ニコニコ動画の投稿からリンクを貼られていたことからこの動画の存在を知り、提督の行動を中心にしてTVアニメ「艦隊これくしょん -艦これ-」の全話を見通した考察を見た。
・タグ「アニメ+艦隊これくしょん」
これまでアニメ艦これについて書いたことはほとんど各話について元になる史実や背景しか見ていなかったので、この動画を参考にしつつもう少し全体を俯瞰してストーリーを追ってみることにした。
Contents
最終話付近で明らかになった「夢」
最終話付近で艦娘たちは史実で起きたことを夢として見ることができるらしいとわかった。提督も同様にして過去を知ることができるようなので「定めのくびき」から逃れる方法を吹雪や提督が模索するのがアニメ艦これのストーリーとなる。
- 暗号が解読されていることへの対策
- 大和などの戦艦をもっとうまく使う
- MI作戦で圧倒的な戦力を用意する
第3話 W島攻略作戦での如月轟沈
桜満開の海軍兵学校(海上自衛隊第一術科学校 幹部候補生学校庁舎)。
第3話ではウェーク島攻略作戦をモチーフにしたW島(うとう)攻略作戦が発動。
史実と同じ如月たち第六水雷戦隊のメンバーが参加しているが、夜間の基地占領ではなく、第2話で編成された吹雪たちが夜戦で敵をおびき出す。その後、史実では真珠湾から帰投中の飛龍、蒼龍が増援となるが、アニメ艦これでは金剛たちが三式弾で応戦した。
しかし、如月は基地からの戦闘機で爆沈するところ、アニメ艦これでは敵空母の艦載機の爆撃を受けて轟沈してしまった。
提督がウェーク島攻略作戦について完全に把握していれば、そもそも如月を出撃させなければよいはずで、「とりあえずどうなるか実験してみた!」ではあまりにひどいので、夢で見ることができるのは結末など一部のみで全体を知るまでには至らないから提督も霧の中で試行錯誤していたと解釈するのが自然となるだろうか。
第4話 吹雪の運命を変えようとした?
アメリカとオーストラリアを分断させるFS(フィジー・サモア)作戦を遂行するために戦艦ル級2隻と戦った第4話は、イギリスの戦艦プリンス・オブ・ウェールズと巡洋戦艦レパルスを沈めたマレー沖海戦あたりが元ネタかと思っていたが(今思えばマレー沖海戦はFS作戦とは関係ないが)、サボ島沖海戦ではないかという説を見た。確かにマップがソロモン諸島周辺に似てなくもないが、そもそもなんでミッドウェー海戦より後のイベントが早々に起きているのかと疑問に思う。それは史実ではここで吹雪が轟沈するためで、夢で吹雪の轟沈を予感した提督が、MI作戦より前にねじ込んで吹雪轟沈というもう1つの「定めのくびき」を回避しようとしていたとすれば、やや納得いかない点は残るものの流れとしては悪くない。
実際に吹雪は轟沈の危機に瀕しながらもなんとか一命を取り留めた。
第5話 史実にない第五遊撃部隊
第5話の時点では翔鶴のセリフから赤城、加賀、瑞鶴、翔鶴らのラバウル攻略作戦は終了してることがわかる。提督は、史実にない吹雪、北上、大井、加賀、瑞鶴、金剛による第五遊撃部隊を編成。まとまりのなさそうな部隊をあえて作ることにより吹雪の成長に期待しつつ史実からの流れを変えようと試みた?
