケットにフォーカス、熱いショウが開幕 | インサイド
台湾は人口2300万人しかいないが、今やゲーム市場はアジアのトップ4、Google Play単体では世界のトップ4だそうで。近年は日本や中国などのゲームも多数進出するほど盛り上がっている。
◆中台関係のゆくえ | 一般社団法人 平和政策研究所
去年の時点で台湾の20台前半の失業失は13%以上のようで、台湾が政権交代した大きな原動力の1つに若者の不満がある(2014年に中国とのサービス貿易協定をめぐって中国の経済的政治的影響力が強まることを懸念して立法院を占拠するひまわり学生運動も起きた)。日本で首相がコミケに来たらビックリタマゲチュー(CV: 双海真美)だが、マンガやゲームなど若者に人気があって伸びている分野があれば、それを次期総統が視察するのは何ら不思議なことではないと納得できる。
日本では依然として萌え風のイラストに対して「キモイ」「性的」などで風当たりが強、くまちおこしのイラストについて問題が起きたりしているが、台湾だと蔡英文自ら萌えキャラになってグッズを展開するくらいで、抵抗が全くないわけではないが萌えイラストが作風の1つとして日本より浸透しつつあるので、華々しく言っても成功した例をほとんど聞かないクールジャパン政策より、台湾の方がうまくやりそうに思えてならない。
アイドルマスターシンデレラガールズから渋谷凛や島村卯月が(日本人レイヤーさんだそうです)。
シンデレラガールズの大型合わせがあったらしいのだが、残念ながら集合したシーンは見られなかった。
白坂小梅、輿水幸子、星輝子。
前回もシンデレラガールズのコスプレをしていたレイヤーさんが今回は142cmトリオに。これが見られただけで台湾に来られてよかった。よかった……。
お姉ちゃん!
妹ヶ崎もいた!
城ヶ崎美嘉、城ヶ崎莉嘉。TVアニメ効果もあってかシンデレラガールズのコスプレがここまで増えたのはうれしい。
超時空要塞マクロス リン・ミンメイ
遠目に見てスノーストロベリーの千早か!と思ったら、元祖銀河の歌姫でしたか。
16:30でイベントは終了。
しかし、クロネコヤマトの宅急便はまだ長蛇の列。
外はかなり暗くなってきているのにまだまだコスプレ撮影は終わらない。みんな思い思いに写真を撮って交流し続けていた。
お疲れ様でした!
この日は、大阪のこみっくトレジャーや北九州の大九州合同祭など、他のイベントとかぶりまくってて、台湾に来てるサークルも2つや3つに分裂して散らばるところが多かったようで。総統選挙で2週間延期になったり、最初の日程の時に航空チケットを発券してしまって来られない人も出るなど波乱の展開となったが、イベント自体はつづがなく終了。イベントの運営自体はだいぶ落ち着いて混乱も減ってきたけど、会場の移転や次期総統が来るなど話題も多いので、台湾の独自のコンテンツなども含めて今後も注目していきたい。