モルドバの領内で親ロシア派の支配地域となっている沿ドニエストル共和国(トランスニストリア)を観光して独自通貨を探した(2021年9月訪問)。
ベンダー要塞(Bendery Fortress)。
モルドバ首都のキシナウから沿ドニエストル共和国の首都とされるティラスポリへ日帰り観光した。沿ドニエストル共和国はロシア軍が平和維持軍として駐留し国際的にはほとんど承認されていない自称独立国となっている。
モルドバから沿ドニの「国境」を越えてすぐのところに16世紀にオスマン・トルコが建設したベンダー要塞があるので、乗合バスを降りて立ち寄った。
沿ドニエストル共和国は独自通貨ドニエストル・ルーブルを発行しており、モルドバ・レイは原則使えない。
「観光地だし両替屋くらいあるのでは?」と思ったら、そんなもの全くなかった。
「これはやべええええ」と入場ゲートで交渉したら、モルドバ・レイでの支払いがOKだったので難を逃れた!
沿ドニエストル共和国のトロリーバス。
モルドバでは真新しい現代的なバスも走っていたが、沿ドニではこんな感じでいかにもソ連っぽいバス、トロリーバス、ミニバンが多かった。
ベンダー要塞の近くにソ連の装甲車などが展示されているTank monumentという史跡を見つけたので、ベンダー要塞の最寄りバス停から路線バスに乗った。この時点でまだドニエストル・ルーブルは無一文だったが、車掌のおばちゃんはモルドバ・レイでの支払いを許してくれた。
しかし、Tank monumentからティラスポリの中心部へ向かうため今度はミニバスに乗ろうとしたら「ルーブルじゃないとダメだ!」と言われてしまう。その時はめっちゃ焦ったけど一緒に乗ったおっさんが建て替えてくれたのでこの難局を切り抜けることができた。
海外へ出かける時は非常食としていつもカントリーマアムを持っていくのだけど、こういった時にお礼として渡すお菓子としても役に立つので必ず持っていこう。
ティラスポリ市街では銀行や両替コーナーが随所にあり、米ドル、ユーロ、ロシア・ルーブル、モルドバ・レイ、ウクライナ・フリヴニャなどと両替することができる。
ティラスポリの中心部は公園、政府庁舎、市場などが集まっており、ミニバス代を恵んでくれたおっさんも同じ場所で降りたので両替屋まで案内してもらった!プーチンはヤバいけど、沿ドニエストル共和国のロシア系住民はやさしいな!
両替屋のレートを見ると、ヨーロッパなのにユーロより米ドルの方が強く、なんと米ドルよりロシア・ルーブルの方が弱いという衝撃の事実。
ロシア系住民が多い沿ドニエストル共和国でもロシア・ルーブルの信用はあまりないようである。
レートを見ると訪問した当時はざっくり1ドニエストル・ルーブル = 7円くらいであった。
これが沿ドニエストル共和国の通貨、ドニエストル・ルーブルだ!
1ドニエストル・ルーブルと25ドニエストル・ルーブルでなぜか同じおっさんが描かれている。
お札の人物が別の金額の紙幣でも同じ人という通貨はあまり見ないので、最初は偽札でも掴まされたのかと思った。
しかし、お札をよく見ると一番安い1ルーブルでもちゃんと偽札対策のキラキラが入っているのだ。自称独立国なのに意外と紙幣に金をかけて刷っていた。
ティラスポリ駅。
モルドバのキシナウからウクライナのオデーサまでは国際列車が走っており、パスポートの処理をどうするのかわからなかったけど、時刻表を見る限りでは途中駅のティラスポリからも乗車することができそうだった。モルドバの出国スタンプがないのにウクライナの入国スタンプがあるとモルドバに再入国不可になるかもしれないので注意が必要になるけど、次回、沿ドニエストル共和国に行くことがあれば、ティラスポリ→オデーサやティラスポリ→キシナウの列車を試してみたい。
上記は蛇足になってしまったが、街を観光していて沿ドニエストル共和国にはプラスチックの硬貨があるらしいことを思い出したので両替屋を何軒か回って探してみた。
しかし、プラスチック硬貨の在庫がないか両替はできないと言われてしまい、ついに最終目的地のティラスポリ駅まで歩いて来てしまったわけである。
ティラスポリからキシナウへ戻るバスはこの駅を始発としており、このまま街の中心に戻ってしまうと、途中からの乗り場がわからなくて帰れなくなる恐れがあるのだ。これは困ったぞ。
ティラスポリ駅の近くにある個人商店に入ってみた。
日本から見て限界っぽい東欧の国だと個人商店や市場というのがまだまだ元気に営業していていつも驚く。
狭い売り場のレジに立つお姉さんにスマホの画面を見せて「プラスチックの硬貨はある?」と聞いてみたら……
お姉さん「あるわよ」
沿ドニのプラスチック硬貨を手に入れた!
お姉さんがレジの奥の方をガサガサやって出てきたのは紛れもない沿ドニエストル共和国のプラスチック硬貨だった。
1、3、5、10ドニエストル・ルーブルがあるようで全ての硬貨を両替してくれた。2000円や2ユーロじゃなくて3ルーブルという単位があるのはとても珍しい。
硬貨としてはちょっと大きいので財布にはたくさん入れたくないけど、500円玉のように重くはない。100円未満の通貨をわざわざ偽造することもないだろうからプラスチック製でもよいのだろう。
日本のお札に慣れていると米ドルなど海外のお札を見るとおもちゃっぽく見えるけど、沿ドニのプラスチック硬貨はまさにモノポリーのようなボードゲームで使ったら便利そうな見た目。沿ドニは国際承認されていないのでモルドバやウクライナに戻っても沿ドニの紙幣・金属硬貨・プラスチック硬貨はいずれも両替できないのでなんかかわいそうである。
ウクライナとロシアの戦争が始まってから、沿ドニエストル共和国では爆発事件があり、ロシア軍がモルドバに侵攻する可能性もゼロではないので、沿ドニもおいそれとは行けない地域になってしまった。渡航前は行く予定のなかった、モルドバ、沿ドニエストル共和国、ウクライナを訪問してレアなプラスチック硬貨をお土産に入手することができたので、2021年に行っておいて本当によかった!
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