第6話 カレー作戦という奇策
第一術科学校の海軍カレー。
第6話ではインド洋作戦をモチーフにしたカレー洋作戦……、かと思いきや、提督はカレー大会を開催させてそもそも作戦自体をなくすという奇策に出て今後の展開を大きく変えることを試みた。……いや、さすがにこれは冗談です、すみません。
第7話 轟沈を免れた祥鳳
第7話ではポートモレスビーを攻略するMO作戦で珊瑚海海戦がベースとなった海戦が発生。そういえば、敵の"聖地"だと思っていたのは"棲地"が正しいというのに今日まで気が付かなかった!ここで史実では祥鳳轟沈となるところ、祥鳳大破となり轟沈を免れた。提督はここで初めて「定めのくびき」を変えるために行った行動の成果が表れたことになる。
しかし、吹雪たちは翔鶴を中破させ、空母ヨークタウンに相当する空母ヲ級を取り逃がしてしまったためMI作戦へと繋がってしまうところまでは変えられなかった。また暗号解読されていることもほぼ間違いないなさそう。
第8話 トラックで大和と邂逅
補給路が伸びきっているためMOを攻略して拠点化することは必須ということで、第8話では吹雪らをトラック泊地に派遣。トラック泊地は大和ホテルによる休日回となったが、もしかしたら味方にも存在が知られていない大和と吹雪を邂逅させて何かが起きることに提督は期待したのかもしれない。
第9話 作戦書を残して消える
呉鎮守府庁舎(海上自衛隊呉地方総監部庁舎)ライトアップ。
第9話では改二となった夕立と吹雪の対比する中で吹雪自身の成長が描写される。トラック泊地に戦力を集中させて鎮守府の防備が手薄の隙を狙って深海棲艦が仕掛けてくるのを察知した提督は吹雪たちを呼び戻すが、ドーリットル空襲が元になった空襲は変えることができず、鎮守府がやられて提督は行方不明になる。
吹雪たちを呼び戻しても空襲は起こってしまったので、空襲の混乱に乗じてわざと身を隠し作戦書を残したのではないかということになる。これには吹雪が改になることを指示されていた。また、大型建造に専念して大鳳の建造を史実より早め、強力な艦載機として流星と烈風の開発に挑む。
第10話 暗号解読を防ぐ策?
棲地AFを叩いて敵機動部隊を撃滅するという指令書を残した提督。AFは史実ではミッドウェーを示す日本軍の暗号でAF(ミッドウェー)、AO(アリューシャン)。米軍は最初AFがどこかわからなかったところを小細工して突き止めるが、第10話のアニメ艦これでは長門たち自身もどこかわからない場所になっていた。空襲を行った敵艦隊はどこから来たのか調査する中で、吹雪たちが行ったMIが怪しいということが判明。身を隠して作戦書だけ残すというちょっとまどろっこしいやり方だけど暗号解読を防ぐために史実を逆手に取ったという点では興味深い展開と言える。鎮守府に呼び戻された吹雪は、練度を高めこれまで何度か轟沈しそうになって苦手分野だった対空戦闘を赤城先輩たちの試練で克服し、大規模改修で進化する。
鎮守府に来たばかりの吹雪がなぜここに呼ばれたのか聞いたところ、ここで初めて夢の話が登場。ここで提督は吹雪が「運命のくびき」を変えるカギになることを認識して鎮守府に呼び寄せたことが判明。赤城の護衛艦は吹雪にすることがMI作戦に勝つために必要だと察知しつつも、赤城には護衛艦は赤城自身が決めろと言っていたことから、赤城も同様に夢から何かを感じることができ吹雪を選ぶと提督が知っていたことになるのだろうか。
ところで、大規模改修しても吹雪の姿が変わっていないのは第9話で「改になれ」とは言ったが「改二になれ」とは言ってないところに注目すれば「改」なら当たり前だというのに今更気がついた。
第11話 MI作戦は大きく変えることはできず
第11話でついにMI作戦発動で直前に赤城は再びミッドウェー海戦の悪夢を見る。赤城と長門は何かを感じて一度は決まっていた編成を変更。編成を入念に練り直したにも関わらず、いざMI作戦が発動すると利根のカタパルトが史実通りに不調になりいきなり先行きが不透明に。
飛行場姫へ2回目の攻撃を仕掛けようと艦載機を放った瞬間を狙って赤城たちは直上から急降下爆撃を食らってしまい最終話へと続く。
第12話 「定めのくびき」に勝利
第一術科学校 幹部候補生学校庁舎。
やはり、運命には抗えないと覚悟を決めた赤城先輩を吹雪が救い、赤城たちは体制を立て直す。この時、攻略主力艦隊が到着し提督が瑞鶴と翔鶴に高速修復剤を使って回復させ、山本五十六が後方で将棋指してるだけだった大和を前線に出してきたことがわかる。更に同時展開したはずだったAL作戦は見せかけでMIに戦力を集結。
しかし、飛行場姫は中間棲姫に進化し敵は倒しても倒しても増援がやってくる。ここで流星と烈風を満載した大鳳(Lv.1!!!!)がやってきて、敵機動部隊殲滅が戦いに勝利する唯一の手段であるという提督からの指令を告げる。いったいどれだけ倒せばよいのかと不安になる艦娘たちであったが、吹雪は敵空母3隻のみで最後に残ったのを倒せば終わると察知してみんなを導き勝利した。
如月は深海棲艦化した?
中間棲姫を倒した後に吹雪の足元で「カエシテ……カエシテ……」といううめき声があることに今日初めて知り、放送直後の感想で完全に見当違いなことを書いていたことにようやく気がついた。
この直後になぜか如月の髪飾りが浮いてくるのを見ると、轟沈したはずの如月は深海棲艦化していたと考えるのが自然。ゲームの艦これの世界では太平洋戦争で沈んだ艦艇が深海棲艦化する設定でほぼ間違いないために、如月が空母ヲ級になったとすると轟沈した艦娘も深海棲艦になり、しかも駆逐艦が空母になれるというアニメ独自の設定が登場したことになる。初見で「カエシテ」ってのが聞こえなかったのと艦娘がすぐに深海棲艦になるとは思わなかったのでずいぶんと理解が遅れてしまった。
第7話で深海から出現した空母ヲ級。
第12話で空母ヲ級の最後の姿。
第7話冒頭で深海から出てきた空母ヲ級がこれを暗示しているシーンだったと思われ、第12話のラストで空母ヲ級がどこか悲しげな表情を見せていたこと、吹雪が何か声を聞いたような素振りを見せたことから、如月が空母ヲ級になった設定は釈然としないものの問題なさそうで、長門が睦月をMI作戦に参加させなかったのは、睦月がこれに気がつくのを防ぎ、同時にMI作戦遂行に影響させないために何となく察して行ったに違いないとやっとわかってきた。
定かではないが、暗号解読は如月や他の鎮守府で轟沈した艦娘から漏れていた可能性も出てくる?
「カエシテ……」の意味とは?
ただ、如月が深海棲艦だとすると最後の「返して」というセリフの意味がよくわからないのでしばらく悩んでしまった。そこで、深海棲艦は吹雪たちを撃滅して最終的には睦月を轟沈させて深海棲艦化させれば再び如月と睦月が一緒になれるため、そういう意味で「睦月を返して」という意味で言ったと考えれば、第11話、第12話で睦月のシーンがやたら出てくるのは吹雪の無事を祈る他に空母ヲ級となった如月が睦月を思っていたことにも繋がりより意味のあるシーンになってくると思う。第2期の伏線となっていて、如月は再ドロップして復活するので他の深海棲艦の視点で「如月を返して」というのも考えたけど、「睦月を返して」なら一番すっきりするのではないかと思う(ただし如月が2回も死ぬような感じになるので如月だけすんげえ報われない気もする)。
このように、如月が轟沈する意味があったのかどうかはともかくとして、TVアニメ艦これにおいて第3話の如月は提督や赤城たち「運命のくびき」に関連しためちゃくちゃ重要な伏線だったことが全体を見通して明らかになった。提督の行動も意味不明なところは多いが、史実の一部を夢に見ることで「運命のくびき」に抗おうと必死に行動していたことがわかる。せっかくアニメ第2期やるのに単に悪い評価だけ残してもしょうがないので、このように全体を俯瞰してみるともうちょっと見方が変わるんじゃないかと思った。